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天使見習いフロシュエル物語  作者: 龍華ぷろじぇくと
四日目・ノーマルルートA
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十八日目1

「ふぁ~っ」


 ベッドから這いだしたフロシュエルは背伸びしたあと窓を見る。

 本日も雨が降っていた。どうやら数日続くようだ。

 あとで天気予報を見ておいた方がいいかもしれない。


 本日の行動指標は、確か龍華が田辺さん対策のためにフロシュエルの思考を変えられるかもしれない存在を紹介してくれるということだった。

 あまり期待はできないそうだが師匠がわざわざ案内してくれるのだ。流石にブッチするわけにはいかない。


 予定もないので今日一日は龍華に付きそう形になるだろう。

 部屋からでて洗面所へ。顔を洗い歯を磨き、食卓へと顔を出す。

 本日家に居たのはブエルだけだった。


「おはようございます。はて、ハニエル様は?」


「食っちゃ寝だ。いつもの場所でテレビを見ながらパンでも齧っているのであろう」


 そんな大天使は嫌だなぁ。自分の大天使観がどんどん崩れていくのを感じながらフロシュエルは苦笑いを浮かべる。


「今日も行くのだろう?」


「はい。といっても龍華さんに昨日言われていた人物の元へ行くことになるのですが」


「らしいな。面白そうだから我も行くぞ」


「え? 来るんですか?」


「暇だからな」


 あんた魔王だろ? 喉元まで出かかった言葉をフロシュエルは飲み込む。


「分かりました。折角ですし御一緒してください」


 食事を終えて、ブエルと共に家を出る。

 雨の中を魔王と天使見習いが肩を並べて歩いている。

 相変わらず雨の日だと人通りが少ない。


 流石にゼロというわけではないが、ブエルが出て来てもそこまで問題はないようで、ちょっと驚きを向ける人が居る以外は、なぜかブエルに飴ちゃんを与えて来るおばさんが……って、今の井手口さんの奥さんじゃなかったですか!? フロシュエルは何気なく見送った気さくなおばさんの後姿を見て呆然とする。


 怒り顔しか見ていなかったせいか凄く新鮮だ。

 あの人も普通に主婦なのだなと思わず感心したフロシュエルだった。

 雨の中、人通りが途切れた道を二人で歩く。


 濡れそぼった犬が所在無げに歩いている。

 そんな光景を横目に通り過ぎ、フロシュエルは空を見上げた。

 明るい曇天は間もなく雨が上がりそうな気がして来なくもないが、ブエル曰く今日一日は雨らしい。


 公園に向かうとやっぱり龍華がずっと待っていた。

 濡れ鼠になっているのが申し訳ないと思いながら合流し、ブエルが魔法で雨を遮断、フロシュエルが熱風で服を乾かしてみる。


「スマンなわざわざ」


「構いません」


「それで、何処に行くのだ放浪の不死者よ」


「うむ。とある秘密結社のドクターに会う」


「へ? 秘密結社?」


 フロシュエルは想定外の言葉に首をひねる。

 小影の持っていたマンガにも似たような存在は出て来た。

 どっかの組織で地球に悪影響を及ぼそうとした会社が秘密裏に建てられ、そこにいる悪人たちがさまざまな悪事を働き正義の味方に撃退されるマンガだ。


「秘密結社って、現実にあるんですか?」


「うむ。アルマース、アンデスローズガーデン、インセクトワールド、シクタなどなど日本だけでもかなりの秘密結社がいるぞ? まぁ、今回向かうのはそのどれでもない。秘密結社とは名ばかりのただの改造好きの個人経営のドクターだ」


 なんだその秘密結社。

 フロシュエルは明らかに胡散臭いドクター像に思わず息を吐く。


「まぁ、ここで議論していても意味はない。実際に行くとしよう」


「それがよかろう。しかし、そのような存在とよく知りあえたな」


「そこから生まれた正義の味方と共闘する事があってな。結社潰しで意気投合し教えて貰った。かなりおかしなドクターだったがそれなりにフロシュエルの思考改革には使えるだろう」


 おかしなドクターと聞かされれば、どう見ても狂人としか思えないのだが、そんな存在から学べることがあるのだろうか? フロシュエルは疑問に思いつつも龍華達に付いて行く。

 入り組んだ街中を歩き、龍華は目的地へと一直線に向かって行く。仮にも秘密結社に向かうのに尾行を撒いたりといった事はしないようだ。


 そして一軒のボロ屋敷へと辿り着いた。

 そこはフロシュエルには見覚えのある家だ。

 小影に連れて行かれ幽霊退治を行ったあの幽霊屋敷である。


「な、なぜここが……」


「人気のない家を買い取ったらしくてな。心霊現象が起こって困るとは昨日連絡した時に言っていたぞ。ただ、数日前からパタリと止まったとも言っていたが」


 人は見なかったはずだけど……フロシュエルは首をひねりながら門をくぐる。

 玄関、ではなく庭へと向かう龍華は、少し大きな岩を蹴り飛ばす。

 そこに隠されていた隠し通路が現れた。


「放浪の不死者よ、これは動くように設置されているモノではないか? 壊して良かったのか?」


「別にここがバレたところで奴は毛ほども驚きはせんよ。そもそも最大の正義の味方は既に居場所を特定して時折やって来てはぶちのめして帰って行くからな」


「どう言う意味なのか全く理解できません」


「この世界ではな、無数の秘密結社が恐れる者がいる。正義の味方仮面ダンサーという存在だ。その仮面ダンサーを生み出したドクターが、ここにいる。つまり、秘密結社のマッドサイエンティストでありながら、生み出す怪人は正義の味方なのだ」


 え? なんですかそのドクター。

 さらに意味が分からなくなったフロシュエルはただただ戸惑うしかできなかった。

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