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本日も晴天なり  作者: 古紫 汐桜
第三章 五道家
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青夜、五道家に捕獲される。

「そんなに美味そうに食べる姿を見ると、雪夜を思い出すよ」


五道哲真はぽつりと呟き、ゆっくりと窓の外へ視線を向けた。

その横顔には、どこか寂しさと痛みが滲んでいる。


「あの……雪夜さんのこと──」


俺が口を開いた、その瞬間。


ドタドタッ!


『スパーン!』


勢いよく襖が開き、桜子さんが飛び込んできた。


「お父様! 青夜さんを連れてきたって……どういうことですか!」


俺が驚いて振り向くと、桜子さんは目が合うなり土下座寸前の姿勢で深々と頭を下げてきた。


「すみません! 父が無理やりお連れしたんですよね!」


「え~! その言い方、酷くない?」


唇を尖らせる哲真に、桜子さんはキッと睨みつける。


「お父様は黙っていてください!」


再び俺へ向き直り、何度も頭を下げる。


「本当にすみません……!」


「あ、あの……大丈夫ですから、頭を上げてください」


畳に額がつくほど深く頭を下げる桜子さんの肩にそっと触れると、弾かれたように顔を上げた。

その瞳には涙が滲んでいる。


慌ててポケットからハンカチを取り出して握らせる。


「驚きましたけど……本当に大丈夫ですよ」


俺が微笑むと、桜子さんの表情が少し和らいだ。

その様子を横で見ていた哲真が、ぽつりとつぶやく。


「なるほどね……」


そして唐突に──


「小林君、きみのご両親はご健在か?」


「お……お父様!? 突然何を聞いているのですか!」


桜子さんが慌てて声を上げる。

哲真は「あぁ……」と軽く手を振り、


「挨拶したいという意味ではないよ。ちょっと気になることがあってね」


そう言って俺に問い直してきた。


「で、どうなんだ?」


「健在です。ふたりとも小さな島で自然に囲まれて暮らしています。

俺は高校から都内に出て、そのまま一人暮らしを続けていますけど」


答えると、哲真は腕を組みながら考え込むように呟いた。


「島から出られない……わけではないのか。

小林という苗字は母方のものでは?

父方は──恐らく『神代』ではないのかな」


「え?」


突然の苗字の話に頭が追いつかない。

俺は物心ついた時からずっと「小林」だったし、母方か父方かなんて知らない。


「まぁ、戸籍を調べれば分かる話だ」


そう言って手を叩くと、黒服の男たちがすぐに姿を現した。


「彼の両親を調べろ。雪夜の身内かもしれない」


「えぇ!?」


あまりの展開に立ち上がり、テーブルの角に膝を強打する。


「いってぇ……!」


うずくまる俺に、桜子さんが慌てて駆け寄る。


「大丈夫ですか?」


顔を覗き込んでくる近さに、俺の心臓は跳ね上がる。


姫華ちゃんも美少女だけど、桜子さんは“絶世の美女”という感じだ。


「だ、だ、大丈夫です……」


緊張で噛みまくる俺を、哲真は完全に“珍しいおもちゃ”を見る目で見ていた。


(絶対、楽しんでるだろ……!)


ムッと口をへの字にしていると──


突然、桜子さんが俺を抱きしめた。


「可愛い! やっぱり無理! 諦められない!」


豊満な胸に顔を埋められ、呼吸が止まりそうになる。


(……殺す気か!?)


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