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第11話
「まず俺から行かせてもらう!」
そう叫び黒甲冑は俺の方へ近づいてくる。
「ワテル、シュオト、コマンド、ブート!」
「やはり魔法使い!」
俺のウォーターショットはギリギリの所で躱され、奴は迫ってくる。
「……ウィンド、ダルト、コマンド、ブート!」
俺の切り札である、下級元素魔法ウィンドダートが黒甲冑に迫る!
「甘い!」
黒甲冑はウィンドダートすら難なく躱し、俺の首元に槍を突きつけた。
「ザイン!」
ミリアは叫んだ。
「お前の、負けだよ。」
「ぐっ……」
「さぁ、ケオスについて知っていることを全部言えよ。言えば殺しはしないさ。」
「あいつは……俺の父と母を殺した。知っているのは、それだけだ。」
「ふぅーん、本当にそれだけか?」
「それだけだ。」
「嘘をついている目ではないね。」
そう言って黒甲冑は槍を手元に戻した。
「まったく……時間の無駄だった。俺は行くよ、じゃあね。」
「待て、名くらい名乗っていけ!」
「俺の名前はガルス。ケオスを殺す者だよ。」
そう言ってガルスは立ち去った。いつの日か、あいつを倒す。俺の倒すべき相手は、二人に増えたのだった。