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A7→P7  作者: イースト菌
1週目≪7A→7P≫
9/11

4日目am<悔しくて>

はっと気が付くと自分の部屋のベットの上で寝そべっていた。

だがいつもと様子が違うそれは目を開ける前から気付いていたのかもしれない。

そう空が真っ暗で夜というものを体験したのはかなり懐かしく思えたのだ。


<2019年6月5日水曜日午前0時>


「今日はここからなのか。」


何が起こっていたのか一瞬で理解していた。おそらく昨日の午後の俺は0時までずっと起きていたのだ。俺がこの夜中に何をするべきかを俺に教えているのだろう。その証拠に寝そべっていた時に、頭に本のようなものをかぶっていたからだ。さらに机の上には相変わらず不気味なお面が置いてあったのが見えた。あのお面こそきっと今の状況を打破できるキーポイントだと信じている


俺は起き上がりその反動で落ちてきた本をゆっくり手に取り


「くそっ」


とあまりの感情の高ぶりで、レンタルしたものだというのを忘れてしまい本を押し入れのほうに向かって思い切り投げた。本がぶつかって感じた衝撃と俺のストレスの大きさはもはや天と地。比べるならゴ〇ラと1台の戦車を戦わせているようなものだろう。


落ち着く間もなく机の上にあったお面を手に取りすぐさまお面を身に着けた。


「俺の平和を返せ」



「返せ」



「返せ」



「返せ」



「返せ」



「返せ」


そう力望して10分間


「ダメなのか」


あの感覚に襲われないということは恐らく何も変わっていないのだろう。布団の中に潜り、こうぼやいていた。


「明日も12時に俺はまた飛ばされ1日が終わり死に1歩近づいていくのか。この十数年間楽しかったよな。」


恐らく40年間生きてきた人たちの考え方ってこんな感じなんだろう。そうベットの上で横たわっていると突然周りが暗くなってしまった。

『た・・ていく。それ・・幸せだった・・なる・貴方は・・するこ・・わね。』


聞き覚えのある声が途切れ途切れで聞こえてきた。とても楽しそうでとても悲しそうで何処かであったことのある人が薄っすら見えてきたが奥の光が強くなりその姿は消えた。

その光は開けっ放しにしていたカーテンから太陽の光が直接目に入ってきていた。

お面は床に落ちていて、自分はベットの上で掛け布団を跳ね除け寝ていた。


<2019年6月5日水曜日午前6時30分>

「おはよう今日も早えーな」

祖父が今日は朝ご飯を作っていた。祖母と母は早出で俺が起きた同タイミングで出ていったそうだ。祖母や母の働きと言い祖父の家事職と言い。


「みんなよく頑張れるよなぁ」


そうぼやき、自分も何か見つけなければいけないと思い、ある決意をした。


「何としてもこの状況を打破してやる。そのために・・・」


寺に行き龍平さんに会いお面の秘密について聞けばいい。もしその秘密を知らなくても俺が体験した出来事を話せばきっと信じてくれるだろう。




「ご馳走様」


すぐさま学校に行く準備をして午前7時丁度に


「行ってきます」


と家を飛び出していった。3分間の出来事だった。


「おーきぃつけてなー」


その声はもちろん届いては無かったが祖父は俺が元気に走ってる姿を見て安心していそうな顔をしていたのは何となく分かったのだ。俺も早くそんな顔をしたいものだ。


寺に行っても当然龍平さんはいなかったがそれでも俺は諦めなかった。寺の人にいつ龍平さんが戻ってくるかを聞いた所、明後日の午後には戻ってくるそうだ。と言う事は今週の土曜日の午前のうちに行けば大丈夫と言う事だ。


この3日間何もできずに終わる予感がして半分諦めかけていた。

最悪の場合今自分が起こってることをかたっぱしの人に相談するしかない。だが問題はそれを信じてくれる人が何人いるかだ。

間違いなくいないだろうな。突然、友達や親が

『自分は時間を飛ばすことができるんだ』

なんて言ってこられたりしたら俺は100%信用できる人に対してもまじめに受け答えは決してしないだろう。自分がその立場になって信じられないものは相手にも信じて貰えないのは当然のことだ。

だからその方法はに期待なんて絶対に持たない。ただし例外もいる、それが龍平さんだ。彼の孫が常人ではなかったからこういう話には慣れている。故に本気で俺の話を受け止めてくれるだろう。それが龍平さんにこだわる理由だ。


学校の下駄箱から上履きに履き替えた時墨白君が歩いているのを見かけた。彼と今話してもきっと俺が何を言おうが余計に怒らすだけだろう。かと言って何もしなければ永遠に話すらできない仲になってしまう。俺が何を言っていたのかは知らないけど、必ず真実を見つけて仲直りをしよう。墨白君というかけがえのない親友の絆を取り戻すために。


そう墨白君は高校に入って初めて俺を受け入れてくれた人だ。あまり俺は友達を作るのはあまり好きじゃなかった。だからこそ小中学校の時も、本気で仲良くなれた友達は恐らく片手で収まりきれる数しかいないだろう。高校まで俺は何も変わらずに過ごしていた、もちろん不安もあった。でも俺は変わりたいと思っていた。こんな薄暗い自分が嫌で嫌で少しでも明るく振舞えたら満足できる自分になれると思っていた。だが俺は頑固でひねくれてるから自分の趣味も自分が好きなものも全部誤魔化して、そのせいで自分だけが損をする。ホントは心から共感しあえる友が欲しい100%信頼できる関係を作りたい。でもそんな人なんてめったに会えるものではないから俺は諦めかけていたのだ。いじめで裏切られたり自分を知られていくにつれ『つまらない人』と言われたり俺は友達を持つこと自体を損しかないものだと感じ恐怖を感じてしまい暗くなってしまった。



でも・・・






そんな俺を彼が変えてくれたんだ。俺は彼に厚い恩がある。


「だからこそ俺は」


何がきっかけで墨白君との仲が崩れてしまったのか、その真実を俺は探してみよう。

と言ってもそれを確認できそうな相手がこのクラス30人の中でも空部君しかいないのが事実だ。

俺は十分変わってきたと思ったけどこの状況が語っている。

『俺は何も変わってない』と。

心では分かっているのに脳が邪魔をして体に表せなかった自分のままが悔しくて悔しくて。

だからそんな自分を変えたいそういう風に俺は思ったのだ。


だが運にも見放されたのか、情報を人から聞く間もなく始業のチャイムが鳴ってしまい点呼からの授業が始まってしまったのだ。


1限の英語表現も2限英語も3限の化学も4限の数学もすべての時間を今の俺には自分ができる行動が何かを考えることに使った。しかも何気に普段何気なく受けていた授業よりも楽しんでいた。こんな状況でも、否、こんな自分が追い込まれている状況だからこそ楽しんでいられる俺はつくづく負けず嫌いだなと感じていたのだ。

今回は墨白(すみしろ) (じょう)のキャラ紹介です。

基本的に落ち着いていて現実的な考え方をする。優しい人ほど面倒見がよい。基本恥知らずである。

イントネーションがおかしい話し方をするのは人を楽しませようと振舞っているのだが空回りしてることが多いようだ。それでもこの話し方は癖がついてしまっている人にとっては気に入っている人もしばしば見られる。



次回5日目am<ヒントは身近に>

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