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女神の常識

今回、汚い話が出ます。

食事中の方、歯磨きをする方はご注意願います。

 理沙は最初こそ身なりの良さから保護しただけの者であったが、なんだかんだ言って帝国に益がある者という認識が浸透する。

 後宮の女性はより美しくなり、教科書に載っていた知識は帝国の文化を底上げすると確信できる物だったからだ。


 だがしかし、そうやって功績をあげるからこそ嫉妬などの感情から敵対する者も生まれる。


 理沙が帝国に来てからおおよそ2ヶ月。

 理沙の帝国内での影響力が増し、手遅れになる前にと愚か者たちが動く。

 理沙の誘拐を企てた者が出たのだ。


 殺してしまうよりも姿が見えなくなる方が失踪や逃亡、元居た世界へ帰還したなどの言い訳ができる。また、理沙を売り払って小銭を稼ごうという意図もあった。

 相手がただの幼女だからと侮ったというのも殺さなかった理由だが、その目論見は理沙の持つ防犯ブザーにより阻止される事になる。


 誘拐犯たちは計画に携わった者達やその家族全てが処刑され、理沙の無事は守られたのだが。



「うぅ……へーか、どこー?」


 そのショックにより、理沙はオーグが見えない場所に行くと不安から泣き出すようになった。

 ブランケット症候群にも似たこの精神の不安定さは見た者の庇護欲を刺激し、帝国に利益のある者だからという言い訳をしつつ、理沙とオーグが一緒にいるの認める事となった。





 一緒にいる事で、理沙の生活習慣がオーグにも影響を及ぼす。


「うがいにおしっこはめーです!!」


 最初に言われた事は、歯磨きの前にしていたうがいに関する事だ。

 帝国では歯磨きのときに、人の小便を使用している。正確には尿に含まれるアンモニアを使って口内の虫歯菌を殺すことを目的に尿を使っている。

 あとは焼いた卵の殻や骨で作った炭酸カルシウムとミント、塩などを蜂蜜を混ぜた歯磨き粉を使用する。


 歯磨きをすることで歯の健康を保つ思想はあるが、さすがに尿は駄目だと理沙は力説する。

 おしっこはばっちい。

 口腔衛生思想を持ち出すなら、小便に含まれる雑菌だって問題だ。時間が経った尿には大量の雑菌が繁殖しており、それを使うなんてとんでもない。

 少女、処女の尿なら綺麗だという間違った認識を理沙は打ち砕いた。



 他には休憩時間の話などがオーグの興味を誘った。


「1時間ぐらいお勉強してたです。そのあと、休憩時間があって、またお勉強です。

 お昼になったらご飯を食べたりして1時間ぐらい休憩です。ずーっと勉強ばっかりは駄目です」


 オーグに1時間の長さは分からなかったが、集中力の持続時間を考えて適切な休息をとる事が作業効率の上昇に有効だという事だけは理解できた。

 土曜と日曜日はお休みという話には生産性の低さから肯けなかったが、毎日の仕事、その合間に休憩を挟むぐらいは許容できる。さっそくオーグは動き、休憩の有無から作業効率、ミスの発生率などに差が出るかを調べることにした。


 結果、休憩をはさんだ方がミスが少なく効率もいいという結果が出て、帝国内に1時間ごとの休憩時間という概念が根付くことになる。


 ただ作業時間と休憩時間を計る方法が安定しない事で現場が揉めて、帝国に少なくない混乱を招くようになる。

 この問題は日時計や水時計といったものが登場するまで続くことになる。

異世界と日本では大きく常識がずれている事があります。

小学生でも知っているような常識であろうと、聞く側に理解力と柔軟性があれば意外と大きな利益を生む話にもなります。


現場は混乱するでしょう。

ですが日本で常識としてまかり通っている以上、それも解決できる問題であるはずだと思うのです。

解決が困難であることと解決できないことには天と地ほどの開きがありますし。困難でも解決できるなら何とかなってもおかしくありません。

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