15.天空回廊の戦い①※
天空回廊は転移魔術を用いた一大物流ネットワークだったと言えるだろう。かつては旧パロサント王国全域から大陸の西半分を網羅するほどの無数の回廊、転移魔法の経路が引かれていたのだそうだ。
それぞれの回廊は港と呼ばれる施設間で繋がっており、俺たちが足を踏み入れたサントレイア港はネットワークの中心、ハブ港とでも言えそうな中枢施設だったのだという。城としか形容しようがない立派な造りになっているのはそのためらしい。
話を聞いてまず疑問に思ったのは、それほどの転移魔術ネットワークをどのように維持しているかだった。現代の転移門もそうだが、大魔法ほどの規模の魔術は展開に莫大な魔素を使用する。
転移門の場合、巨大な門を形成している石の内部に魔素が充填されているそうで、石の表層に施された魔術式によって出力を厳密に制御しているのだそうだ。装置兼電池ということになる。
しかし天空回廊の港は一見して巨大な構造物があるわけでもなく、何百年も前に遺棄された施設に専属の魔術師が居るはずもない。どのようにして回廊に使われている魔術に必要な魔素を維持し続けているのかが非常に気になるところだった。
山頂のサントレイア港。
薄く雪が積もった城門を抜けると、木製の建具がすべて朽ちたのだろうか、扉が無い城館の入り口に辿り着いた。
中のエントランスホールにも雪が入り込んでいたものの、降り注ぐ光に照らし出された石壁や柱といった内装の彫刻は健在で、今なお時の流れに逆らって息づいているように感じられる。
錯覚だ。かつてはあっただろう賑わいも繁栄も、此処には無い。人の姿も気配もだ。雪化粧に残る足跡は先行しているミラベル達のものだけだった。
天井を見上げると、崩落した屋根の隙間から月が見えた。風化を免れてはいないらしかったが、石材で出来ているからだろう。その調子はひどく緩慢なのだろうと窺える。
そんな古城の有り様に、俺は奇妙な共感を覚えるのだ。
「……お互い大変だな」
耳が痛いほどの静寂が満ちる広間を抜け、奥の廊下に出たところで先行した三人の姿が見えた。ミラベル、それに来瀬川教諭とルカの三人は一様に厚手のケープコート姿である。ベーカリーで採用されている制服を拝借したものだ。
俺に気付いたらしい、アルビレオの棺桶を背負ったミラベルがこちらを向いて手を振った。
「アキトさーん! こっちでーす!」
石造りの廊下にソプラノの声が反響する。
俺も大声で叫んでみたい気持ちが若干芽生えたものの、さすがに大人げがない。来瀬川教諭の前でもあるので控えておいた。
寒さで気力に乏しいのもある。事前に予想したとおり、標高のせいで気温が相当低い。俺も隊商から購入したコートと贈り物のマフラーで固めているが、それでも若干凍えるほどだ。早々に移動しなければ風邪をひきそうだった。
足早に合流した俺はミラベルの背負った棺桶に声をかける。
「それで、回廊はどこにあるんだ?」
「このまま道なりに進んでいけば突き当りに貨物の発着場がある。けど、まずは中央管制所で回廊の術式を起動する必要がありそうだね」
「……なんだ、停まってるのか」
「らしいね。さすがにガタが来ているのかも。発着場も調べた方がよさそうだ」
この天空回廊とやらだけが頼りの綱なのだ。壊れていないことを祈る他ない。俺は少し考え、
「手分けしよう。俺は発着場を調べるよ。術式の方はミラベルに任せていいか? 俺の魔法の腕でどうにかなるもんなのか疑問だし」
「はい、承りました」
「ルカもミラベルに付き添ってやってくれ。先生もできれば。無人の廃墟だからって単独行動はさせられない。急に崩れたりするかもしれないからな」
