壊れるほど君を愛してる
「新潟から転校して来ました、西宮利奈です。よろしくお願いします」
利奈は体を震わせながら挨拶をし、空いている席に座った。
やはり大阪ということもあって、言葉の違いにあまり仲良く出来る自信がない。前のように一人で死んだ方が楽だと思えてきた。
昼食は屋上で食べようと向かった。そこには、明らかにヤンキーみたいな怖そうな男子が居た。髪も金髪に染め、ピアスまでしている。
利奈はさすがにそんな怖い男の子に関われる勇気などなく、教室に戻ろうとした時だった。
「何で怖がっとるん?別にこう見えても同い年やねん。仲良うしようや、利奈」
利奈は自分の名前を知っていることに驚くのはもちろんだが、ベタベタな大阪弁に困惑している。
「お前、なんか辛そうな顔してる。なんかあるなら話してみ?」
そこまで聞かれると答えないわけにもいかない。利奈は弁当を持って、彼の横に座った。利奈はそれまでのことを話した。
中学時代、好きになった翔にストーカーだと誤解され、ありもしない噂が広がった。翔の卒業式の日、利奈は自殺した。しかし、死ぬことは出来なかった。代わりに、翔の記憶が無くなった。
高校生になり、もう会うことなんてないと思ったが、彼は記憶を取り戻し、利奈に謝罪をした。それが嬉しかった。学校でいつも話せるようになったのはとても喜ばしいことだった。
しかし、利奈の父は転勤のため、一緒に付いて行かされた。そのことは、翔には言えなかった。利奈は翔に別れを告げて去ったのだった。
「すごい恋愛やな。俺もそんな恋したいな」
彼はそう言って立ち上がった。
「俺は海翔。よろしゅうな」
海翔はそう言って、屋上から出て行った。利奈は時計を見て、急いで弁当を食べた。
それからというもの、海翔と関われるようになって、たくさんの友達が出来た。どの人も口を揃えて言う、すごい恋だと。そんな辛い素晴らしい恋が出来るのはすごいことだと。
自分はその恋のせいで、死ぬ思いで必死に生きてきた。だから、すごいと思われることなんて変だと利奈は思った。
翔は仕事の休憩で、外に出ていた。もうすぐで、利奈の誕生日だなと考えていた。
「もしかして、アンタが翔さんでっか?」
すごい怖そうなヤンキーにベタベタな大阪弁で話しかけられ、翔は身震いをした。
「わいは利奈の友人なんや。お前に頼みがあって来やった」
「利奈の、友人……えっ、利奈?」
大阪弁で自分は利奈の友人だと彼は言い切った。だから、利奈は近くに居るということだ。
頼みというのは、利奈の誕生日パーティーにサプライズで来てほしいということ。登場の仕方は何でも構わない。もちろん、プロポーズもありだ。
日時などを教えられ、翔は急いでジュエリーショップに向かった。そして、一番安いのに関わらず美しい輝きを放つピンクトルマリンの指輪にした。
次の日。利奈はみんなに祝福されて嬉しい気持ちだったが、やはり悲しい。翔に祝ってもらいたかった。
「スペシャルゲスト来とんの。ほな、どうぞ!」
海翔にアナウンスに登場したのは、翔だった。利奈はその瞬間に涙を流した。
「会いたかったよ、利奈」
「翔、先輩……」
そして、翔はポケットから箱を取り出した。その瞬間、後ろの女子は黄色い声を上げた。翔はその箱を開いた。そこには、美しい指輪が入っていた。
「俺は壊れるほど君を愛してる。だから、結婚して下さい」
翔の言葉に利奈は子供のように泣き出した。それほど、嬉しかったのだ。
「……はい。私も、大好き……」
それは、とても素晴らしい誕生日プレゼントだった。




