11S.「14世界」から
「管理神官ラファエム」は、全ての力を、使い果たすと「メイド魔人のラーファ」と成り、メイド長で有る「グラン」と2人で、初めの頃に「右側神ルリナスの魔人態」で有る「鹿島瑠璃」から、授けられた「森の屋敷」に戻り、そこで静かな「セカンド・ライフ」を、送って居ました。
「メイド魔人のラーファ」は、屋敷の庭に種を蒔いて、家庭菜園をしながら、ここで暮らしました。或るとき、農作業をして居た「彼女の脳裏」に、自分の居る世界の、直ぐ隣に「新しい世界」が、生れたことを、知りました。彼女達が暮らす、この世界は「14世界」だったので「15世界」が、出現したことに、成りました。その為、この世界は、これからその「世界の影響」を、受けることに、成りました。しかし、今の彼女達には、何の関係も無いことでした。また「今回の物語」が、生れたのは、その影響でした。
「ラファエム」は「セパレブル(分離独立型)タイプのバフォメトンの魔女」でした。そのタイプは、自分の力を、全て使い果たすと「回復態」で有る「給仕魔人」と成り、それが最後に「ランクアップ」して「メイド魔人」に、変わりました。すると二度と、元のタイプには、戻りませんでした。それからの「ラーファ」は、新たな「メイド魔人」と成り、残りの人生を、生きました。
そのことは、裏を返せば「メイド魔人」で有るものが、何かの拍子に「最弱の魔女」で有る「給仕魔人」に「ランクダウン」すれば「最強の魔女」で有る「セパレブルの魔女」に、変われることを、示唆しました。その為、これから語られる物語は、そのパターンと成る「或る娘の物語」でした。
ここは「アクシズン(軸心世界)」の中に有る「14世界」の或る場所でした。そこは辺境の小領主が住む、城の中の出来事でした。その領主の名前を「カインデス」と、言いました。彼は、人当たりが良くて、城中の「メイド達」にも、人気が有りました。彼は、人格者でしたが、偶に感情が、不安定になるときが、有りました。
城中には、配下の魔人類達も、大勢そこに住んで居ました。その地は、僻地の辺境でしたが「カインデス」の祖父の代から続く、名門でした。小領主と言っても、家臣達が、結構居ました。そこは、辺鄙過ぎる、場所のせいなのか、城中のメイド達の間で「陰険な虐め」が、起きて居ました。メイド達は、十数人雇われて、居ましたが、歳の若い「魔女系メイド」の1人が「虐めの対象」に、成りました。
彼女の名前を「リサエル」と、言いました。彼女は、太って居て、少し要領が悪く、口が足り無いことから、何時の間にか「虐めの対象」に、成りました。彼女は、虐め易い娘でした。彼女が、そんな目に遭ってからは結構、長いときが、経って居ました。その事情を知る、周囲の者達にも、そのことが、知られて居ました。しかし彼女を、庇う者は、誰も居ませんでした。
「リサエルの器量」は、悪い方でした。しかし人格的には、他者を攻撃することも無く、彼女は「善人の部類」に、入りました。「先輩のメイド達」は、それを揶揄して、虐めて居ました。そのことも有り、いくら善良な彼女で有っても、彼女の深層には「激しい怒り」が、灯るように、成りました。
城中のメイド達は「リサエル」のみが「魔女系メイド」でした。「バフォメトンの魔女」は、通常は「両性具有者」でしたが、メイド系は、女型魔人のみでした。そのことも有り「お前は、本当は男なのだろう」的なことから、始まりました。彼女は「口下手」でしたが、身体が大きい方でした。その為、喧嘩に成ると、殴り合いに、成りました。すると彼女は、結構強かったので、何とか居続けることが、出来ました。
しかし、歳の若い感受性の強い娘が、長い間、虐げられて居ると、身体の内面から、変化が起こりました。それは「自己防衛の為」の変化でした。「リサエル」は、身体変化の「起こり易いタイプ」でした。彼女の深層には「皆、嫌いだ。私はブスだから、誰も庇ってくれない。皆、私の敵だ」的な感情が、激しく渦巻きました。
彼女は、嘆いて「自殺」するタイプでは無く「やられるなら、全てを叩き潰してやる」的な「破壊者の欲求」を、持ちました。それは、彼女の種族名が「バフォメトンの魔女」と言う「両性具有者」に、起因しました。彼女の心中には「男型の象徴」が、眠って居たのです。何時の間にか、彼女には「〝全てを叩き潰す″強い力が、欲しい」と、願うように、成りました。
暫くすると、また「リサエル」は、虐められるように、成りました。そして激しい喧嘩に、成りました。ちょっかいを出して来た娘と彼女は、殴り合いの喧嘩に成ると、後ろから誰かに、硬い「ガラス瓶」のようなもので、頭を殴られました。すると、そこから血を流して、彼女は倒れてしま居ました。
それから、どれ位のときが、経ったのでしょうか。彼女は目を覚ますと、薄暗い汚い部屋で、目を覚ましました。そこは清掃道具を、入れる小部屋でした。「リサエル」は、そんな部屋に、寝かされて居ました。彼女は、その部屋から抜け出すと、フラフラに成りながら、頭を抱えて「自分の部屋」に、戻りました。
途中で、領主で有る「カインデス」と、すれ違いました。彼は「リサエルの姿」を見ると、驚きました。彼女は「挨拶をする」と、彼が言いました。「お前は、リサエルだな。余り問題を、起こすんじゃないぞ。」と、忠告を受けました。自分達の主人に、そんなことを言われると、彼女は悲しく成りました。「自分は、悪くないのに」
彼女は、自分専用の小さな部屋に、辿り着くと「口惜しさと、怒りと、痛さにより」自分のベッドに潜り込むと、そのまま熟睡しました。「リサエル」は、深い眠りに就くと、自分の身体が、変化して居ることに、気付きました。彼女は眠って居ながら、自分の傷と体力が、どんどん回復して居る気がしました。そして彼女は、しっかり熟睡すると、気持ちの良い目覚めを、迎えました。
「リサエル」は、自分のベッドを出ると、自分の身体が一回り、収縮して居ることに、気付きました。そして大分可愛い「小柄な少女」に、生まれ変わって居ました。彼女は、寝ながら考えを、整理して居ました。「自分は、この城に来て、住み込みで、働いてからと言うもの、全く良いことが、有りませんでした。嫌なことばかりでした。」
「初めが、悪い場所と言うのは、最後まで悪いもの」でした。彼女は、ここに来てから「それだけ」を、学びました。ここは「最初から敵地」だったのです。居るだけ「時間の無駄」でした。ここに居ても良いことは、全く無いのです。嫌なことばかりが、続く場所でした。
「リサエル」は、初めてそれに気付くと、この城を出ました。これから行く場所は、彼女が休日の時に、見付けた「付近の山小屋」でした。彼女は以前に、城から持ち出した「カギ」を、扉に付けると「自分専用の山小屋」にしました。彼女は、その山小屋に入ると、中に貯め込んで居た、保存食を取り出すと、それを食べました。そして、城から持参した、洋服に着替えました。彼女は後、数日ここに滞在して、力を貯め込んでから「城の奴等に、復讐しよう」と、決めました。彼等を「残さず皆殺し」に、するつもりでした。