「ハッ……過保護だねぇ」
棺桶が茶々を入れるが、事実なので文句はない。
「お嬢様がただけじゃ管制所の場所も分からないだろうし、戦力的に考えても僕は管制所だな。ワォ、やったじゃないか、門番さん。あんたは単独行動だ」
「……」
引き続き事実なので文句はない。
ないのだが、単独行動云々と言っておいてどうなのかという気はする。口をへの字に曲げていると、寒気によって頬の赤い来瀬川教諭が白い歯を溢した。
「高梨くんの方には先生がついていくよ。って、こっちが面倒見てもらうことになっちゃいそうだけど」
「……いや、助かります。手が四本だと大違いなので」
「微妙な評価だね……?」
ひーちゃん先生は萎れるが、彼女に限らず全員腕力やら何やらの要員としては最初から数に入れていないので、誰であろうとランタンを持ってもらうくらいしか任せることがない。
なのでランタンを手渡すと、子供先生はふんすふんすと意気揚々な様子で先を歩き始めた。脇道に向かっていったミラベル達を見送ってから、俺は小走りで小さな後ろ姿に追い付く。
「いやー、こっちの世界に来て早々だけど、いきなり浪漫を感じる探検になったね。魔法の遺跡だよ、魔法の遺跡」
「はは……まあ、独特の趣きはありますかね。セントレアは欧州辺りの田舎町と変わんないですけど、転移街アズルなんかは幻想的に見えるかもしれません。魔術設備の塊みたいな街なんで」
「へええー、面白そうだね! 機会があったら案内してくれる?」
「ええ、勿論」
俺から見れば朽ちた古城でしかないサントレイア港だが、来瀬川教諭は風化しかけた石壁の紋様などを眺めながら楽しそうに歩いている。異界でお目にかかれる類の廃墟ではないので新鮮なのだろうか。
建っている場所が場所だけに野生動物や野盗なんかの危険がない、というのも安心材料だ。町長の言うとおり、整備すれば観光資源になるかもしれない。寒すぎるのがネックではあるが。
***
しばらく談笑しながら歩くと、廊下を抜けて屋外の区画に出てしまった。道は一本だったはずで間違えようはないはずだが――と、外への出入り口をくぐった俺と来瀬川教諭は歓声をあげる羽目になった。
「うわあ……すごいね」
そこには空中回廊があった。左右の地面がない、橋のような様相を呈した石の歩道が真っ直ぐ伸びていたのだ。
手すりから下を覗くと、切り立った山頂から迫り出している部分であるらしく、遥か下に月明かりに照らされる山肌の地面が見えた。高過ぎて直視すると足元が不安定になるような、高所特有の錯覚が起きるほどだった。
幸い空中回廊は頑強な造りであるらしく、三メートルほどはあろうかという道幅で崩落している箇所も見当たらない。かつては荷車の類が行き来していたはずなので、人間二人分の体重くらいであればまったく問題ないだろう。来瀬川教諭は半人分くらいしかないことだし。
という俺の思考を読んだかどうかはわからなかったが、来瀬川教諭は歩を止めることなく進んでいく。思わず声をかけてしまった。
「転ぶと洒落にならんので、できるだけ真ん中を歩きましょうね」
「えー……? 先生をなんだと思ってるんだろうね高梨くんは……」
「大事な人ですよ」
智解の福音、読心能力者相手に隠し事など無意味だろう。どうせ読まれてしまうので率直にそう言うと、来瀬川教諭は見えない壁にでもぶつかったかのように停止した。
わなわな震える背中にまたも追い付いたので軽く肩を叩く。来瀬川教諭と親交を深めるのはやぶさかではないものの、今ではない。大変遺憾ながら。
