表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/31

デビルズウィング 2

今回は短く、翼の母のお話です。



 私は不妊症で、子供が産まれない体質だった。子供が好きな私にとって辛いことだった。

 夫は未来を予知することが出来る能力を持った悪魔の子孫だった。


 ある日の夜。赤ん坊が天井から落ちてきた。その赤ん坊は黒い羽と角にしっぽを生やしていた。

 夫は予知などされていないと言って焦っていた。赤ん坊と一緒に手紙も降ってきたのだ。



 急に子供が落ちてきて驚いたと思います。本当にごめんなさい。悪魔の世界での治安が悪く、育てることが出来ない状況です。なので、あなた方に授けました。

 次第に羽なども消えていきます。あなた方の色に染まるでしょう。能力が発揮したらしっかりと支えてほしいです。

 最後に、こんなお母さんでごめんなさい。新しいお母さんお父さんと一緒に素晴らしい人と結ばれて生きて下さい。貴方なら幸せになれますから。



『翼……翼にしようか』


 夫がそう言って驚いた。夫もこの子と同じように降りてきた悪魔の子だったのだ。それでも、育てる気なのだろうか。


『自分とは二の舞にはしたくない。だけど、育てるしかないだろ』


 夫は笑顔で言った。


『もう二度と見ることが出来ない悪魔の翼。これからは天使のように生きてほしいから……名前は、翼だ』


 私達は舞い降りてきた子供を大切に育てた。夫は自分色に染まるのはダメだと思って距離を置いていた。


 保育園には行かせなかった。まだ羽などが生えていたから。いつしか、羽が消えて外に出れるようになった。


『これがおそと?すごいね!』


『きみ、だーれ?』


 夫の予知通り、翼は茜ちゃんに出会った。そして……。



『好きだーーー!!』



 本当に予知通りに行くのだと知った。

 翼は出会ってしまったのだ。花菜ちゃんに。翼はどんどん花菜ちゃんの色に染まっていった。翼の世界には花菜ちゃんしか居なくて、私も入れないくらいだった。

 それで夫は焦りを覚えたのか、予知を聞いたのか、幼なじみの茜ちゃんを使って別れさせようとした。しかし、夫は気付いてしまった。

 花菜ちゃんは翼の固定観念(父への見方)を変えることが出来るらしい。夫が予知で言っていたのを覚えてる。




「だから、私は花菜ちゃんに言ったの。あの人は不器用だから愛し方を知らないの。夫は親からの愛など知らないから」


「えっ……」


 翼の母の言葉に花菜は首を傾げた。翼の母はとても暗い顔をしていた。


「お前は悪魔だから消えろって言われ続けたの」




『悪魔のお前は消えちまえ!』


 家に追い出された彼を見つけて、私はすぐに駆け寄った。


『大丈夫?』


 彼は私に抱き締めてきて泣いていた。この人は何かあったのだろうと私は思った。


 私達が結婚するということを彼の両親に伝えたら猛反発されたのだ。


『悪魔のお前なんか子供を育てられるはずがない。子供なんか育てちゃいけないんだ』




「だから、彼の親とは縁を切った。なのに、彼はますますあの人達に似てきて、翼に酷いことをするようになった。だけど、彼は愛されていないのだから、当然他人への愛し方も知らない。不器用な彼はああなってしまったのよ」


 翼の母から聞かされた話に花菜は呆然とした。そんな花菜に翼の母は微笑んだ。


「話を聞いてくれてありがとう。後は花菜ちゃん次第よ。お家に送って行くわ」


「……ありがとうございます」


 花菜は翼の正体を知って、とても複雑であった。彼の正体を知っても自分は彼を愛していけるのだろうか。




次回、花菜ちゃんが翼くんの固定観念を覆す。

優しい祥也くんも登場です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