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異世界で侍女やってます  作者: らさ
第1章
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閑話「勉強は苦手です」

 侍女として王城で働くことが決まってから、サイアスさんは私の教育に熱心になった。

「この綴り間違っているな」

「えっ、どこです」


 サイアスさんと夕食を摂った後は、暖炉の前に小さな机を持ってきて、イーリアス国語の勉強。

 まず、文字の読み書きが出来なければ、他の侍女たちに軽んじられるだろうからって、サイアスさんはイーリアス国語のテキストを作ってくれた。

 読み書きできないのは、異世界人だから仕方ないと思うけど、サイアスさんは私が塞ぎこむ姿を見たくないって言ってくれた。そんなことで、落ち込むわけないのに、本当にお父さんみたい。

 登城まで日数はないけど、死に物狂いでできるだけ多くの文法や単語を覚えなくちゃ! とは思うけど、アルファベットとは似ても似つかない文字の羅列に気が滅入る。


 日中もできるだけ多くの言葉を覚えようと、マリーネさんやツイルさんに教師役を頼んだけど、二人とも「文字はサイアス様の方がお上手なので、サイアス様から教わって下さい」って断られた。時間がないんだけどな。


 綴りを直しながら、ここ数日の過密スケジュールを思い出す。


 昨日の昼は乗馬の練習だった。私がラインシート家の仰々しい馬車で登城することを嫌がったので、通勤(?)手段として馬が選択された。一人で馬に乗れるようになれば、サイアスさんの足手まといにならないもんね。

 乗馬は楽々クリア。サイアスさんが、私と気の合う馬エリンを貸してくれたからなおさらだった。運動神経には自信があるもんね。

 私がドヤ顔をしてツイルさんをみると、なぜか悔しそうな顔を浮かべて「相乗りという手が・・・・」って呟いていた。なんのことだか訳が分からない。馬車で通ってほしかったのかな?


 今日の昼は、マリーネさんが先生の礼儀作法教室。お辞儀の仕方から、歩き方、話し方、笑い方! これは辛かった。細かく直されてばかりで、落ち込んでいるとラインシート家の侍女さんたちが、お茶を淹れてくれて美味しいお菓子を用意してくれた。食べ方や飲み方の勉強でもあるけど、ホッと一息つくことができた。「だいぶ綺麗な所作になってきたから、大丈夫よ」ってみんなが言ってくれて嬉しかった。


 そして今、サイアスさんとイーリアス国語の勉強。毎日疲れます。


 綴りを書き直していると、右肩が不意に重くなった。


 えっ、サイアスさんが、私の肩にもたれて眠ってる! そうだよなぁ、仕事で疲れているのに、私に付き合って先生役やってくれてるんだもんな。食後で、暖炉の前だから暖かいし眠くもなるよね。


 私も少し眠いかなぁ・・・・。



「いい感じね」

「私たちが気を揉む必要もなさそうですね」

 暖炉の前で眠り込んでいる私とサイアスさんを見て、マリーネさんとツイルさんがニコニコしているなんてことには全然気付かなかった。

読んで頂きありがとうございます。

今年もあと1週間程度となってしまいました。なんとか、休まず書き続けることができてホッとしています。みなさんの応援のお蔭です。ありがとうございました。

今年の投稿は本日までで、来年1/7から投稿再開させて頂きたいと思います。

本年はお世話になりました。来年もよろしくお願い致します。

少し早いですが、良いお年をお迎えください。


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