俺とてこの古城に幽玄の美を感じないわけではないが、どうしても現実的な心配が先に立つものだ。
「なので、怪我の無いように進みましょう。滑りやすそうなんで」
「だ……だね。適度に気を引き締めて行こ」
空中回廊をゆっくりと歩き、道なりに進むと目立つ構造物に突き当たった。一見すると神殿か何かのような建物だ。あれが貨物の発着場だろうか、と目を凝らした俺は、居並ぶ石柱と、かつて門扉があっただろうその入り口に、細い影を見る。
背中が見えた。
彫像かと一瞬見間違えた。
なぜならここは失われた王国の遺構であり、生きた人間がいるはずもない場所だからだ。もし人影があるのだとしたら、それはここに至るまでいくつか見かけたような彫像か、でなければ亡霊くらいしか考えられる可能性がなかった。
俺は、足を止めた来瀬川教諭の前に進み出る。
彼女にはそのまま待っていてもらって構わなかったのだが、気配は進む俺の後を付いてきた。待ち受けているだろう人物に間合いは関係ないので、咎めることはしない。むしろ都合が良いのかもしれなかった。
発着場までの道に残る薄雪の上、俺たち以外の足跡はないはずだった。
しかし、その人物は現に俺の前に立っている。目を凝らさなければ、感覚を研ぎ澄ませなければ気付かないほど希薄な気配と共に立っているのだ。
間近まで近寄った俺に、その老婦人は言った。
「――――よもや、本当にあの傷で命を拾おうとは」
それは感嘆の声だったか、驚嘆の声だったか。
剣聖、マルト・ヴィリ・カリエール。
長さだけが取り柄の俺の人生の中、唯一、剣で俺に土をつけた人類種。
俺は、内心の動揺を殺すように霞む息を吐き、
僅かに迷ったのち、減らず口を叩いた。
「案外なんとかなるもんですよ。まあ、ミラベルのおかげですが」
「……なら、あの場はあの子が正しかったのでしょう。陛下やわたくしが御身を侮っていたのだと、いよいよ認めなければならないのかもしれませんね」
「ミラベルのおかげと言いましたよ。俺じゃない」
剣聖は踵を返し、俺を振り返る。
その一見穏やかでいながらも、奥底には飢えた獣を宿した瞳。視線が。俺の後ろに立っているだろう来瀬川教諭を捉えないのを確認し、再び白い息を吐く。
「あんた達はそんなだから……いつだって本当に強いものを見落とすんだよ」
「戯言、と。切って捨てましょうか」
「じきに分かるさ」
俺と彼女との間に挨拶などは無い。
剣士が出会い、互いに剣の柄に手を置いている。
であるのなら、この先にあるものは決まり切っている。
いくつかの推測はできる。手前までの道に足跡がなかったのだから、彼女が歩いてここまでやって来たという可能性はない。もっとも考えられる手段は転移魔術で、でなければ飛行艦ということになるが特定は難しい。
いま重要なのは、剣聖にとってこの再会が不本意であるということだ。予知能力を持つという皇帝の腹心に、予定外の事象などというものがあること自体が大きな鍵になる。
いつか、魔導院で皇帝と戦った時もそうだ。
彼には見えていない未来ある。急遽俺を迎え撃つことになった彼は喀血し、以降、本人は目立った動きを見せていない。その理由はなんだ。
俺を警戒していない――そんなはずは――
「いや……そうか。見えてないのか」
無意識に漏れた呟きに。
剣聖の頬が、僅かに動いた。
三度、俺は深い息を吐いて瞑目する。
様々な知見を得た今なら分かる。
往還門だ。
常に時間移動を伴うあの扉が、幾度も未来を書き変えているからだ。
時間軸の枝に対し、通過者の有無という差分を生み出し続けるあの門が、予知した未来を都度覆しているからだ。
こと俺に関する未来を皇帝が読み違えるのは、きっと往還門の力だったのだ。
