表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキル"緩和"  作者: 茶柱 白
プロローグ 転生と異世界
4/24

第4話 世界とは

無限に続く説明…

この作品の系統はアクションですええ…

そのはずですが、長い長い説明…



あらすじ


知らない場所で目が覚めた主人公。そこには3柱の…高位の神様が居た。

自分に何があったのかを聞くためにも、主人公は神様と話す事となる。


「何から話すかのう…」


ここはさっきまでの森…ではない。


全神様が『ふむ。長話を立ったままというのもあれじゃしの…』と呟いたと思ったら、いつの間にかここに居た。


 今居る場所は完全に浮遊しているのか、周り上を見ても下を見下ろしても、横をぐるっと見てもどこもかしこも金色の空間。

見ていると、時々虹色の薄い霧っぽいのが見える…。


 そんな不思議な空間。その空間の中央には、"床"が浮いていた。床は畳…6畳。真ん中にちゃぶ台。あと籠に入った蜜柑が乗っている。


右前には急須、湯呑みなどが入った食器棚…

左前には積み重ねられた座布団…

右後ろには箱型のアンテナのついたテレビ…

左後ろには本棚…その上にはポッド…


…一体、なんの影響を受けた座敷なんだろう。



 えー、既に座っていて…

構図は、僕の前の方に全神オルム様、僕の斜め右前に創造神アム様、斜め左前に生命神ライファル様だ。

全員が机の四方に置かれた座布団の上に正座している。


ちなみに、各人の前には綺麗に茶柱が立った、湯気の立つ湯呑みが置いてある。縁起いいな。



 なんとなく圧迫感を感じるこの場所で、僕は疑問を抱いていた。

不思議な事に、正座している足が全く痺れないのだ。…果たして、これは環境のせいなのか…それとも、僕の体に異変でもあったか。ちなみに服装とかは何も変化がない。

 自転車と倒れた時に砂とかついてそうだけど付いてない。神の力だろうか。



「そうじゃな…まずは世界について話すかの…。」

と、両手で持ち湯呑みに口を付けて、お茶を1口飲んだ全神様が言った。



「えーと、よろしくお願いします。」

まだお茶には手を付ける気にはならないので、膝に手を乗せてそう言うと…




「ふむ…長くなるしの…跳羽君。いっその事、心を読むから…わしは語り、跳羽君は心で呟く。それで会話せんかの?心を読んだ方が疑問点が掴みやすいしの。…そんな顔するなアム。おぬしには低いレベルで心読の加護を付与してやるから。」


 …えーっと…神様だけに声を出して貰うっていうのも…凄くダメな気しかしないけど…言われた通りだろうし…よろしくお願いします?



「言うのを忘れておったが、読むと言ってもかなり力を抑える上に、読み過ぎないよう低位レベルのを使っておるから、"読ませたい"時はハッキりと考えてくれるとありがたいの。」


…推測が当たっていた。…嬉しくないのはなんでだろうな…

思わず身動ぎしてしまったし…



(えーと、これでいいですかね?)



「うむ、それでよい。では、始めるとしよう。」




「まず、世界というものは…“物が存在出来る場所全体”…まあ、要するに“時間と空間が存在する場所全体”を総じて言う言葉じゃ。」


…ふむ?…世界観が違いすぎて、早速分からん。



(えーと、どういう事でしょうか?)



「そうじゃな…時間が存在しなければ物は存在しない。」

そういいつつ、手を少し動かしたと思ったら…


机の上に、突然時計と水色の玉が出てきた。


「…というより出来ないんじゃな。厳密には存在できるが、作ることも動かすことも持ってくることも、時間がないからにはできんからな。」


 と、水玉の中で、上部に砂が出てくる。

が、時計が動いていない時には落ちず、時計の針が動くと落ち出す。そして、時計が消えると一緒に砂も消えていった。

 …確かに、神でもない限り時間の無いところに物を作るのは不可能だろうな。


「さらに、空間が存在しなければ空気も、何もかも…それは物も含む。物自体が存在することができん。空間の外に広がるのは何も無い、無。」


 再び水玉と、その中には人形セットのような小さい椅子、そして時計。

水玉から椅子が少し出ると…椅子は跡形もなく消えてしまう。

水玉が消えても、同じように消えてしまった。

あと、水玉が消える時、一緒に時計も消えた。空間がなければ時間も無いということか…。


「このように…物が存在できる場所=(イコール)時間と空間が存在する場所、という風になるんじゃ。」



水玉と時計の…形のある例で結構分かりやすかった。でも…



(“時間”、“空間”とは何でしょうか?)


