十八日目5
「いっくよーっ」
右に天使の羽、左に悪魔の蝙蝠羽。光と闇のオッドアイ。
服装は魔法少女っぽさを起用してひらめくミニスカートの下にはイチゴパンツが覗いている。
手にはロリポップな杖一つ。
魔法少女と化した茉莉がフロシュエルの前へと現れた。
これが魔法少女ではなく怪人だというのだから驚きである。
フロシュエルは驚きながらも警戒する。
今回茉莉と闘うことになってしまっているのだが、相手の実力は未知数。警戒するに越したことはない。
「よーし、えーっと、あれ? 闘うってどーすればいいのレウちゃん?「拳で殴ったり足で蹴ったりするのだ。そのくらいはできるだろう?」おっけー。行くよーフローシュちゃん!」
ばさり、二つの羽が空気を打つ。
突撃して来る茉莉に光の矢を放つ。
旋回して躱された。
「とぉーっ」
飛翔からの渾身の拳がフロシュエルの腹へと吸い込まれる。
ガインッ
変な音と共に茉莉の拳が軌道を変えた。
「あいたぁっ!?」
自分の腹に思い切り拳を突き入れた茉莉が地面に転がりお腹を押さえて悶え始めた。
「あ、あれぇ?」
身構えていたフロシュエルは今の一撃に反応しきれていなかったのだが、ダメージを喰らわなかったことにはて? と首を傾げ、気付いた。
自分の周りには今、風魔法に変化させて姿が見えなくしているものの、プリズムリフレクションが常時稼働中である。
「あ、あー」
どうしよう。思ったモノのフロシュエルにはプリズムリフレクションを止める方法は分からない。
自分の身を守るモノではあるのだし、別に止める必要もないのだが、こういう対戦では卑怯と言われてもおかしくない気がする。
「な、なんか跳ね返ったーっ!? 「阿呆め。相手の能力も確認せず闘うな」」
茉莉とレウが喋っているのだろうが、出て来る声の場所は茉莉の口なのでなんとも痛々しいことになっている。
お腹を押さえながら立ち上がった茉莉はむーっと唸りながらステッキを振るう。
「えーい、ホーリーアローっ」
シャランっとロリポップスティックから生まれた光がフロシュエルへと襲いかかる。
フロシュエルは避けようかと思ったが、プリズムリフレクションの耐久値を調べるつもりでそのまま直撃を受けてみる。
ガインッ。と、音を立てて当然のように跳ね返るホーリーアロー。
「きゃいんっ!? 「だから、一度跳ね返されたのだから相手の能力を覚えておけと言っておるだろう」だってー。もしかしたら一回限りかもしれないじゃんかー」
すごいな。とフロシュエルは思う。
攻撃を跳ね返され、それが直撃しても殆どダメージを受けている気配がない。
茉莉の耐久力は確かに強いようだ。
「そら、フローシュよ。折角だからお前も攻撃してこい。お前が使う能力ならばこやつも使える筈だ。全て見せてみろ」
「全てをと言われても。仕方ないですね。ホーリーアロースプレッド」
様子見といったつもりで散弾を打ち放つ。
「おー。無数に分かれちゃったよ!? 「見て覚えろ。お前も出来る筈だ」」
天使と悪魔の羽を羽ばたかせて避ける茉莉。
しかしホーリーアロースプレッドは追尾式である。
「リフレクトシールド」
さらにフロシュエルは適当に飛びながら各所にシールドを作っては放置していく。
「む? なんだ? これは……マズいぞ茉莉。誘い込まれているッ! 「ほえ?」」
レウの声に意味が分からず変な声を返した茉莉。追尾式ホーリーアロースプレッドに誘い込まれたのは部屋の中央。
その周囲には無数のリフレクトシールド。
そしてシールドに当った無数のホーリーアローが茉莉に向かって飛んでくる。
四方八方から迫る連撃に、流石の茉莉も顔を青くした。
「ちょ、レウちゃんこれは……「終わりだ茉莉。お前の負けだ」そ、そんなぁー。ひぅっ。きゃああああああああああああああっ」
無数のホーリーアローが茉莉に襲いかかる。
ちょっとやり過ぎただろうか?
不安げに思ったフロシュエルだったが、杞憂に終わった。
穿たれた茉莉から黒い靄が噴出する。
何が起こるのかと不安げに見守るフロシュエルの目の前で、茉莉の穿たれた傷が見る見るうちに塞がって行く。
「素晴らしい。流石は魔王ブエルということか。この細胞を使って良かった「ふぇぇ。なんか今の気持ち悪い」慣れろ」
遠慮はいらないというレウの言葉にようやく納得がいった。茉莉はある程度の攻撃は魔物と同様瘴気を使って回復する事が出来るらしい。
「全く。お前は闘いというモノを全く分かっておらん。選手交代だ茉莉「えー。もぅ仕方ないなー。レウちゃんちょっとだけだからね」」
無邪気な笑みが消え、好戦的な笑みを浮かべる茉莉。どうやらレウが茉莉を操って闘うつもりらしい。フロシュエルとしてもここからが本番だと思わず気合いを入れ直したのだった。