時の福音の底が見えた。
看破し、俺は目を開く。
魔導院の時と状況は似ている。おそらく、俺たちの帰還によって皇帝にとって都合が悪いことが起きようとしている。だから、彼にとっておそらく最強の駒であろう剣聖マルトがここに居るのだ。
南門で彼女と戦った時とも似ている。俺は一刻も早くロスペールに行かねばならないし、そこに猶予などというものは無い。それは剣聖を除かずして叶うまいとも分かる。
同時に、決定的に違うこともある。
迷いはもう無い。俺は剣の福音を完全に掌握している。
頭に巣食う剣技たちが前進を叫んでいる。故に。
「押し通る」
「是非に及ばず」
俺の左右の手が粗末な双剣を抜き放つと同時に、剣聖マルトも抜剣する。
両者共に抜き打ちである。
しかし、剣比べの再演をするつもりなど、今の俺にはない。
先制攻撃をする。
人類種を相手に、俺は自ら全力で仕掛けるという行為をしたことがない。
実は一度も。
何故なら、高確率で相手を殺傷するからだ。この手が負けるはずがないからだ。戦意を折るだけでいい筈だと、心に決めていたからだ。
そうだ。剣の福音に裏打ちされた傲慢によって、俺は無意識に加減をしていたのだ。
借り物の力に任せた刃で、なぜ人が斬れるというのか。福音に操縦されるだけの技で、いったい何を誇るというのか。
だからこそ、俺は根本のところで剣士ではなかった。自らで練磨した剣技を持たない、単なる剣使いでしかなかった。
しかし、もはや俺と剣技は別の存在ではない。勝手に体を操縦されている感覚は既に無く、無数の彼らの剣技、戦いの記憶が俺と共にある。これらは最初から俺の一部だった。俺は――
無貌の仮面を被る。
剣技から装填される黒い魔力が、全身から這い出た。それは本来、様々な色をしている。それぞれの枝で高梨明人が得る魔力の色。それらが混濁し、黒く見えている。もう元の色は分からない。溢れ出す無限の魔力だけがある。無限に積み上がった凡庸な少年の死が、思考を、全てを黒く覆い尽す。
刹那で踏み込む。剣聖のもとへ。
俺は身と左の剣とを翻し、胴体の影から右の長剣を振るう。真正面からでありながら、体で隠した死角から剣を打ち込む二段の剣技。ラングレンの象限儀。その変型。
「……ッ!?」
瞠目した剣聖がその刃の腹を受け流し、辛うじて躱す様を、俺は時間が鈍化した世界で冷静に観察している。
彼女の十八番、結果的に俺を斬った神速の抜き打ちである「一の太刀」は、初見かつ初撃で最大の効果を発揮する剣技である。抜き打ちの速度で凌駕されることを想定していない強者の技だ。それは凄絶なまでに鋭く、美しい。
だが、脆い。
先制で封殺できる。できてしまう。
左右の剣を握る手に、いっそうの力を籠める。
マルトの長剣は跳ね上がっている。反撃は無い。畳み掛ける。本来は三連の切り払いを双剣用に変型させた六連の打ち込み。虚誕破軍。
その半ばまでを受け切ったマルト・ヴィリ・カリエールは、後半を受け切れず、動揺の色を露わにして跳び下がった。俺は敢えて追撃をそこで切り、左右の剣を下げる。それは敵に猶予を与えた訳では決してないのだが、敵は何かを囀る。
「ああ……! なんという……なんというものを見せてくれるのですか……!」
「……何が?」
剣聖は歓喜に震えていた。
意味不明である。頭が痛い。
「その姿……この技の冴え……数々の技! その力こそ、まさしく御身こそが剣の御使い……! 神が与えたもうた剣の道の答えに他なりませぬ……!」
「……答え?」
「人の身で数多修められる技ではない……なればこそ……!」
