鞍馬天狗草紙 ー酉年ー
□鞍馬山・根の谷
武術の修行をしている天翔丸と陽炎。
天翔丸が木の根に足を引っかけてすっ転ぶ。
天翔丸「おわっ!? いっててて……なんだよ、
この根っこ〜!」
陽 炎「根のせいにしない。足元がおろそかだ
から転ぶのです」
天翔丸「こんなとこに出っぱってる根っこが悪
いんだ! 前から思ってたけど、なんでこん
な足場の悪いとこで修行すんだよ?」
陽 炎「足場の悪い所だからです。しっかり踏
みこんでいれば転びません。いかにあなたの
踏みこみが甘いかがよくわかるでしょう」
天翔丸「ぐ……っ!」
そこへ琥珀が走ってくる。嬉々とした様子
で、
琥 珀「天翔丸〜、天翔丸〜!」
天翔丸「お、どうした? 琥珀」
琥 珀「天翔丸って、ニワトリさんとお友達や
ったんやね!」
天翔丸「……は?」
琥 珀「住職様から教えてもらったんよ。ニワ
トリさんは飛べない鳥で、天翔丸は飛べない
天狗やから、ニワトリさんとお友達なんやて。
すごぉい!」
天翔丸「う、う〜ん……」
陽 炎「琥珀、修行中だ」
琥 珀「あ、邪魔してごめんね。ほな天翔丸、
またね!」
たったか走り去っていく。
天翔丸「……八雲の奴、琥珀になに教えてるん
だぁ?」
陽 炎「天翔丸、立ちなさい。早く修行を。鞍
馬天狗たるものが木の根に足を引っかけて転
ぶ有様だから、ニワトリと友達呼ばわりされ
るのです」
天翔丸「関係ねーだろっ!」
(終)
本年も鞍馬天狗草紙をよろしくお願いいたします。
【作者コメント】
2005(平成17)年の年賀状用に書いた小話です。前年中に富士見書房にお手紙をくださった読者の皆様に送付しました。酉年なので、それをお題に天翔丸たちを書いてみました。脚本形式で。
鞍馬山で撮った根の谷の写真を背景に、ハガキ1枚にぎっしりこんな文章を載せた年賀状……絵も描けないデザイン能力もない物書きの苦肉の策であります。
内容については特にコメントもなく(苦笑)……お粗末様でした。