と、尋ねると、全神様は思案顔になった。



「…むむ…説明が難しい物じゃからな…“空間”とは、物が存在することが出来る場所じゃ。」


次は、机に描くように円と文字が出てきた。

外側に無、内側には空間と書いてある。


「“空間”だけでも、空間の中には物を存在出来るようにする“()()”が敷き詰められている。」


 すると、円の内側の上に人型が出てきて、その手にはクッションが。

ぐにぐにと両手で触った後、そのクッションを円の内側へと投げて、また何処からか取り出してまた投げる。そうして、その円は敷き詰められるように…塗り潰された。


 ぐにぐにと触ったのは、物を存在できるようにする敷き詰める柔らかいもの…みたいな、何かの比喩だろうか。



「“時間”は、空気のように目には見えないが、空間が無ければ存在出来ない“物”じゃ。」


 円の中に、時間、と書かれた矢印が描き足される。

その矢印はぐるぐると旋回し、1色だけで塗り潰されていた空間の図はグラデーションのように色が揺らぎ始めた。


「空間の中に、方向のある見えない“流れ”を生み出す。この流れがなければ、空間の中の物は動くことができないんじゃ。空間のクッションが敷き詰めた事により、硬すぎて動けない、というイメージかの…」


 再び登場したミニチュア椅子。

時間という矢印がある時は動いていたのに、時間の矢印が消えた途端にピン、と止まってしまう。



視覚的な情報があるだけでわかり易さが段違いだ。


「まあ、大体の世界ではこの説明で合っておる。この世界もこの説明じゃな。」


…む…?



(世界によって違うのですか?…というより“この世界”とは…)


そこまで心の中で言ったら神様たちが苦笑した。なんだこの反応。




「時間はあるからの。ゆっくり説明をするとしよう。まず最初の質問は“その通り”、じゃ。世界によって決められた定義や在り方が違うんじゃよ。…決めたのは“世界の神”や“空間の神”、“時間の神”、“時空の神”じゃよ。」


この話だけでも神様が出てくる。

…なんていうか、難しい話なんだなあ…ん?




(そういう法則は神様が決めたのですか?)

いや、当たり前っちゃあ当たり前だけど…



「?まあそうじゃな。この世界では、初代の神が空間や時間を作りだす時にこう決めたと聞いておる。しかし、他の世界ではこの世界とは色々と違うものじゃから…自然に生まれたとか、神以外が作ったとか…多種多様じゃよ。」


 …そういうものなのか…色々と軽い気もするけど…

神様だから何でもアリよね。僕もあんまり気にしないや。うん。



(ありがとうございます。えっと、次に…他の世界について教えて貰えると…)


 自分でも思うくらい食い気味だな…自分でも暴走してる感じがする…


現に、全神様も苦笑しているしなぁ…




「その前に、ここについて説明した方がいいじゃろうからそっちから話すわい。ここは神界。神々が暮らす“空間”じゃ。」


…?空間、の部分が強調してあったけど…


(ここは“世界”ではなく“空間”ですか?)




「うむ。“空間”じゃ。厳密には別のものじゃが…。」


 と、再び手を動かす仕草。

すると、地球のような球が…というかこれ地球だ。

その地球の周りに、地上界という文字。


「おぬしらの住むところは”地上界”とわしらは呼んでおる。そして、その上には宇宙があるじゃろ?」


 そう言っている間に、地球の周りに黒い空間が。その周りには宇宙、と書かれている。


(…そうですね?)


…何故そんな事を今…?とか思ったけど、微妙に察していたりする。




「そこに重なるように別の空間…"神界"などがあるんじゃよ。」


…うーん。なるほど…でも…



(どんなに上に行っても…宇宙しかないですよね?)

