No title
今回は超短いです。
翔達は卒業した。留年した翼を除いて。
なぜ、翼が留年したのかというと、彼は数ヶ月の間入院で休んでいたというのが彼の言い訳。実は、翼が能力を使って操作したのだ。だから、私立でも留年に出来る。
翔に県外で良さそうなバイトを見つけて、そこに行くことにしたのだ。
翔と利奈は空港に居た。もうお別れだと寂しくなる。
「利奈、ごめんな」
「いいえ、記憶が戻ってくれて安心しただけで充分です」
彼女はあまり強く望むことはしない。翔を思って何もしないというのを彼も分かっていた。
「先輩、さよなら……」
「ああ、またな」
前を向いて歩き出した翔は知らなかった。こんなことになるということは。
「えっ、利奈が転校した?」
バイトをしてしばらく経った頃の話。翔は征也と電話をしていた。
『その転校先も知らされてないからどうしようもないんだよな』
征也が電話越しで嘆息するのが聞こえた。翔は焦燥感で胸がいっぱいだった。
「そんな、利奈……」
『親の事情とかあるだろ。何せ、利奈のお祖父様は学校の創立者だから』
父もそれなり良い仕事をしていると利奈から聞いたことがある。エリートな会社なら転勤もあり得る。
翔は征也と電話を終わらせて仕事に戻った。上司の琉生が話し掛けた。
「翔くん、どうしたん?」
「いや……」
翔は琉生をすり抜け、泊まり込み用の部屋に戻った。




