第三話 実技試験と白虎の間と
技の名前とか、まるでセンス無いです…
〔学院モニター室にて〕
「フム…今年は、どのような能力を持つ者がいるかな?」
コーヒーを啜りながら、学院のモニター室で実技試験を眺める人物が一人。
「古暮先生も、ご見物ですか?」
「ン…氷室先生。ええ、まあ」
そのモニター室に、氷室と呼ばれる女性が現れる。
古暮明人。そして、氷室玲那。
二人は獅子王学院の教官であり、今は教え子になるであろう入学生の実技試験開始までの様子を、眺めていた。
「そろそろ、フロアに行かないと…白嶺先生に怒られますよ?」
「はあ…面倒ですねえ。なんでわざわざ、私が子供の世話をしてやらにゃならんのですかね?」
「愚痴は後で聞きますから…ほら、行きましょう」
「はいはい…まあ、絞ってやるとしますかね」
そう言って二人は部屋を出る。
蒼吾達と対峙するのは、どちらの教官だろうかーーーーー。
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「実技試験って…トラップ回避とかも、させんのかよ」
「らしいな。罠への対応、状況判断、魔物を対処出来るかどうか…
全てを見、能力を判断する為の“実技試験”だろう」
蒼吾と浩二は7フロア、【白虎の間】に挑んでいる。
理由は、浩二曰く「ラッキーセブンはいい結果を出すから」だそうだ。
そして現在は、【白虎の間】に設置されたトラップ…
所謂、落とし穴の下に剣山を目の当たりにしていた。
「ひゃー…刺さったら痛えよな?あれ」
「試して来たらどうだ」
「まだ死にたくねえから、遠慮するぜ」
トラップを目にしてもお互い動揺はせず、他愛のない会話を続けていた。
トラップのある部屋を抜けた先は、何も無い白い部屋。
「おいおい、白虎だけに白い檻かあ?」
「旨くないが…的中のようだ」
【白虎の間】だけに…白い虎の魔物が現れた。
「4匹か…少ねえな。やれるか、相棒?」
「善処する…と、言っておく。一匹ずつ確実に仕留めたい。援護は任せるぞ、浩二」
「任せとけ!」
虎に向かって踏み込む。
逆手に構えた双剣の剣撃を虎に浴びせ、弱った所を浩二の射撃で仕留める。
「射撃は上手いな、浩二」
「射撃は、って割と傷つくぜ!?
っと、背中がお留守だぜ!」
蒼吾の背後にいた虎に浩二が射撃をしーーー。
「フッ!!」
仰け反り怯んだ所に、一撃を入れ仕留める。
「これで2匹、残りも2匹か」
「余裕だろ!俺は右をやる、左は任せたぜ!」
そう言って右側の虎へ走り出す浩二。
「…ま、任されてやるか」
左側の虎へ踏み込み、一撃を入れる。
「これで決まりだ…!」
左手の剣で切り上げ、右手の剣を構え、一気に踏み込む。
「《瞬閥》-シュンバツ-!!」
虎の体を切り裂き、そのまま抜ける。
「…こんなところか」
双剣を仕舞い、息をつく。
息をついた所で、5回の銃声が聞こえた。
「終わったぜ、蒼吾。そっちも終わりか」
「ああ、なんとか…
! 浩二、後ろだ!!」
「っ!?」
浩二が銃撃を浴びせた虎はまだ生きていた。
そしてーーー。
浩二はどうなるんでしょうか…