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本日も晴天なり  作者: 古紫 汐桜
第三章 五道家
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タマの肉球ビンタはやっぱり痛い

タマのキックで吹っ飛ぶ俺。


「まったく……最近の若い奴は礼儀がなっていない!」


仁王立ちで腕を組み、尻尾をバシバシ叩きつけながら怒るタマ。

猫なのに喋るだけでも驚きなのに、二足歩行に腕組みまでしてきやがる。


固まって見つめていると──


「なんだ? 何か言いたいことでもあるのか?」


相変わらず、俺に“だけ”は冷たいタマ。


しかし、よく見ると毛色が少しくすんでいる。


「タマ! お前、また毛色がシルバーになってるじゃないか!」


慌てて浄化すると、タマの毛は元の雪のような白に戻った。


「ふん。相変わらず、その力()()は見事だな」


満足げに毛並みを整えながら、タマはサファイアの瞳で俺を見上げる。


「……空也が荒れておるのは、お主のせいか? 何があった?」


その視線に、俺は思わず息を飲んだ。


「どうせ、哲真に何か言われたのであろう?」


タマの言葉に驚いて顔を見ると、


「やはりな。あの家を奪うくらい……あの男なら言いかねん」


そう低く呟き、タマはふっと笑った。


「まぁ今は、やつを“満足させておけば”よい。

……で、お前はどうしたい?」


「俺は……空也と、このままなんて嫌だ」


考えるより先に、口が動いていた。


「分かった。この件は、なんとかしよう」


窓から飛び出そうとしたタマに、俺は思わず叫んだ。


「タマ、待って! もう少しだけ……一緒にいてくれよ!」


気付けばタマを抱きしめていた。


モフモフ……最高すぎて、頬ずりが止まらない。


「ええい! 離さんか、この大馬鹿者!」


思い切り肉球ビンタを食らったが──


(肉球なのに……痛ぇ……!!)


……それでもモフりたい気持ちは止まらなかった。


「あと少しだけモフらせてくれ〜!」


名残惜しそうに毛並みを堪能していると、タマの体がふいに金色に光り──

次の瞬間、巨大化した。


「た……タマ?」


呆然とする俺に、巨大タマは満足そうに微笑む。


「でかしたぞ、青夜。……まさか、そなたの力がここまでとは」


そしてふと目を細める。


「そうか……青夜。お主、神代家の血筋であったか」


「タマ、さっき五道哲真も言ってたけど……何なの? その“神代家”って」


俺が首を傾げると、タマはニヤリと笑う。


「なるほどな。それで“強行突破”に出たわけか……。

ならばこちらも、強行突破と行こうではないか」


そして──


「青夜、我の背に乗れ!」


「え? でも……」


戸惑う俺をよそに、


「案ずるな。この部屋には結界を張っておいた。

お前がいなくとも、誰も気付くまい。

……それともここに残って、空也と絶縁するか?」


その言葉に、俺はタマをギロッと睨んだ。


「その聞き方、ずるいよ……」


そう呟きつつ、迷わずタマの背に飛び乗った。


モフモフ……やっぱり最高に気持ち良い。


タマは背中の俺を確認すると、


「しっかりつかまれよ!」


と言うが早いか──


巨大な体を翻し、窓から夜空へ飛び出した。


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