桜子さん強すぎ問題。そして哲真の要求が規格外
チャッピー、私が直してみたけど、どう?⬇️
「桜子さん! む、胸! 胸!!」
俺が必死に訴えると、桜子さんは勢いそのまま、
「胸がどうした! まさか……私にハグされるのが嫌なのか!」
と言いながら、さらにギュウウッと抱き締めてきた。
(苦しい! 死ぬ!! 本当に窒息死する!!)
俺が白目になりかけた瞬間、五道哲真が楽しそうに口を開いた。
「桜子、その辺にしてあげなさい。小林君が窒息死しそうだ」
「えっ!? 窒息死!?」
慌てて俺を離す桜子さん。
解放された俺の意識には──
ほんの一瞬、桃源郷が見えていた。
「きゃあ! ごめんなさい!」
ぐったりしている俺から手を離す桜子さん。
(……本気で死ぬかと思った……)
朦朧とした意識の中、桜子さんの声が聞こえてくる。
「で、お父様。どうしてここに青夜きゅんが?」
(青夜“きゅん”って……いや、突っ込みどころデカすぎる)
俺が意識を取り戻しながらツッコんでいると、
「ほら、空也とばかり仲良くしているからね。桜子とも仲良くして欲しくて来てもらったんだよ」
(来てもらった……じゃなくて、連れて来ただろうが!
ほぼ拉致だよ!!)
心の中で総ツッコミを入れつつ、ようやく上半身を起こす。
「青夜さん、大丈夫?」
桜子さんが覗き込んでくる。近い。顔が近い。綺麗。心臓に悪い。
俺は無理やり笑みを作って答えた。
「……ぼんやりしてましたけど、お二人の会話は、ちゃんと聞こえてました」
「えええええっ!!?」
桜子さんは一瞬で真っ赤になる。
(今は“きゅん呼び”の羞恥より重大な問題が山積みですよ、桜子さん)
俺は気力で体を支え、五道哲真へ向き直った。
「……拉致同然に連れて来られて、目的が桜子さんだけ……とは言いませんよね?」
桜子さんは口元に手を当てて青ざめる。
「ら、拉致って……」
「まぁ、多少強引だったかもしれないが、拉致は言い過ぎだよ?」
哲真は肩を窄めて苦笑したあと──
すっと表情を引き締め、俺を見据えた。
次の言葉は、空気を変えた。
「単刀直入に言う。
きみは桜子と結婚し、五道家に婿養子に入ってもらう」
「「えっ!!?」」
俺と桜子さんが同時に叫んだ。
哲真は続ける。
「きみの遺伝子は優秀だ。後世に残されるべきものだ。
空也と結ばれたところで、その遺伝子を残すことはできないだろう?」
(ちょ、めっちゃ真顔で遺伝子の話!?
現代日本の会話じゃないぞこれ!!)
俺は慌てて反論した。
「まず……空也とは“友達”です。変な勘違いはやめてください。
そして……け、結婚って……そういうものじゃないと思います!」
だが哲真は、微笑すら含んだ余裕の表情で言い放つ。
「若いね。桜子と結婚すれば、この邸宅も、財も、名声も、権力も……すべてきみの手の中だ」
「……」
「桜子は容姿も教養も申し分ない。普通の男なら飛びつく条件だと思うが?」
俺の反応を測るように見つめ、肩をすくめた。
(いやいやいやいや!!
スケールが違い過ぎるんだって……!
こんな話し、“普通の男“には来ないって!!)
俺は心の中で、盛大にツッコんだ。




