本家からの襲来──完璧美女はサイボーグ級!?
「それがお前の力だ」
空也はそう言ってくれるけど……正直、俺自身はいまだによく分かっていない。
空也のように刀で“黒いモヤ”を切って、視覚的に確認できるわけでもないし。
それでも空也は、
「青夜が来てから、仕事が一回で終わるから楽になった」
なんて言ってくるものだから、単純な俺はつい嬉しくなってしまう。
今まで裏切られてばかりで、誰かに必要とされたことなんてなかった俺にとって、
この場所はようやく辿り着いた“居場所”のようだった。
……まぁ、能力の仕組みはいまだに謎だけど。
⸻
幸福屋で働き始めてから、お店の売上が伸びているのは事実だった。
前年比と比べても、かなりの伸び率だ。
以前は“空也目当てのマダムやOL”しか来ていなかったらしいが、
最近では「甘味処なのに手打ちそばが異様に美味い店」と話題になりつつある。
そして裏稼業も、以前は月に2〜3件だったものが、今では週に一度は依頼が来る。
そのおかげで俺は、裏稼業の肉体労働にもすっかり慣れてしまった。
だからこそ——
週に一度の休みくらいは、ゆっくりしたい。
そう思うのは当然だろう?
むしろ、休みの日でも同じ時間に起きて動いている空也たちのほうが異常だと、俺は声を大にして言いたい。
そんなことを考えながら、ようやくウトウトしはじめた時だった。
⸻
「ギャーー!!」
マキちゃんの絶叫で、俺は飛び起きた。
階段を駆け降りると、マキちゃんが窓の外を指差している。
視線を向けると、公園の景観にまったく似つかわしくない黒塗りのベ○ツが止まっていた。
そしてその車から——
黒のパンツスーツを完璧に着こなした、まるでモデルのような美しい女性が降りてきた。
遠目でも分かる美貌。
整いすぎた顔立ち。
無駄のない動き。
……いや、むしろ“精巧に造られたアンドロイド”みたいだ。
その瞬間、ふとマキちゃんの言葉が脳裏をよぎる。
『本家のサイボーグのような女共』
あの時は筋肉ムキムキの女戦士を想像していたが——
どう見ても、こういう 完璧すぎる美女 のことだったらしい。
「げぇ! 桜子!!」
叫ぶやいなや、マキちゃんは俺の肩を掴み、
「青ちゃん! 大至急逃げて!
アンタ、うちの一族に刺さる“ど真ん中のタイプ”なの!
逃げないと、マジで襲われちゃうから!!」
と、俺をリビングへ押し込もうとする。
「ちょっ……痛い痛い! 肩ちぎれるって!」
そう悲鳴を上げた瞬間——
ガラリ、と引き戸が開いた。
「空也! お前、穢れを溜め込んでるらしいな!
ちゃんと抜いてるのか!」
入ってきたのは、右手で“アレ”を扱くジェスチャーを堂々としながら叫ぶ超絶美人。
「溜め込む前に出せって、いつも言ってるだろうが!」
……そんな仕草で入ってくるんじゃないよ!
俺を必死に隠すマキちゃん、
ため息しか出ていない空也、
ムンクの叫びみたいに固まる姫華ちゃん。
美女はその三人を順番に見てから——
最後に、ゆっくりと俺へ視線を向けた。
こんばんは。
今回はついに――ヤバい女性キャラ、桜子が登場しました。
次回、桜子がとんでもない破天荒な行動を起こしますので、ぜひ楽しみにしていてください。
次回更新は 明日の朝8時 です。
またお会いできたら嬉しいです。




