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15、青い炎

「うおおおおおお!!」

 俺、定期的に叫んでる?そう疑問に思いつつも、走っていた。

 ここは戦士ランク分け会場。管理局から歩かされ、連れて行かれたのだ。周りには森しかない。魔法境界が敷かれている。ちなみに2級のランク分けは3ヶ月に1回行われる。俺らは運が良かったな。

 そして、なぜ走っているのか。これが第1試験だからだ。戦士ランク分け名物とも呼ばれる、走り込み。内容は単純。ただ走る。武器は置いていい。全体人数の半分になるまで、ただ走るのだ。今回集まったのは600人程度。つまり、300人が倒れるまで走り続ける。倒れるか、諦めるか、数分ごとに後ろから5人は脱落となる。

 あちらこちらから悲鳴や絶叫が聞こえる。けど、こんなの所詮は心の問題だ。もうとっくに息は苦しいが、とりあえず走り続ける。

 隣のやつが倒れた。視界の隅のやつが座り込んだ。ここで俺まで止まるわけにはいかない。

 その時、魔法で拡張された声が聞こえる。

『一次試験終了。これより30分の休憩に入る。』

「あ…助かった…!」

 走るスピードを緩める。汗が止まらない。まずは突破。半分より速く走っていたらしい。

 少し離れたところに、俺と同じように休んでいるやつがいる。声をかけようかとも思ったが、それより緊張感と疲労感が勝っていた。

 今のブロンズクラスは去年の今頃取ったものだ。ちょうど1年が経とうとしている。


 そして、思っていたよりもずっと早く時は流れる。

『二次試験を始める。中央広場に武器を持って集まるように。』

 言われた通り集まると、台の上には何やら貫禄のある試験官が立っていた。

「まずは一次試験合格おめでとう。次の二次試験は、宝探しだ。文字通り、この境界に宝石を隠した。それを見つけてこちらに持ってくれば合格だ。宝石は全部で100個ある。それでは開始!」

 合図と同時に、大勢が駆け出した。今度は3人に1人しか受からない。段々と人数が減っている。

 

 野原をかき分け、木に登り、石をひっくり返す。だが見つからない。もう45分経った。喜びながら走っていく奴らが多い。ここでまたもや声が。

『残り10個。』

 まずい。まだ見つけられていない。

 木の上も地面も確認した。なのにどこにもない。どうしたらいい?そしてこの試験…魔物がいる。それも、ランクが高い。だから大半は隠れたり逃げたりしてやり過ごしている。

 また1人、喜びながら走っていく。

 まずい。どうする?考えろ。木の上も地面もどこにもなかった。あとはどこだ?必死で頭をまわすが追いつかない。

 その時、ふと思いつく。


 これはあくまで、戦士のランク分けだ。


 戦士に求められているもの。それは前線で活躍できる戦闘力。こんなじっくりゆっくり考えたりしない。一次試験だってそうだ。あくまでパーティで考える役割は勇者や魔法使いたち。戦士には戦いのスペシャリストだ。

 と、すると、残った場所はひとつ。

 走り出し、周りを確認する。いた!

 魔物だ。


 Aランク。やたらと逃げ足が速く、図体が小さい。追いつけなくなりそうだ。

「…迅風(じんぷう)!」

 足に力を溜めて、一瞬で移動する。よし、勝った。ちょうどいい位置に来た。

(なぎ)。」

 静かに、相手を苦しませず。魔物は倒れていった。

 魔物を確認すると、確かに腹に宝石が。非常に弱い魔法でくっつけてあった。それを剥がして、すぐに走る。宝石は赤く、透き通っていた。

「宝石、見つけた!」

 そう言いながら中央広場へ走る。そして貫禄のある試験官が頷いた直後、流れた。

『二次試験終了。30分の休憩に入る。』

 危ない。ギリギリ突破だ。

 一次試験で見たやつはいなく、やはり話しかけなくて良かったと思ってしまう。これで初めの6分の1。大分人数は少なくなった。

 エマ、うまくやってんのかな。モニカは…まあ、大丈夫だろ。ラルクは何してんのかな。ふとポケットに入っているものを取り出す。魔法使い検定の4級合格カード。リリィはモニカの元仲間。ということはモニカの過去を知っている。

 前々から、モニカには違和感を覚えていた。なんであんなに魔力があるのか。なぜあんなに1人を望むのか。

「…今は自分に集中だな。」

 カードをしまった。

レアルス (戦士って脳筋なやつしかいねえよな…)

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