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天使見習いフロシュエル物語  作者: 龍華ぷろじぇくと
四日目・ノーマルルートA
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十二日目1

 朝が来た。

 ベッドから上半身を起こしてうーんと背伸びをする。

 快晴の青空から降り注ぐ太陽の光と小鳥たちの囀りが気持ち良い朝を演出している。

 のだが……フロシュエルの心はどんよりとした曇り空である。


 というのも、昨日知ってしまった天使と悪魔の密約のせいであった。

 天使というのは悪魔を滅ぼす存在。そう、思っていたし、それが当り前だと思っていた。

 だが、大天使長が魔王たちと交渉し、相互不可侵を密約しているのだという。


 そもそもな話、下っ端にその連絡が行っていないうえに見敵必殺とばかりに闘うように仕向けられているのだ。

 いくらその消しかける天使長たちも知らないとはいえ、これでは真実を知ってしまったモノがショックで堕天しかねないんじゃないだろうか?


 選択肢E:

   → 納得せざるをえないのでしょうね。世知辛い世の中です。

     やっぱり私には無理です。天使すらも許せません。


 結局、フロシュエルがあれこれ考えたところで天使のシステムは既に確立されており、談合が行われているのは事実なのだ。

 ならばソレを受け入れるのも天使であり続けるための試練の一つなのではないだろうか?

 おそらく大天使になる条件の一つとして幅広い柔軟な思考が求められるのだろう。


 ただただ愚直に天使は善だと信じ込む天使に大天使は務まらない。そう言う事なのだろうと思う。

 そう納得しないとあれこれ考え過ぎて思考の波に押しつぶされてしまいかねない。

 元来フロシュエルは考える事が得意ではないのだ。

 これはそういうもの、と素直に受け取るのが一番なのだと思う。


「そうですね。納得はしづらいですが、ハニエル様もガブリエル様も行っているというのならそれは堕天に繋がることではないのでしょう。そもそも天使とは天の使いでありますし、天の利することであるならば悪魔と交渉したり手を組んだりもやむなしな状況がきっとあるはずです。それに私はブエルさんやピクシニーさんに魔法ならっちゃってますからとやかく言えませんよね。よーし、修行頑張ろう。融合魔法もガンガン実践登用ですよ!」


 意気揚々と準備を整え朝食を取ったフロシュエルは公園へと向かう。

 いつものように龍華と完全の待つ公園へとやってきてしばらく。

 いつまで経っても姿を見せない二人にあれ? っと不安が押し寄せる。


「あっ」


 そして思い出す。今日から塔の方に集合と言われていた事実。

 慌てて走り出したフロシュエルの頭から、小難しい考えは全て零れ落ちていた。

 息を弾ませ塔のある場所へと辿りつく。


 ずっと待っていたのだろう、完全と龍華、ついでにピクシニーが塔の入り口で待ちぼうけを喰らっていた。

 青い顔になりながらもフロシュエルは必死に駆けつける。

 珍しくいろいろ考えたせいで重要な集合場所を間違えるという大ポカを行ってしまったのだ。フロシュエルでなくとも青褪めるというものである。


「おっそぉいっ」


「どうしたフローシュ。何かあったのか?」


「い、いえ、そのすみません完全先生、集合場所を間違えました」


「ほら見ろ完全。私が言った通り公園に来ていただろう」


「うむぅ。あり得ないと思っていたのだが、ふむ。方向音痴は方向音痴を知る……か。いい勉強になったわ」


「そんな勉強しないでください!」


 フローシュは泣きベソ掻きながらヒールで体力を回復させる。

 息を整え顔を上げると、目の前に立ち聳える塔。

 大きさからして六階建てだろうか?


「今日からはここの攻略をしてもらう。まずは一階層に入ろう」


 龍華に促されてフロシュエルは塔へと入る。

 扉を開くと、照明に照らされた鈍い白色の大広間が待っていた。

 階段が一つ奥の方に存在しているのが見える。


「ここは地天使の塔。とある天使が地上に降りてきた際任務を行いきれずに仕方無く作ったとされる住まいだ」


 天使の作った塔?


「ふふん。わたしもせいさくにたちあったのだよ。ごほんにんにもりょうしょうもらったよ。さいじょうかいでまってるってさ」


 胸を張るピクシニー。どうやらピクシニー側の知り合いのようだ。

 ガーディアンとして精霊が各階層に存在しており、彼らを打ち破って地天使に会うのが今回の目標らしい。

 これは小影が提案して来た借金取りの最後の一人、あの洋館と似ていた。

 あそこ程にトラップはないが目標地点に到達するのは一緒である。

 今の自分の実力を確かめるのにはちょうどいいようだ。


「午前は今まで通りこの塔内で私や龍華と闘ってもらう。室内なので可動範囲が制限させることに気を付けると良いわ」


「了解しました」


「あまり派手な魔法は撃つなよフローシュ。塔が崩壊すれば私以外死ぬぞ」


「りょ、了解しました」


 その辺りも考えながら闘わないといけないのか。とフロシュエルはゲンナリとする。

 しかし、何かを注意しながら闘うという事態が今後ないというわけではない。むしろここで体験できるのだから恩の字だろう。

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