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女神の調味料

「まよねーず?」

「うん! マヨネーズ!!」


 春のとある日。

 理沙は出されたサラダにドレッシングではなくマヨネーズをかけたいと言い始めた。


 もともと火を通さない、生野菜を食べる習慣の少ない帝国だが、皇帝の食卓には饗される事もある。

 普段はオリーブオイルに酢を混ぜたドレッシングをかけるのが一般的なのだが、そればかりに飽きた理沙はマヨネーズを欲しがった。


 皇帝としても新しい物には興味がある。

 マヨネーズ製作はすぐに行われる事になった。





「まずはー、卵とー、お酢とー、お塩を混ぜます」


 マヨネーズづくりの様な、こういった事は学校で習う事ではない。理沙がマヨネーズの作り方を知っていたのは通信教育の体験学習でやったことがあったからだ。

 子供向けの、包丁など刃物や火を使わない調理体験としてマヨネーズ作りはよくある内容だったのである。


「いっぱい混ぜないと、だめです」


 なお、今回、理沙は監督である。

 実際に苦労するのは不幸な兵士その一であった。


「混ざったら、油を入れるです」


 卵と酢が撹拌された物の中に、油が投入される。

 ただし一度に全部入れるのではなく、ゆっくりと、混ぜている所に足されていく。


「いっぱい、いっぱい混ぜ混ぜですよー」


 途中、兵士が交替して作業が行われる。

 監督の理沙は途中で席を離れたりとあまり口を挟まないが、そこはレシピの持ち主だけに大目に見られている。というより、こういったレシピは秘匿される物であり、大金で取引される情報なので、口頭で教えてもらえるだけでも凄い事なのだが。



 複数の兵士を起用した理由の一つが、情報の拡散である。

 オーグは卵の需要を高めるためにマヨネーズを世に広めるつもりで動いている。


 養鶏は帝国で盛んに行われているが、その理由は鶏肉であり、卵は忌避される傾向にある。

 卵料理は火を使えばお腹を壊す事も無いが、生で食べれば危険である。そして庶民は火を使う事が容易でないので、生のまま食べる方法がないと広まり難い。現状、卵は毒物扱いに近い。


 しかし生食するがあれば卵が食材に変わる。

 鶏を無制限に育てる事は難しいというより不可能なので、卵を気軽に食べられるようにした方がなにかと都合が良い。



「できたマヨネーズは一晩、涼しい所に置いておくです」


 理沙によるマヨネーズ作りは無事に終わり、マヨネーズが帝都を中心に帝国に広まる事になる。

 もっとも、一般庶民に油は手が届かない事が多いため、貴族や裕福な商人たちが使うだけに留まるのだが。


 それでも卵の消費先が増えた事は確かであり、僅かであるが帝国を潤すことになる。

料理チートの基本、マヨネーズ。

材料のうち卵は比較的容易に手に入るようですが、油が高価で手が出ない事になりそうです。内地だと塩の確保も難しいですかね?

ギリシャ的な場所なら塩も油も容易に手に入りますし、出来るかどうかは気候次第という事で。

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