従魔契約
「それでは、まず契約について話していきます 」
はーい、と僕達は体育座りをして聞く。
シルフィが先生ぶっているのが妙に可愛く思う。
「まず、プル、メロとリュークが交わした契約は従魔契約といい、魔物を従魔として従えるのが主な目的の契約かな 」
「あれ?。メロは動物じゃなかったっけ 」
メロもうんうん、と頷いている。
「ええ、そうでしょう。けれどリュークと契約した事により魔力を持つようになり魔物、又は魔獣として扱われるわね 」
どうやら、契約とは主人となる者が魔力を与えその契約が成すのだという。
でも待てよ。
僕って能無しだよね。
自分で気づいて勝手に落ち込む。
「あのシルフィ。僕は能無しと言ってね魔法は使えないんだけど 」
どうしても、気持ちは沈んでしまい情けない声がでてきた。
「契約をするのにに魔法が使える必要はないの。能無しなんて人間達が勝手に言っているだけでしょう。それに、あなたにはこんなにも濃密で質のいい魔力が備わっているのだから、契約する子は幸せだと思うわ 」
それは本心の言葉で初めてこんなにも能無しという事実を気にしなくて良いと芯から言われた気がして心が暖かくなる。
家族達にも言われたがやはりみんな気をつかっていたように感じた。けれどシルフィは本当に気にしてなくて、それどころか褒めてくれるなんて、なんだかむず痒い。
シルフィは照れてなにも返せない僕をおいてそのまま続ける。
「契約する時に名付け、まあ正しくは真名を与えるって事なんだけど、それをする事で契約主と契約対象の間にパスが繋がるの。なんて言えばいいかしら、契約主の魔力源から見えない通り道が契約対象に繋がりそれを通して魔力を与えるって感じ 」
なるほど、魔力が通る道ができてそれを通じて魔力がメロやプルに送られるから魔法を使えなくても関係ないのか。
「魔力を与えられた魔物、魔獣はそれぞれの持つ能力の魔法が使えるようになったり、元々の能力が上がったりするわ 」
そう言ってシルフィはメロとプルをじっと見る。
『な、なによ 』
メロは少し照れているようでプルは気にしてない様子。
「リュークの魔力が優秀だったから、プルとメロは進化したんじゃないかしら 」
「進化? 」
「ええ。そもそも、動物から、魔物、魔獣に進化するなんてことは滅多にないし、プルは恐らくヒールスライムに進化している 」
どうやら、進化するというのは珍しいらしく、契約によってちょっと強化されるだけなのが普通らしい。
進化したからメロ達に名前をあげた時光って見えて、見た目も変わったのか。
「ヒールスライムはスライム種の希少種で私も初めて見たわ 」
「プルちゃんすごーい! 」
「プルは凄いんだね 」
なんだか、僕まで嬉しくなってプルを撫で回す。
『照れるよ、プルプル 』
『ねえ、私は 』
メロはどうやらプルばかりかまわれて、焦ってる様子。
「凄いと思うわよ。少なくともあなたと同じ種を見たことが無いわ 」
少しはシルフィも気を使ってくれたようだ。
『ふふっ、ほらっリューク。私も凄いって 』
頭を撫でるよう催促しているのでしっかり撫でてやろう。
「メロも凄いな 」
「ねー、リューク、フーカは? 」
寂しくなったかフーカも詰め寄ってきた。
「フーカもちゃんと凄いよ。よしよし 」
フーカの髪はサラサラとしている。
フーカも、メロも撫でると気持ちよさそうに目を細める。
「ねー、リューク私はー 」
「シルフィは悪ノリしない 」
「うふふ、冗談よ 」
さすがにこんな美人に詰め寄られるのは精神年齢、思春期の僕には色々厳しかった。
それに気づいたのかシルフィは、可愛いっといったふうに妖艶な笑みで僕を見てきた。