雨
誰かに助けて欲しかった。
雨の降る音がしたので
窓を開けて、手を伸ばしてみた。
思ったより蒸し暑くない。
エアコンをつけたばかりの部屋と大して差はない。
雨の降る音はする、腕も屋根より出ている。
それなのに雨に当たらない。
雨に当たれば自分はきちんと存在している、と確認することができると思った。
それなのに雨に当たらない。
悲しみが一層増し、腕を下ろす。
それと同時に手首の下の方が、ベランダの手すりに当たって濡れた。
今度は虚しさが私を襲う。
諦めた頃に触れた。
今私が求めているような希望や未来を諦めれば、誰かの優しさが私に触れるのかと思った。