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第十三話:王都へ

 王都へ行く。

 その言葉が、私たちの次なる進路を決定づける羅針盤となった。辺境の地でこつこつと基礎研究に励む日々も楽しかったが、やはり科学者たるもの、最先端の設備が揃う大都市にこそ夢とロマンを求めるべきなのだ。ラーメン屋を開くにしても、辺境の村では客層が限られてしまう。市場調査は大事だ。


 翌朝、私たちは早速、旅立ちの準備に取り掛かっていた。と言っても、装備の点検や食料の準備は、私がまだ夢の中で豚骨スープの海を泳いでいる間にマリアが全て終わらせてくれていたのだが。


「それで、マリア。これが私たちの新しい姿というわけね」


 私はマリアが用意してくれた服装に着替えながら、少しばかり複雑な心境で呟いた。

 今、私が身に着けているのは、ごわごわとした手触りの麻のシャツに、動きやすい革のズボン。そして、丈夫な布で作られたフード付きの外套。どこからどう見ても、田舎の村娘か旅の薬師といった風情だ。もちろん、アシュフォード公爵令嬢が愛用していた幾重にもレースが重ねられた優雅なドレスとは、天と地ほどもかけ離れている。


「はい、お嬢様。王都で私たちの正体が露見するのは得策ではございません。これくらい地味な方が人々の記憶にも残りにくいかと」


 マリアはそう言って、私と同じような、しかし細部の仕立てが驚くほど良い平民の服装をたやすく着こなしている。彼女が着ると、ただの麻のシャツでさえどこかの高級ブランドの新作のように見えてしまうから不思議だ。これが、素材の良さを活かすということなのかしら。


「むぅ……。分かってはいるけれど、このごわごわした感触はどうにも肌に馴染まないわ。それに、私の美しい縦ロールの髪をこんな無造作な三つ編みにするなんて……」


 私がぶつぶつと文句を言うと、マリアは私の背後に回り、手際よく髪を編み込みながら静かに言った。


「お嬢様の美しさは、どのような髪型、どのような服装でも損なわれることはございません。むしろ、そのギャップが新たな魅力を引き出すかと」


「そ、そうかしら……?」


「はい。それに、その格好の方がこれから王都で始める『お店』の店主としては親しみやすくてよろしいかと存じます」


「お店の店主……!」


 その言葉を聞いた瞬間、私の不満は跡形もなく消え去った。

 そうだわ! これはただの変装じゃない! 来るべき『ラーメン屋開業』のための、いわばユニフォームなのよ! そう考えれば、この素朴な服装もなんだか急に神々しく見えてくるじゃない!


「ふふふ、そうね! ラーメン屋の店主がきらびやかなドレスを着ていたら、お客さんも落ち着いてスープを味わえないものね! これはお客様への配慮。そう、ホスピタリティなのよ!」


「ご理解いただけて何よりです」


 私はすっかり上機嫌になると、くるりとその場で一回転してみせた。

 アシュフォード公爵令嬢クララは、あの追放劇の夜に死んだ。

 今ここにいるのは、最高のうま味を求めて旅をするただの食いしん坊な研究家。そして、未来のラーメン屋店主!

 新たな人生、新たな門出に、私の心は青空のようにすっきりと晴れ渡っていた。



 私たちは、あの古びた洋館に別れを告げ、王都へと続く街道を歩いていた。

 数日間の道のりだ。徒歩だけで進むのはさすがに骨が折れる。


「どうしましょうか、マリア。どこかで馬でも手に入れられればいいのだけれど」


「その必要はございません、お嬢様。ちょうど良い方々があちらに」


 マリアが指さした先を見ると、街道の脇で休憩している一台の大きな幌馬車が目に入った。馬車の周りには屈強そうな体つきをした男たちが数人、焚き火を囲んで談笑している。荷台にはたくさんの木箱や樽が積まれており、一目で王都へ向かう商人一行だと分かった。


「なるほど、彼らと同行させてもらうのね。でも、見ず知らずの私たちをそう簡単に乗せてくれるかしら?」


「交渉は私にお任せください」


 マリアはそう言うと私を伴い、商人たちの方へと迷いなく歩いていった。

 私たちの接近に気づいた男たちの一人が、怪訝な顔で立ち上がる。おそらく、この一行のまとめ役なのだろう。熊のようにがっしりとした体格に人の良さそうな丸い顔。しかし、その目つきは鋭く、長年の旅で鍛えられたであろう警戒心がうかがえた。


