俺は空気清浄機じゃありません!
マキちゃん、空也、姫華ちゃん──
三人は何も言わないけれど、それぞれが悩みや葛藤を抱えながら生きているのだと感じた。
俺は膝の上で拳を握り、ぎゅっと力を込める。
「その……俺で何か出来るなら、協力するので!」
勢いよくそう言った瞬間、空也が待ってましたとばかりに身を乗り出す。
「じゃあ、ずっと俺のそばにいて浄化し続けろ」
「俺は空気清浄機か! 却下!」
「なんだよ! 協力するんだろ!」
「それ“以外”でな!」
そう言い返すやいなや──
「じゃあ、青ちゃん私と付き合って!」
姫華ちゃんが元気よく手を挙げて叫んできた。
「却下」
「え〜! なんで!? 合法なら罪にならないよ?」
「いや、そういう問題じゃないから!」
俺の答えに、姫華ちゃんはぷくっと頬を膨らませる。
「大体さ、青ちゃんは頭が固すぎるんだよ!」
「本当にな〜」
我妻兄妹が、わざと聞こえる声量で言ってくるのを、俺は必死で無視した。
すると──
「と・に・か・く!
あんたは桜子、そして五道家の人間に気をつける事! 分かった?」
マキちゃんが顔を近づけ、真顔で念押ししてくる。
「わ、分かった……」
何度も頷く俺に、マキちゃんはふか〜いため息をつき、
「本当に分かってるのかしら……。
言っとくけどね、あいつらは空也や姫華みたいに“大人しく引き下がる”なんて事は絶対ないから!」
その言葉に、思わず心で突っ込んだ。
(いや、空也も十分引き下がってないけどな……)
もちろん、口に出す勇気はなかった。
今そんなことを言えば、話がさらにこじれる未来しか見えない。
俺はただ、苦笑いを浮かべるだけに留めた。