必要で説明されているんだろうし、質問をして会話を進める。



対して、意を得たり、と頷く全神様。


「うむ、ここは地上とは“ズレて”おるからの。在る空間が違うんじゃよ。神界は地上界のある空間とは違う空間にある。違う空間…宇宙のある空間に重なるようにじゃな。」


 地球と宇宙の図の真横…宇宙の位置に天界や神界等の文字が書かれた。

 地球と宇宙は球と円のようになっているけど、天界等は円を書かず地球の真上に平面の陸のようにして描かれている。

 これだと、仮に行けるとしても特定の場所から上がらないと行けなさそうに見える。




「…さて、ここで“世界”と“ワールド”の2つについてを説明しようかの。」


…日本語と英語…意味は同じだけど…世界とはまた違うのかな?




「まず“世界”。世界は1つじゃない。それはさっきまでの話から分かると思うんじゃが…世界の空間から何もない場所…無を挟んで、別の空間…すなわち別の世界という訳でもない。」


 …訳が分からない…ライトノベルとかでそういう話には慣れているはずだけど1回じゃ飲み込めない…

 そう思っていると、少し上を見て考える素振りを見せる全神様。

 すぐに地球や宇宙、天界といった図が消える。



「世界は何もない場所…“無”を含めて初めて“1世界”と数える事ができる。」


 すると、再び円。内側に空間、外側に無…そして、そのさらに外側に円が書かれ、1世界、と内側に大きく書かれた。


「さて、では別の世界はどこに在るのか?…答えは“この世界ではない”の一言じゃ。神としても、それしか言えんのじゃ。神からしても一つの世界から別の世界を探すのは楽じゃが、世界の内側からどこにあるか?と聞かれても説明は難しいんじゃよ。何せ、世界の内側からは他の世界の認識は阻害されるようになっておる。世界座標や、世界の名前なら説明できるが…の。」



…うーむ…何もない空間をひっくるめて“1世界”か…え、後の説明?…考え中で、まだ理解が追い付いてない。


 全神様が言い終わると、1世界、という円の外側を2つの新たな円が覆う。その円の中の名前は…世界の狭間と、世界の結界。


「外側から見た時、“世界”は、一つの世界から、ある間を空けて存在している。“世界の狭間”と呼ばれておる間じゃ。世界を渡ろうとするならば、“世界の狭間”を通る。まぁ、通るとは言っても普通であれば入ることができん場所じゃがな。」


説明が進むと、その円…空間と無と世界の狭間、世界の結界を含んだひとつの円が複製されたように、隣の方にも描かれる。



「余談じゃが…空間の外に無、さらにその外側に世界の狭間、という構造になっているのは…物体の侵入を防ぐ事と、空間が伸縮したりする時に壊れないようにする意図があるんじゃ。無には広さと言えるものも、法則も何も無い。無が伸縮する、というのも…広がる、というのも…不適切な表現と言える。」


…聞いてますよ?理解が追い付かないだけで…。



「世界同士を表す時、階段や国、惑星、学校、一軒家の敷地…と様々な表し方があるのじゃが…基本的に階段が説明に使われる。」


 先程の図は消えず、折り返しのある階段の絵。

ショッピングモールとかの階段のイメージで、入口のエリア、上へと続く階段、途中で折り返しのエリア、さらに上への階段、そして次の階では入口とまた折り返しで次の階段…


「階段のスタートフロアが今いる世界、階段は無。上がった先の階段の中間…折り返しは“世界の狭間”、中間からの高さが“世界の結界”と呼ばれる最後の防壁、階段先のフロアは別の世界じゃな。」


…なる…ほど…?




「“世界の狭間”は世界を隔てるための間じゃ。“世界の結界”は別世界からの侵略、またその逆…進行を抑えるための役目がある。この2つが魔法といった特殊能力へ負担を掛け、位置を捉えにくく、通りにくくすることで特殊な移動方法を制限する役目を担っている。」



「まぁ…“大世界”や“エレベーター”がある世界には意味がなかったようじゃが…」


……む?




(それはどういう事でしょうか?)