「おう、嬢ちゃんたち。どこへ行くんだ? こんなところで女二人は物騒だぜ」


「ごきげんよう、旦那様。私たちは王都へ向かっている薬師の卵でございます。もしご迷惑でなければ、王都までの道のりをこの荷馬車の隅にでも乗せてはいただけませんでしょうか。もちろん、お代はお支払いいたします」

 マリアは、丁寧な、しかし平民の娘らしい少しだけ訛りのある言葉遣いでにこりともせずにそう言った。そのあまりの自然さに、私は内心で舌を巻いていた。あなた、いつの間にそんな演技まで身につけたのよ。


 リーダー格の男は、じろりと私たちを頭のてっぺんから足の先まで品定めするように眺めた。


「薬師、ねぇ……。見ねえ顔だな。どこの村の出だい?」


「はい。辺境の小さな村で師匠のもとで薬草学を学んでおりました。この度、王都のギルドでより高度な知識を学ぶため、旅をしている次第です」


「ふぅん……」


 男はまだ疑っているようだった。

 その時、私の背後にいたマリアが脇腹を肘でこつんと突いてきた。

 え、私? 私が何か言うの?

 突然のことに戸惑っていると、マリアが誰にも聞こえないくらいの小声で囁いた。


『お嬢様。何か、薬師らしいことを』


 む、無茶ぶりにもほどがあるわ!

 しかし、ここで黙っていては怪しまれるだけだ。

 私は、ごほんと一つ咳払いをするとおずおずと口を開いた。


「あ、あの……! だ、旦那様! その……左の膝、少し痛むのではございませんか? おそらく長年の無理がたたって、関節の軟骨がすり減っているのかと。それと、少し肝臓のあたりも……お酒の飲みすぎにはご注意なさった方が……」


 私が前世の知識を総動員して、男の歩き方や顔色から読み取れる健康状態を指摘すると、男の顔はみるみるうちに驚愕の表情に変わっていった。


「なっ……!? な、なんで、嬢ちゃんがそんなことを……!?」


「え、ええと……薬師としての、勘です!」


「すげえ……! あんた、本当に薬師だったんだな! よし、分かった! 乗ってけ! 代金なんざいらねえ! その代わり、道中俺たちの健康相談に乗ってくれや!」


 男は先ほどまでの警戒心をすっかり解くと、がははと豪快に笑った。

 こうして私たちは、無事に王都行きの便を確保することに成功したのだった。

 荷馬車の荷台に乗り込みながら、私はマリアにだけ聞こえるようにそっと囁いた。


「……肝が冷えたわよ、まったく」


「お見事でございました、お嬢様」


 マリアは相変わらずの無表情でそう言ってのけた。



 荷馬車に揺られての旅は思ったよりも快適だった。

 商人たちは最初私たちを少し警戒していたが、私が道中で見つけた薬草で簡単な傷薬を作って見せたり、彼らの体調不良の原因を的確に言い当てたりしているうちに、すっかり私たちを『腕利きの薬師姉妹』として信頼してくれるようになった。

 特に、親方と呼ばれるリーダー格の男は私のことをすっかり気に入ってしまったようで、何かと話しかけてくる。


「いやぁ、嬢ちゃんはすげえなぁ! 俺の膝の痛みが、こんな葉っぱを煎じただけで、すっかり楽になっちまった!」


「気休め程度ですよ。根本的な治療には、きちんとした薬の調合が必要です」


「それでも大したもんだ! それにしても嬢ちゃんたち、姉妹にしちゃああまり似てねえな。どっちかっつーと、こっちの無口な嬢ちゃんの方が姉貴みてえだ」

 親方がマリアの方を見てそう言うと、他の商人たちもうんうんと頷いている。

 確かに、落ち着き払って常に私の身の回りの世話を焼いているマリアの方が姉に見えるのかもしれない。というか、保護者に見える。


「さあ、昼飯の時間だ! 嬢ちゃんたちも食ってけ!」


 親方がそう言うと、商人たちはそれぞれ背負っていた袋から食事を取り出し始めた。

 メニューはどこも似たようなものだ。石のように硬くなった黒パンと、やけに塩辛い干し肉。それから、水で戻しただけの味気ない乾燥野菜。

 私はその光景を眺めながら、内心で深いため息をついた。


(ああ……! うま味が絶望的に足りていない……!)


