王様宅の複雑な事情②
ゼクト殿下を王にと推し進める、いわゆるタカ派だな。
それと、エンリケ陛下が即位している以上、おふたりの子供が王位を継ぐのが順当と考えるハト派。これが大体三対三の比率でいがみ合ってる。
ん?後の四割が気になるって?それをこれから説明するんじゃないか。
宮廷内にはもうひとつ派閥があって、マデリナ王妃の息子であるヨハネ殿下を王にと推す、女官派ってのがあるわけよ。ハト派と同じに見えるけど、ハト派ほど日和ってない、いわばもうひとつのタカ派。
女官派ができたのは、ヨハネ殿下が生まれる前。
ゼクト殿下の出現でただでさえクロード陛下の所業に頭を痛めてたマデリナ王妃に、「王位を正統な血筋に戻すべきだ」って進言したバカが複数いたかららしい。
でも、当然ながら赤ん坊に政治なんてできないから、マデリナ王妃もエンリケ陛下も無視してた。
そのうち脅迫状や暗殺者が送られてくるようになって、気鬱になったマデリナ王妃は何度も流産しかけたそうだ。
そこで立ち上がったのが当時の女官長。彼女は王宮中の女官と侍女をまとめ上げ、女官派を作った。
この派閥に属する貴族が二割強。立場上私らもここに含まれる。
ちなみに女官だから所属してるだけで権力争いに興味はないよ。
残りがどうしてるかっていうと、中立って言いながら状況を静観してる。
どこに着いても負ければ損だと考える輩はどこにでもいるもんだ。玉座に座る人間が決まってからじゃ重用はされないだろうけど、少なくとも家ごとつぶされるとかの物騒なお話にはならないから、取り入るのはその後でもいいってことらしい。
グランチェーナー家は中立派。建国から続く由緒あるお家柄のわりにイマイチ重用されんのはここら辺の日和見主義が原因じゃなかろうか。知らんけど。
結局暫定的な措置としてエンリケ陛下の国王業は継続。生まれた順にゼクト殿下を第一王子、ヨハネ殿下を第二王子ってことにして、王太子の選定は先送り。そのまま現在に続く、と。
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