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天使見習いフロシュエル物語  作者: 龍華ぷろじぇくと
四日目・ノーマルルートA
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十四日目3

「そら、逃げまどえ天使見習いッ」


 堕天使ワルが放つのは紫に光る30もの光の矢。

 その全てに追尾機能が付いており、空へと逃げるフロシュエルを追って来る。

 旋回しながら避けたり、反射結界ではじいたりするが、光の矢は跳ね返した先からフロシュエルへと戻ってくる。


「ホール魔法を使えば魔法の性質を歪ませて喰らわせられるのに……」


 残念ながらフロシュエルの編み出した奥の手は今回禁止させられてしまっている。

 なので今は防御一辺倒。ワルが空中で高みの見物をしてくれているからまだ避け切れているが、彼が動き出し、弾幕がこれ以上増えたりすれば、フロシュエルは瞬く間に敗北してしまうだろう。


 今はワルも様子見で、フロシュエルがどう攻略して来るかを見ている段階であると言える。

 おそらく、このホーミング弾を攻略すれば、彼も本格的にフロシュエルと対戦するのだろう。

 反射結界を展開しながら考える。今の反射結界は小回りが聞くように小型盾で作り出しているが、形状の変化は可能だ。


 要は相手の攻撃を跳ね返し、相手に攻撃出来ればいいわけだ。

 となると、今一番やりやすいのは球形にシールドを展開して突撃できればいいのだが、残念ながらフロシュエルの魔法では一定以上の大きさの反射盾は空間固定型シールドになってしまう。

 それでも、ととりあえず球形のシールドを作りだす。

 反射結界なのでワルの放った光はシールドに跳ね返されてはUターンして再びフロシュエルへと向かって行く。

 御蔭で反射音が連続してうざったい。


「どうする天使見習い。そのままじゃ埒があかんぞ?」


 ここからできる方法は? 今のところまだない。

 結界を解いた瞬間ワルの居る場所まで向って一撃を与える。ソレが今のフロシュエルに行える最善手だ。

 ソレを行うには魔力を溜めこみ、シールドを解くと同時に全力で身体強化に割り振る。

 地面を蹴り、飛び上がり、ワルに拳を突き入れる。


 できるだろうか?

 不安はあるし、成功する可能性は低いだろう。

 それでも、今なら試す事が可能だ。やれることをやりたい事をやってみる。

 今しか出来ないお試し期間。ならば、全力を出し切る。


「行きますよワルさん!」


「ん? クク、奥の手使わずどう来るか、見せてみろ天使見習い!」


 魔力の循環にさらに魔力を大量に流して行く。

 制御が難しいが、ぎりぎり制御出来そうなところまで遠慮なく流す。

 制御失敗で少し漏れ出たが、なんとか致命的な失敗には成らなかった。


 魔力を足元に集中させて脚力を思い切り強化。さらに羽にも同程度の力を込めておく。

 全ての光の矢が跳ね返った瞬間を見計らい、シールドを解いて一瞬。

 魔力を爆発させるように跳ぶ。


「なっ!?」


 それはさながらロケットの発射であった。

 一瞬にして空高く飛んだフロシュエルに驚くワル。

 遅れてフロシュエルを追ってくる光の矢。


 ばさりと羽ばたいた羽でフロシュエルの軌道が変わる。

 慌てて回避に移るワルを飛び越え、彼の頭を手で掴む。

 彼を支柱に背中へと回ると、光の矢がフロシュエル向って迫り来た。


「はは、俺に追尾魔法を返すつもりか?」


「そういうことです!」


「残念だったな。跳ね返すくらい俺にだって可能だぞ?」


「では、これならどうですか!」


 迫り来た光の矢ごと、ワルを反射結界に閉じ込める。

 さらに、ホーリーアロースプレッドもお見舞いだ。

 球形の結界内で、無数の光がワルの周りを反射し始める。

 フロシュエルが外で動けばワルの放った矢は内部で不規則に動きながらフロシュエルを追ってワルの予想外の動きを始める。

 結界を内部に作ってダメージを受けないようにしているワルだが、旗色は悪そうだ。


「ふむ。フローシュの発想力に負けたかな?」


「慢心していたのでしょうな。あの離れた地上から自分に近づく術はないと。堕天使に良くある失策です。格下の天使に負ける堕天使の良い例ですな」


「確かに。堕天使はプライド高いの多いからねぇ。ブエル、君ならどう闘う?」


「フロシュエルを相手にですか? 愚問でしょう。流石にまだ魔王を相手取る実力にはありません」


「ふむ。だがフローシュなら充分闘えそうな気がするけどなぁ。発想力次第で魔王に勝てないかな?」


「ふむ。考え足らずの魔王なら数人倒せるやもしれませんな。当ててみますか?」


「いやー。魔王って結構僕の言うこと聞かない奴いるしなぁ。ほら、彼ら創ったの僕じゃなくてラストじゃん。僕はあいつを追いやって魔界に君臨したわけだし。魔王共は僕の命令なんてむしろ破りたいって思ってるじゃん。下手に天使見習い殺すなって言ったら、喜んで殺しちゃうだろ」


「それは確かに……カイム辺りならそれなりに話は分かりそうではあるのですが……」


「いや、第一天使共が黙っていないだろ」


「それもそうですな」


 ロストとブエルが話し合う中、ワルだけが必死に回避方法を模索しているのだった。

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