 栄養を摂取するためだけの、ただの『餌』。

 食事が人生における最大の喜びの一つであることを、彼らは知らない。

 なんて不幸なことなのかしら。

 これは、もはや私が立ち上がるしかない。

 この哀れな子羊たちを、うま味という名の福音で救って差し上げなければ!


「私たちは大丈夫です。自分たちの分は持ってきておりますので」


 マリアが商人たちの申し出を丁重に断ると、私たちの分の昼食を用意し始めた。

 それは、私がこの旅のために試作を重ねてきた特製の携帯保存食だった。


「お、なんだい、そりゃ? 随分と変わったもんを食うんだな」


 親方が興味深そうに私たちの手元を覗き込んでくる。

 私が取り出したのは、一見するとただの黒っぽい硬そうなビスケットのようなものだった。

 しかし、これはただのビスケットではない。

 ボアビーストの干し肉を細かく砕き、乾燥させたグルンブの粉末、それから栄養価の高い木の実や穀物を少量の脂で練り固めた、いわば『うま味爆弾』とも言うべき究極の携帯食なのだ!

 その名も、『コンバット・レーション・アシュフォード・マークⅡ』! ……というのは、今私が勝手に考えた名前だけれど。


 私がその黒い塊をぱきりと小気味よい音を立てて半分に割り、一口、口に放り込む。

 もぐもぐと咀嚼するたびに、口の中にあの暴力的なまでのうま味がじゅわっと広がっていく。

 まず、ボアビーストの凝縮された肉のうま味、イノシン酸。

 続いて、グルンブの奥深い磯の香り、グルタミン酸がそれを追いかけてくる。


 そして、それら二つのうま味が口の中で出会った瞬間、あの奇跡の相乗効果が発動する!


 うまい! うますぎる!


 ただの携帯食なのに、まるで高級レストランのフルコースを味わっているかのような圧倒的な満足感!


