スタンドアップ 2
ついに放課後になり、校門には人が集まっていた。松島高校の制服を来た征也と光一に女子が群がっていた。翼達は立ち尽くしていた。
「翼!助けて!」
「え……」
明らかに嫌そうな顔をしている翼の顔に翔は一人で爆笑していた。利奈はそんな翔を見て、一歩引いた。
男子組は仕方なく女子の群れに突っ込んだ。それに気付いた女子達が引いて行く。男子達は疲れた顔で残されていた女子組を見た。
「女子ってなんなの。学校のイケメン取られ過ぎて飢えてんのか」
征也の言葉は本当なのである。学校でのイケメンと呼ばれた翼、春翔、翔が付き合ってしまったため、学校の女子達はイケメンに飢えているのだ。
「とりあえず、行こうぜ」
「おお!翼のマイスウィートハウス楽しみだな!」
皆は翼の秘密基地に胸を弾ませていた。一同が歩き出そうとした時、翼だけ足を止めて振り返り手を差し伸べた。
「花菜、行こう」
「うん!」
花菜は駆け寄って翼の手を握った。その溺愛ぶりを見た陽太は清香の手を握った。すると、清香が怪訝そうな顔をした。
「良いだろ、別に……」
顔を真っ赤にした陽太の顔を見て、清香の顔も真っ赤になった。初々しい恋を目の当たりにした翔と利奈も手を繋いだ。一人で孤立していた栞奈を見て、征也も手を繋いであげた。
「これから寂しくないだろ……」
「うん……」
そんな様子に春翔と結衣は顔を見合わせて笑い、手を繋いだ。この手繋ぎラッシュに優樹と光一はため息を吐いた。
「ここが俺の秘密基地だ!」
目の前に湖が見えるこのログハウスは翼の第二の家と言える秘密基地である。皆は大層な秘密基地に目を輝かせている。
「秘密基地より最早別荘だよ……」
栞奈はそう言っていたが、中は普通に秘密基地で、ただ電気が通っているということがすごいだけだ。
「翼、散らかり過ぎじゃない?」
「いや、まぁ……」
花菜の言葉に翼はしどろもどろになる。最近来ていなかったのもあるが、かなり酷いことになっていた。
「私は秘密基地って感じで好き!」
「うん!秘密基地って感じだね!」
栞奈と清香は舞い上がっていた。それほど興奮しているようだ。安堵の表情を漏らす翼に翔が肩を組んできた。
「お前、羨ましいなぁ。こんな秘密基地持っていやがって」
「やめろよ、翔……」
記憶が戻った翔はかなり雰囲気が変わり過ぎて関わりづらい。記憶喪失の翔しか知らない翼からしたらどう接して良いか分からないのだ。なのに、優樹は仲良く出来てすごいと率直に思う。
翼は翔と協力し、居間の真ん中にテーブルを置いた。以前、花菜と勉強する時に使っていたテーブルだった。翼はちゃぶ台のような感覚で使っていた。
皆でテーブルを囲んで座った。それぞれ雑談をしていると、基地の扉が開いた。裕也と翔太が居た。
「翔太に言われてね、征也のGPSで探して来たよ。それにしてもすごいなぁ」
「これって、普通に一軒家だよな?」
大人の二人は翼の秘密基地に目を丸くしていた。教師の参加により、男子達が緊張した面持ちになった。そんな時、栞奈が立ち上がった。
「私達にグループ名を付けようよ!」
栞奈の発言により、緊迫した雰囲気は無くなり、年齢関係なく盛り上がっている。
「ドリーム団で良いかな?カッコいいなって思ったけど」
栞奈の名案により一層騒がしくなった。征也が栞奈の肩に手を置いた。
「良いじゃん。賛成の方、挙手を!」
全員が手を上げた。皆は笑顔だった。栞奈は嬉しそうに笑っている横で、裕也が宣言した。
「我々軍団の名はドリーム団だ!」
一気に拍手が上がった。リーダーは栞奈と推薦によって決まった。
今日、この秘密基地でドリーム団を結成したのだった。
彼らの容姿は決まっているんですよ。
いつか描けたらツイッターに公開しようかな。