「いや……? あんたの一の太刀と同じだ……凡人が死ぬほど……死ぬまで努力して手に入れるたったひとつ……俺は……それを並べてるだけだ。神の力なんかじゃ……ない」
本当に頭が痛い。
訳の分からない戯言を言われたので適当に流し、俺は右の剣を肩に担いで首を回す。思っているほど動けていない。剣技とは完璧に同調しているはずだが、どうも体の方がついてこないらしい。
まったく、
揃いも揃って、こんな老女一人ごときを斬り殺せないのでは、仕方のないというものだ。
「高梨くんっ!?」
背後で智解が悲鳴を上げた。激しい頭痛がする。
しかし、あれの性能で出来ることなど無い。
善性の光だけで救えない知性はあるのだ。力の信奉者、マルト・ヴィリ・カリエールは決して悔悛などしない。後退もしない。在りもしない殺人術の極致を求め、居もしない神に縋る愚かな剣の殉教者。斬り殺す以外の結末など必要無い。力の道理のまま、死ぬべきだ。
そうだ。
剣を執るものは剣によって滅びるべきなのだ。
すべからく。そのことごとくを俺は葬る。
「殺人術に果てなどあるものかよ! 哀れな定命者が!」
左右の剣を低く構え、老女の防御の剣を食い破らんと俺は撃剣を開始する。
――祈りの剣、現象攻撃はいずれも使用不能。役立たずの聖性どもが健気にも妨害している。しかし、この女を殺すだけなら剣技だけで事足りる。
薄雪を舞い上げ、黒い魔力を纏わせた右の剣で掬うように斬り上げる。剣技、砕氷衝角。決して速くないその刃を受けた剣聖は、捩じられるようにして真横に吹き飛ぶ。
合わせた剣から剣へと魔素を浸透させ、魔力による打撃を加える崩しの技。現行剣術には存在しない未来の剣技だ。マルト・ヴィリ・カリエールには対応ができない。
横に崩れる敵に合わせ、置いておいた右足で剣聖に蹴りを叩き込む。しかし、枯れ木を踏み壊すような感触と共にたたらを踏んだ剣聖は、喜悦の顔でもって反撃の刃を振るった。
涙滴の基礎の型、王道の剣。地力の差か、埃を被った古式剣術如きが驚くべき速度で打ち込んでくる。
が、真正面から余裕をもって受けた俺の剣と拮抗し、魔素が火花を散らした。彼我の反応速度と魔力量の差に、剣聖の顔が歪む。
「――ッ!」
「はははは! 本気を出せよ、剣聖!?」
彼女は、速さも強さも並の人類種とは桁が違う。
だが、俺にはその事実が可笑しくてたまらない。これほどの鍛錬。これほどの練武。そうまでして人如きを殺したいとは、まったく理解に苦しむ。意味不明だ。殺すしかない。
「力が全てなんだろう!? 抗ってみせろ! 例の詐術を使ってみせろ!」
受け太刀のまま敵の剣を跳ね上げ、死に体になった剣聖を再び蹴り上げる。更に蹴り上げた足を軸にして身を捻り、遠心力をかけた左足で胴を薙ぎ払った。
轟音が響く。黒の魔力の余波で周囲の残雪が全て舞い上がり、内臓に深刻な損傷を受けた剣聖が喀血した。
やはり脆い。話にならない。
歪み始めた左の鉄剣を捨て、その喉笛を掴む。
「が…………!」
「お前の全てを否定してやるよ! マルト・ヴィリ・カリエール! それが本当の答えだ!」
細首をへし折る寸前、ようやく剣比べなどではないのだと気付いたらしい剣聖が咄嗟の体で剣を操った。乱れた剣筋を雑に剣で受けるが、反動で剣聖は拘束を脱している。
これは殺し合いなのだ。
剣を抜くとは、本来、そうあるべきなのだ。
咳き込む剣聖に二度、三度と剣を叩き下ろし、さすが人類種の最強だなあなどと感心しながらまた蹴り飛ばす。
空中回廊の方へ押される剣聖を追撃せんと、俺は地を蹴る。数多重なった少年たちの死を、迸る黒い魔力を引き連れて。




