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謎の幼女

「だーるーまさんがーころんだ! 」


 むむむ、みんな動いてないか。

 最初教えた時はバランスを取れずに動いてしまってた子も多かったのに、今では慣れたものだ。


 このだるまさんがころんだが1番上手いのはクマのローだ。

 クマと言えば凶暴なイメージだがそれとは反対に気弱で大人しい。その性格から慎重に進むため1番上手いのだ。

 またスライムのプルも上手で1度も動いたのを見つかった事が無い、けれど進むのが遅い。そもそもスライムの体はバランスとか関係ないからな。


 そして、だるまさんころんだが1番向いてないのはメロだ。

 基本空中移動なので、飛んでいる状態では急に止まることができないからである。

 だからいちいち地面や、他のみんなの方にとまらないといけないため大変そう。


「だるまさんがころんだ! 」


 早口で直ぐに振り向く高等テクニック。


「メロ、アウト 」


残念ながらメロしか引っかからなかったか。

無念。


『むぅ、やっぱり難しいわ 』


 少し落ち込んでいるようだ。

 まあ、かくれんぼとか鬼ごっこでは強すぎるから、だるまさんがころんだくらいできなくてもいいだろう。


 それにしてもメロ以外はピタッととまっている。

 クマのローはとプルはまだスタート地点から少し進んだところでじっとしており、猿の双子ウーとキーはロー達よりすこしさきでの木にぶら下がっている。

 そして女の子はスタート地点から動いていない。


 …ん?。女の子?。


 今日は、アリアはいないしここに人間がいるはずがないのだが。


 よく見ると薄緑の髪をした女の子がこちらを見て、ロー達の真似をするようにピタッと止まっていた。

 僕より背が低く少女と言うより幼女といった感じ。


 使用人の誰かの子供だろうか。

 けれど、こんな森まで1人で来れるような年齢じゃなさそうに見える。


 幼女とも言える子供がこんな所にいるのは不自然なはずだが、それがどうも普通の事のように見えた。

 もっと正確に表現するなら、謎の幼女が森や風といった自然に馴染んでいるといったところだ。


 自分でも不思議な感覚だが、なぜかそれがしっくりくる。


「えっと、君は誰かな 」


 僕が続けないのに気づいたのか他のみんなも謎の幼女に注目している。


「おもしろそーだから。みにきたの! 」


 うふふー、と楽しそうに答えてくれた。


 そのまま謎の幼女の元まで歩んでいき、ほんの少し屈んで目線を合わせる。


「僕はねリューク。君の名前は? 」


「んー?。そうだ、リュークが決めて 」


 ちょっと考えた後、目をキラキラと光らせてこっちを見て言ってくる。


 愛称、ニックネームを決めてって事かな?。

 名前も知らないのにニックネームつけるの難しような…。


 じっと謎の幼女を見ているとなぜか風のイメージが湧いてきた。

 理由はわからない。

 薄緑の髪が風によって揺れ、それが恐ろしいほどしっくりくる風景で、この子が風と一体化しているような感覚に陥ったのだ。


「そうだな。じゃあフーカって呼ぶことにするよ。よろしくね、フーカ 」


 風花、イメージが湧いた風をそのまま使い、花というのは、彼女の笑顔がまるで花がパッと咲くみたいな元気いっぱいの笑顔だったからだ。


 ネーミングセンスは求めないで欲しい。

 直感派なので。


「フーカ!。ふふふー。フーカっ、フーカっ 」


 そう言うとパッと一瞬光ったように見えた。

 フーカは気にせず、名前を大事そうにまた、嬉しそうに連呼している。喜んでくれたようで、ほんとによかった。


 そういえばまただ、プルやメロの時と似ている。

 この世界では名前を付けると光るのか。

 よくわからん。これもまた、研究対象かな。



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