第2話:◆白い悪魔◆
白い悪魔。
他の子とは違う色をもったわたしはこの世界にとって異端だった。
真っ白な髪と瞳。
森に囲まれた小さな村に現れたその色は村の人たちとって未知で、厄災でしかなかった。
わたしが生まれてその瞳を見てしまった時、村長はわたしを殺そうとしたらしい。
ただ、お父さんとお母さんがわたしを庇って守ってくれたんだって。
守らない方がよかったのにね。
守らない方がよかったのにね。
守らない方がよかったのにね。
もし、わたしが過去に飛べたら、もっともっとひどくなる前にこんなやつ殺してしまってよかったのだとお父さんとお母さんを説得していた。
だってそのせいでお父さんもお母さんも仲間はずれにされちゃった。
二人は普通の色をもっているはずなのに、わたしがあなたたちの子どもになったから、普通であることを捨ててしまった。
バカだよね。何考えてんだろね。でも、どうしようもないほど優しいよね。
もうずっと前にわたしの世界から消えてしまった二人。わずかな思い出も壊されてしまったから思い出すものはほとんどない。
だけど、あなたたちがくれた温もりは覚えている。
『■■■』
わたしの名前を呼んで抱きしめてくれたことは覚えている。
『■■■』
わたしの名前を愛おしそうに呼んでくれたことは覚えている。
『■■■』
だけど、ああ、ごめんなさい。
わたしは、あなたたちがくれた名前を、呼んでくれた名前を、
忘れてしまった。