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女神の語る、物語

 泣き止み落ち着いた女児は、皇帝への献上品にクラスチェンジした。

 出身地が誰にも分からなかったからである。


 帝国の版図は広く、支配地から大陸の端、数千㎞離れた国の名まで調べられるほどの情報収集力がある。

 なのに「にっぽん」なる国は聞いたことが無く、「さとう りさ」と名乗った幼女の名は異国の響きに聞こえたのである。


 「さとう」という「みょうじ」という家の名前が個人名の前に来ることは西の果てにある国の様式であるが、そんな家名は誰も知らない。

 よって、身元不明の謎幼女として「りさ」――「理沙」は「珍しい国の姫を手に入れた豪商が皇帝陛下に献上すべく連れてきた」というシナリオを与えられたのであった。





「りさちゃん、これ食べる?」

「ありがとう、おねえちゃん!」

「りさちゃん、これも美味しいわよ」

「わあ。理沙、この果物、見たことないです!」


 理沙は後宮で人気者になった。

 娯楽の少ない後宮。理沙は一瞬でアイドルになり、後宮の女たちの関心を集めたのである。

 歩ける場所を制限され、出来る事も限られた後宮では、暇こそが一番の敵なのだ。

 そして、理沙には彼女たちが持っていない、大きな武器があった。



 それは地球のアニメや漫画の話である。


 話の内容はうろ覚え、漫画に至っては絵心など全くないので再現不可能であったが、そんな理沙の断片的な語りでも後宮では全く聞けないような物語であることには間違いなく、誰もが理沙の語る物語に魅了されたのだ。



「ねぇ、また「シンデレラ」が聞きたいわ」

「私は「日本昔話」の方がいいわ」

「あら、今日は「プリキュ○」にして欲しいわね。たまには毛色の違った物語の方が良いでしょう?」


 先ほどの餌付けはこの為である。

 彼女たちは自分が聞きたい話の為に理沙へ贈り物をしていたのである。



 もっとも。

 彼女たちが理沙を受け入れた理由は他にもあったのだが。

他のだれもが知らない物語を知っている。

それだけの知識でも使い様、使う場所さえあれば、他のだれよりも大いに活躍できるのです。

また、そういった物語をベースに新しい物語を紡ぐことすら不可能ではありません。ニートでヒキコモリだろうと、その程度は出来るはずですよ。

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