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珈琲から靄が出るって異様だから!!
「暇だな」
ぼんやりと珈琲片手に男はパソコンの前に座っていた。
北海道ではもうすでに10月過ぎ。それなのに太陽の光が暑いこの異様な空気を扇風機をつけて乗り越えていた。
……というはずなのだが、今の彼は違う。
いつもどうり珈琲を飲んでいたときのことだ。
彼は偶々。本当になんも思わずふと珈琲の中に視線を向けた。
その途端、真っ黒い靄のようなナニカが彼を包み込んだのだ。
理由は彼にもわからない。
気が付けば彼はとある木の上に服が引っかかっており、そのまま降りれもせず、助けを呼んでも誰も来ぬまま約5時間が経っていた。
暇になるわ、腹は減るわと踏まれて蹴られてな彼はそれでもなお降りれない自分の服をなんとかしようとじたばたしていた。
――――今の彼は、服を脱ぐなんていうとても簡単な解決方法をまだ知らない。