通訳者の可能性
メロと友達になったあの日から、色々研究する事で『通訳者』についてかなり理解が深まった。
やはり動物の声が聞こえるようになっていたのだ。
なぜ今まで聞こえなかったのかも分かった。
聞こえるようになるためには条件を満たす必要があり、見つけた限りでは2つあった。
まず1つ目、相手、この場合動物が僕に話しかけたいと思った時。
これは、メロの時がこの条件で、メロが助けを僕に求めた。つまり、助けてと伝えたかったから僕に聞こえたという事だ。
次に2つ目、僕自身が聞きたいと思った時。
これは、相手に伝えたいと言う意思がなくとも僕に聞く意思さえあれば強制的に聞くことができるようだ。
他にわかったことといえば、動物達は同じ種族感だけでなくここら辺一体の動物同士はお互い会話できるらしいという事。
そして、動物達の中には僕以外の人の言葉も理解できる者がいた。
どうやら、何かしらの条件で進化を遂げた動物が稀にいるらしくそういった者達が人の言葉を理解できて、頭も良い。
メロもそのうちの1匹だ。
取り敢えずわかったのはこんな感じ。
これらが分かっただけでも大きな進歩だろう。
動物は人より自然に近しい存在で森の異変や薬草や木の実など普通では知り得ない情報を沢山持っている。
それにメロのような賢い動物に偵察やスパイとしてこっそり盗み聞きしてもらうこともできる。
まあ、犯罪に手を染める気は無いが。
『通訳者』もなかなか役にたつじゃないか。
『どうしたのリューク 』
「なんでもないよメロ 」
ニヤニヤしていただろうか。ちょっと恥ずかしい。
メロはカリヨンバードと言われる種の鳥で、賢く、美しい音色の鳴き声が特徴だと言う。
普段から群れをなすことが多く気高く上品な鳥らしい。
最近ではメロの仲間達とも仲良くなってカリヨンバード音楽隊と言ってもいい程の数の鳥と仲良くなった。
他のみんなは元々名前があって、メロはまだ子供で名付けられる前だったそうだ。名前というのはかなり特別ななにかがあるみたいだけど今のところあまりわかっていない。
庭でメロたちと一緒に歌とかを歌っていると、アリアや使用人、父様や母様まで微笑ましい様子でこちらを見てくる。
まあ、確かに動物と会話する子供はかなり変わってるか…。
実はまだ『通訳者』については誰にも話していない。
それは、やはり優の教えからだった。
『自分の特別な能力とかを持った時は隠すのが上策だ。隠し球であるからこそ発揮出来る時もある。それに疎まれたり変に思われる能力もあるしな 』
という訳だ。
信じてはくれそうだがこの能力の実用性まで説明できる気がしない。
もっと有効に活用できるようになったら家族に伝えよう。
そう思い活用法を探そうとはしているのだが、最近はメロたちと遊ぶのが楽しく気がつけば日が暮れていた事などが割とある。
それに、最近はマナー、ダンス、歴史などの家庭教師がついたので今までより自由な時間は減ったのだ。
家柄の都合で前世でも似たような事を学んでいたので正直つまらない。
はぁ。
『大丈夫? 』
メロ達が口々に心配してくれている。
最初、鳥インフルエンザとか、色々思ったがどうやら動物達は精霊様の加護というのが等しく授けられ普通に清潔らしい。
それにこの毛並み、前世では考えられない素晴らしさだ。
「ありがとう。じゃあみんなもう一曲いくか! 」
『おー! 』
そして、今日も今日とてコンサート。
さぁ、世界に届け、カリヨンバード音楽隊出動!。
なんて、はいそうです。子供ですが何か。