 私は恍惚の表情で目を閉じ、その味の洪水に身を委ねていた。


 その時だった。


 くんくんと、何かが私の手元を嗅いでいる。

 目を開けると、親方がまるで獲物を前にした猟犬のように目をきらきらさせながら、私の手の中の『うま味爆弾』を凝視していた。


「……な、なんだか、すげえ良い匂いがするな、それ……」


 その匂いに釣られたのか、周りの商人たちもいつの間にか自分たちの食事を食べるのも忘れ、こちらをじっと見つめている。

 その目は好奇心と、そして抗いがたい食欲に満ちていた。

 ふふふ。かかったわね。

 うま味の香りは麻薬なのよ。一度嗅いでしまえば、もう逃れることはできないの。


「よ、よろしければ、親方さんも一ついかがですか?」


 私がにっこりと微笑みながら残りの半分を差し出すと、親方はごくりと喉を鳴らした。


「い、いいのかい、嬢ちゃん!?」


「ええ、どうぞ。お世話になっておりますので」


 内心では、『さあ、味わうがいいわ! この、神の領域を侵犯する背徳の味を!』と叫んでいたけれど。

 親方は、ありがてえと言いながら私の手からその黒い塊を受け取った。

 そして、おそるおそるそれを一口かじった。


 ……。

 …………。

 ………………。


 親方の動きがぴたりと止まった。

 その人の良さそうな丸い顔が驚愕に染まり、だんだんと赤くなっていく。

 その目はありえないものを見たかのように、大きく、大きく見開かれていた。

 彼は口の中にあるものをゆっくりと、何度も、何度も味わうように咀嚼している。

 そして。


「うううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 野太い絶叫が街道に響き渡った。


「う、うめえ……! なんだこりゃあ! うめええっ! うめぇッ! うめぇッ! めっちゃ、うめぇッ!」


 親方は残りの『うま味爆弾』を、まるで飢えた獣のようにがつがつとあっという間に平らげてしまった。

 そして、その指についたわずかな粉までぺろぺろと綺麗に舐めとっている。

 その姿はお世辞にも行儀が良いとは言えなかったが、その表情は生まれて初めて本当に美味しいものを食べた子供のように、純粋な喜びに満ち溢れていた。


「お、親方!? どうしたんだよ、急に大声出して!」


 周りの商人たちが驚いて駆け寄ってくる。


「お前らも食ってみろ! こいつを! 飛ぶぞ!」


 親方が興奮して叫ぶと、他の商人たちも私の前に差し出された携帯食の残りに手を伸ばした。


「お、おいらにも一つ……」


「わ、私にも……!」


 あっという間に私の持っていた携帯食は、商人たちの手によって奪い合うように消えていった。

 そして、次の瞬間。

 街道のあちこちで、同じような絶叫が次々と上がり始めた。


「うおおおおおおおっ! なんだこの味は!?」


「肉の味と、なんだか潮の香りが口の中で踊ってるみてえだ!」


「硬いのに、噛めば噛むほど味がじゅわ~って……! ああ、もう、止まらねえ!」


 商人たちは皆、自分たちが持っていた味気ない昼食のことなどすっかり忘れ、生まれて初めて体験する『うま味』の衝撃に完全に我を忘れていた。

 ある者は恍惚の表情で天を仰ぎ、ある者はあまりの美味しさに涙さえ流している。

 それはもはや食事の風景ではなかった。

 何かの宗教的な儀式を見ているかのようだった。


 やがて、全ての携帯食が彼らの胃袋に収まった後、親方がぜえぜえと息を切らしながら私の前にずいと迫ってきた。

 その目は先ほどまでの人の良い商人のものではなく、何かとてつもない宝の山を発見した探検家のようにギラギラと輝いていた。


「嬢ちゃん……! いや、嬢ちゃんじゃねえ! 先生!」


「……いえ、先生ですか」


「おう! あんたは先生だ! なあ先生! 今のは一体何なんだ!? どんな魔法を使えばあんなもんが作れるんだ!?」


 私はすっかり『先生』呼ばわりされながら、ふふんと得意げに胸を張った。


「これは魔法なんかじゃありませんよ。私の長年の研究の成果、科学の力です」


「かがく……?」


「ええ。この世界の誰もまだ知らない、新しい味の力とでも言っておきましょうか」


 私の少しだけ勿体ぶった言い方に、親方はごくりと喉を鳴らした。


「頼む、先生! それを俺たちに売ってくれ! 金ならいくらでも払う! いや、それだけじゃねえ! 王都に着くまで、先生たちのことは俺たちが命に代えても守ってやる! だから、頼む!」


 親方がその巨体を折り曲げ、私に深々と頭を下げる。

 周りの商人たちも、そうだそうだと口々に叫び、私に懇願の眼差しを向けていた。

 私はその光景を見下ろしながら確信した。


(……これはいけるわ)


 私の生み出した『うま味』は、この世界の食文化に、いや、経済にさえ革命を起こすほどの、とてつもない力を秘めている。

 この商人たちの反応が何よりの証拠だ。

 王都での成功は、もはや約束されたようなものかもしれない。


「……分かりました。ですが、これはまだ試作品。商品としてお売りできるほどの数はありません。王都に着くまで、一日お一人様一つまでということで、よろしいでしょうか?」


「お、おお! 本当か、先生! ありがてえ!」


 商人たちの割れんばかりの歓声が街道に響き渡った。

 その日の午後から、私とマリアの扱いは驚くほど変わった。

 私たちは荷台の中でも一番揺れの少ない快適な場所に座らせてもらい、何かというと商人たちが代わる代わる世話を焼いてくれるようになった。

 もはやただの同乗者ではない。

 まるでどこかの国の姫君か、あるいは奇跡を起こす聖女様のような待遇だった。


「お嬢様。少々やりすぎでは?」


 マリアがそんな状況を横目で見ながら、呆れたように囁いてくる。


「いいのよ、マリア。これも市場調査の一環なんだから。それに、楽でいいじゃない」


 私はふふんと鼻を鳴らした。

 王都への道のりはまだ遠い。

 しかし、私の心はすでに王都の先にある輝かしい未来を見据えていた。


(待ってなさいよ、王都! そして、愛しのジャンクフードたち!)


 この私が、あなたの胃袋を根こそぎ掴んであげるから!

 私の新たなる野望が、がたごとと揺れる荷馬車の上で確かな手応えと共に大きく膨らんでいくのを感じていた。


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