*レイヤーって何?
まず、これを解説しなければ何も出来ません。
レイヤーとは薄い板です。
透明な板だと思ってください。そこに色を付ければ色が塗れる。別レイヤーに色を付ければその他のレイヤーに塗られた色は弄れないのです。
□通常レイヤー←一番上にあるレイヤー。絵の一番上にある状態。
■通常レイヤー←今のレイヤー。と、いうことはこのレイヤーにしか今は着色出来ません。
□通常レイヤー←この部分に色があっても着色、消しゴム等で弄れません。これを選択すれば着色出来ます。■レイヤーの下に色が着色されています。
この原理を利用して着色します。
レイヤーはレイヤー加工で通常以外の加工が出来ます。
SAIで良く使うのが
□通常レイヤー
□スクリーンレイヤー(イメージより薄い色になる。ソフト消しゴム、ウエットで調整する)
□発光レイヤー(一番明るい)
□明暗レイヤー
□乗算レイヤー(その色が×2濃くなる)
ですね。これでほとんど着色します。
で、講座に使おうかと思った下絵。
この時点でキャンバスA4に張り付けた画像がある状態です。
ですが……。
線画の状態
で、これです。
この時点でほとんど下絵は必要ありませんでした。元々、白梅、狐の面、カラスは描く予定でした。これらは元々あった画像を持って来て上手く人物と合うよう大きさを調整して下絵にしています。カラスはもう真っ黒にばっと描きました。
実は普通はこの方が楽なんですけど。
※梅の花も全部着色が終わってから別に描いてコピペ複製していい感じに弄った方が楽です。
こうあるとただ面倒なんです。(超面倒だった)
□通常レイヤー(人物)
□通常レイヤー(カラス)
□通常レイヤー(狐面)
と分かれていますが、結局カラスだけ別レイヤーになります。
※デジタルのペン入れのコツ
私は人物を結構太めにします。その方がメリハリが出るので。一度、ばっと引いてから後でゆっくりシャッ、シャッと太くする感じです。手ぶれ補正は14入ってますが筆圧補正は入ってないですね。
※タブレットについて
私、タブレットについてはほとんど拘ってません。今もワコム社のタブレットの型落ち(当時最新)です。……液タブ。憧れるけどそこまで投資するほど絵は描いてないので壊れさえしなければ……って感じです。タブレットの設定はほとんど切っているので。
もはやもう壊れそうなので逆におすすめ教えて欲しいぐらいです。
※背景について
SAIには通常レイヤーの他に描画レイヤーがあります。このレイヤーに直線、曲線機能が入っていて、綺麗な直線や曲線を引くことが出来ます。物を描く時はこれを使う場合が多いです。図形機能はないんですね。だから主にエクセルから持って来ていい感じに変形して使います。
レイヤー分け
はい、面倒さが分かります。梅の花の時点で枝、花、ガクの部分に分かれています。細かすぎてぶっちゃけやっちまったー、と思いましたがこのまま進みます。
分かり易いかと思ってレイヤーボックスにしたのも問題。このボックスは全部オーバーレイになり着色レイヤーになります。
普通は別れた状態で上下にレイヤー加工して着色します。グリッピング出来るしその方が楽です。画面は見難くなるけど。
影
影を入れるとこうなります。
レイヤーボックス=レイヤーだと思って下さい。
□オーバーレイレイヤー(着色)
□乗算(影)
という状態です。これがグリザイユの基本。オーバーレイレイヤーは少し濃いめにした方がいいです。下の影が出るので。今回は影の上に更にオーバーレイを乗せて調節しています。
加工
ここからの記憶がすっ飛んでいます。普段と違う着色の上、梅の花という問題があって手間がかかりました。
線画にもグリッピングで後から着色出来ます。
□通常レイヤー(着色)
グリッピング
□通常レイヤー(線画)
で色が付けられるのです。グリッピングすると下のレイヤーに着色された部分にしか色を塗れない状態になります。
完成
そして完成。
……下絵と全然ちっがーう!!
八章の絵になりました。おかしいなぁ??
しかし元々、こういうキャラクターを描きたい!!と思っていたのでこうなりました。これが可能なのがデジタルです。
下絵の時点でここまでアナログでの仕上げは無理です。下絵がどれだけぼんやりしていたか分かりますね。先述の通り放棄していました。
これでも梅の花のせいで人物はそこまで凝ってないです。でも袴が真っ白だしこれでいい気がしますね。
今回の拘りは袴。
ちょうど令和になる式典で色々な袴を見られて満足です。彼の袴はあえてほとんど忠実に描きました。
良くある肩部分のデザイン等も入れてません。本格的な式典なら鏡一狼のような袴が正しいのでしょう。
更に肩幅はほどほどだけど細腰という体格なのでそれが出るように描きました。腰の紐が長いのもポイント。絶対びろーんってなるだろ、お前!って感じです。
気にしてたら殴られるな。
私は着物も袴も着たことがありますが袴の方が圧倒的に楽です。帯が腰下なので苦しくないんですね。そんな理由で採用率が高く更に毎度拘っているのです。
彼は弓道をやっていますから手もごつごつしています。
矢は設定上必要ないので描いてません。
□通常レイヤー(目の光)
□通常レイヤー(線画)
□オーバーレイレイヤー(影の着色、アクセント)
□発光(部分的に明るい所)
□通常レイヤー(中間色)
□オーバーレイレイヤー(着色)
□乗算(更にその影)
□乗算(影)
ぐらいだと思います。……充分多い。
梅の花が大変で他に手間暇かける余裕はありませんでした。
ごちゃごちゃするなぁ、と思ったので絵であるあるな花弁の舞は今回は描きません。
Photoshopelementでの加工はしていません。カチッとした絵にしようと思っていたので必要ありませんでした。これ以上色を入れるとバーンとしたインパクトが減るので下手に加工しない方がいいと判断。ターンエンド。
工程はカオスでしたが完成作品はほどほどイメージ通りに出来ました。
まさに花札っぽいイメージだと思います。
※デジタルで重要な技術
コピペ複製技術です。
デジタルはこれが可能です。個人的な理由でそのまま直には使いません。絵に合うように調整して画像を加工、下絵にします。
主に輝度、透明度の変更でいらない部分を消し、色を変え、オーバレイ等で模様にしたり色々です。模様やスキャンしたトーンなどもコピペで使えます。
※カラス
カラスには発光で濃い緑が入ってます。それをウエットで簿かし、更にソフト消しゴム(うっすら色が消せる。その塩梅も調節可能)で消しゴムにぼかし効果を入れています。これは良く使います。一気に和風っぽくなるので。
※水彩境界等
今回は使っていません。こう、月明かりっぽくカチッとアニメ風にしたかったので使いませんでした。
※最近思ったこと
結構、体格に拘りを持つようになりました。フェチと言えば良いのかな。このキャラクターはこう、このキャラクターはこう、というフェチ的な感覚が出てそれが絵に影響されるようになりました。絵を描く上でフェチは重要かもしれません。それでも、手やポーズはちゃんと参考資料を見ながら描いています。横顔なんて特に難しいですから。
※今回は失敗含め一気にバーッと行きました。ここ、もっと詳しく知りたい、ここが良く分からない、等の質問があれば是非お願いします。次の回で解答出来れば致しますので。