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本日も晴天なり  作者: 古紫 汐桜
第三章 五道家
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五道家当主、来襲。

「ちょっと兄貴! 来るなら連絡しなさいよ!」


顔を見るなり叫んだマキちゃんに、五道哲真は眉間に深い皺を刻んだ。


「……真樹。なんだ、その格好は」


低く響く声とともに、哲真は靴を脱ぎ捨てるようにして店内へ入ってくる。


咄嗟に空也が俺の前へ立ちふさがった。

その瞬間、哲真の眉間の皺がさらに深くなり──

背筋が凍りつくほどの圧が走った。


「アタシが家でどんな格好してようが、兄貴には関係ないでしょう!」


マキちゃんは叫ぶが、哲真は完全に無視。

視線はただ、まっすぐ俺へと向けられている。


空也の肩に手を置き、低く命じた。


「退け」


バンッ!!


何が起きたのか分からないほど一瞬で、空也の身体は弾かれたように吹っ飛び、壁へ叩きつけられた。


俺は言葉を失ったまま硬直する。


哲真は俺の前に立ち、冷たく呟いた。


「なんだ、空也。随分とガードしているな。……これでは桜子が近付けんわけだ」


頭の先からつま先まで、値踏みするように俺を見渡し──


「まぁいい。この程度なら消せる」


パチン、と指を鳴らした。


次の瞬間。

黒ずくめの男たちが一斉に雪崩れ込んできた。


空也、姫華ちゃん、マキちゃんの三人は地面に押し付けられ、右腕を固定される。


「さて、小林青夜君。少し本家まで来てもらおうか」


哲真は背を向けたまま言う。


「……あの、俺に拒否権は?」


「無い」


即答。

そして振り返らずに続けた。


「反抗するなら構わんが……こいつらの腕が折れても良いのならな」


背中に冷たいものが走った。


三人は、まるで局所的に重力だけを増されているかのように動けず、黒ずくめの男たちが容赦なく押さえつけている。


(……本気で折る気だ)


唾を飲み込みながら言う。


「わ、分かりました。一緒に行きます……。

だから、空也たちから手を離してください。

──彼らを動けなくしてるのは、あなたの能力ですよね?」


哲真は小さく口笛を吹いた。


「気付いていたか。……なるほど、本物だな」


その“本物”が何を指すのか分からない。

ただ、背中がざわつく。


「詳しい話は後だ。来い」


有無を言わせぬ声。

圧倒的な“強者”の風格。


生物としての本能が告げていた。

──逆らえば殺される。


俺は黙って、巨大な背中の後を追った。


五道哲真。


ただそこに立っているだけで周囲を圧倒する、異常な存在感。

“逆らってはいけない相手”だと、身体の奥が叫んでいる。


(……この人より強かったっていう、空也たちの父親って……どんな人だったんだ?)


案内されるまま後部座席に座り、静かにドアが閉じる。

車は無言のまま、ゆっくりと走り出した。


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