と、尋ねると全神様がちょっとびっくりした顔になった。



「反応がないから思考停止したり、聞いてないのかと不安に思ってたが杞憂だったようじゃな。」


…どちらもお話の途中で正解になりかけましたが持ちこたえました。


と、悟られないように…意味ないかもだけど、何もないのを装いながら内心で汗を流す僕。




「“エレベーター”は“世界門”と呼ばれる、とある世界にある施設のようなものでな…」


「世界は階段のように、普通は飛ばしたりして昇ることが出来ないんじゃ。1世界、1世界昇る必要がある。それも結界も通りながらじゃな。じゃが、この“世界門”はエレベーターのように階段をスルーして世界間を移動する事ができる。決まった範囲の決まった世界ではあるがな。じゃから、“エレベーター”と呼ばれておる。」


「そして“大世界”はとある1つの世界の名称…というより通り名じゃ。その世界は全ての世界の根幹と似ており、世界自体がエレベーターのように、全ての世界と繋がるんじゃ。どんなに世界が離れていようとも、昇る階段は1階段。そのため、影響を受けやすい上に世界の移動が非常に容易なんじゃ。」


…そりゃ意味がなくなるな…



「まぁ“世界”についてはここまででいいかの。次は“ワールド”じゃ。」


(はい、よろしくお願いします。)




「うむ。さっき、“世界”は階段のようなものといったじゃろう?」


(言ってましたね。)



「階段があるからには1階2階とフロアがある訳じゃが…フロア全体が1つに隔てなく繋がっている訳じゃなく、部屋…店とかもあるのが普通じゃよな。」


うんうん。



「簡単に言えばその部屋が“ワールド”じゃ。関係性を”世界”と”ワールド”で表すなら…部屋と家具、国と街、惑星と衛星、海と川、木と葉、親と子、主と従…といった感じじゃな。」


ふむ…



「部屋が無くなれば家具も無くなるように、“世界”が無くなれば“ワールド”も無くなるんじゃ。」


ふむふむ…



「主の“世界”に比べて付いてくる従(副)の“世界”は基本的に小さかったり、無数にある事が多い。そのため、世界に付属する、別の物として扱われるようになったんじゃ。世界の在り方も、主と従というように違うしの。」


なるほど…?




「主の“世界”より小さくとも、“世界”として成り立つ広さを持つ主の世界とは違う場所…ズレたりしている空間であれば“ワールド”と呼ぶ。可能性の世界、パラレルワールドなんかも”ワールド”じゃな。この“神界”も“ワールド”と呼べる。」


…え?



(それって…)

世界に付属するってことは、神界は……


「む…?その通り、“神界”は別の世界にも存在する。この“神界”はこの“世界の”神界じゃよ。まあ、この神界はちと大きい上に上位寄りじゃから複数の”世界”を管理しとるが」


ちょ、言ってないですよ、先取りしないで下さいよ…




「ん、“先取りしないで”みたいな顔じゃが…驚きでハッキリとしておったから読んでしもうたわ…」


…いや驚くよ…専属みたいな…神界って…




「…“ワールド”はさっき言ったように、パラレルワールドや夢、想像された世界など様々な物が含まれておる。主の世界からズレた空間に存在する空間も全てワールドじゃからの。天使界や地獄などがある。このように、”世界”とは違い本当に些細なきっかけで“ワールド”は生まれるんじゃ。」


天使界…地獄…ズレた場所の空間も色々あるんだなぁ…




「基本的に、“ワールド”という概念は地上では存在しない。が、“大世界”と呼ばれる世界は“ワールド”の概念があるだけではなく行き来もできるからの。」


…よく出てくるけど大世界ヤバいな。



「…まぁ、“ワールド”の説明はこんな所かの。」


…初めて知る事が多い…当然だけど…




「なんていうか驚きしかないです…」


あら…無意識に、ついポロッとそんな言葉が。




「む…。そりゃそうじゃろうのぅ…」


お茶を飲んでいた全神様が笑いながらそう言った。僕もお茶を飲む。え…すごい美味しい…何これ?!



「普通のお茶じゃよ。…神界の茶葉じゃが。」


顔に出ていたのか苦笑しながら全神様がそう言ってくれたけど…“神界の”って普通じゃなくないかな…。


登場人物



跳羽 説明:主人公。神様相手に内心で突っ込む余裕が出てきた。

      ただし、考えることが多すぎて緊張できない、と

      いう表現が正しいかもしれない。


ファル 説明:生命神。会話に参加する気はあるものの

       いたたまれなさで参加できていない。


アム 説明:創造神。ファルと半分同じ状態だが

      内心、責任をどうとるかを考えていたりする。


オルム 説明:全神。物事を説明するときは、必要な要素は

       なるべく教えるタイプ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