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天使見習いフロシュエル物語  作者: 龍華ぷろじぇくと
四日目・ノーマルルートA
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二十三日目8

 タキシムが走る。

 迎え撃つフロシュエル。

 万全の構えで対峙する。


 一足飛びに距離を詰め、渾身の蹴りが放たれる。

 しっかりと見定めたフロシュエルは半歩横にずれて飛んで来た蹴りを片手で軽く押す。

 それだけで攻撃の支点をずらされ体勢が崩れるタキシム。


 フロシュエルの反撃。

 一歩を踏みこみ掌底を叩き込む。

 しかしタキシムは崩れた態勢をそのままさらに崩して倒れ込み、その場でブレイクダンス。

 足が当りそうになったフロシュエルが後ろに仰け反った瞬間立ち上がり、至近距離からの体重を乗せた拳が襲いかかる。


「くぅっ」


 咄嗟に両手を使いガード。

 胸元中央に向かっていた拳の一撃を両腕を折られながらガード、吹き飛ばされる。

 放物線を描きながら回復魔法で両腕を回復。

 即座に身体を縮めて回転し、相手が見える状態で着地。即座に反撃に移る。


「ホーリーアロー!」


 既に迫っていたタキシムに牽制のホーリーアロー。

 右手ではじいたタキシムが蹴りあげる。

 すっと左に動いたフロシュエルは一歩踏み込みエルボーを叩き込む。

 ぎゅるりとターンして蹴り足を間横に動かし水平蹴りへと変化させるタキシム。


「ここです!」


 その足を掴み取り、勢いそのまま巻き込むようにタキシムを投げ飛ばす。

 地面に激突したタキシムに、トドメのエルボードロップ。

 タキシムから始めて悲鳴らしき音が漏れた。


「はぁ……はぁ……」


 息も絶え絶えタキシムから距離を取るフロシュエル。

 投げられまくった経験から投げるタイミングを覚えたからこそ今の一撃に繋げられたが、かなり危ない橋を渡ったのは確かだ。

 タキシムの攻撃は一つ一つが物凄い強い、一撃受けただけでもフロシュエルの身体はどこかしら壊される。


 手加減など出来なかった。

 まさに全力だ。一応奥の手を使うことは無かったが、何度深淵魔法を使おうと思った事か。

 息を整え、勝利宣言をしよう、そう思った次の瞬間だった。


 ゆらり、タキシムが起き上がる。

 突き上げ掛けた拳をゆっくりと下げ、ごくりと生唾を飲み込むフロシュエル。

 今のはろっ骨を破壊した感触があった筈だ。


「ええ……まだやりますか?」


 瞬歩。

 立ち上がると同時に一足飛びに迫るタキシム。

 フロシュエルはその拳を受け流し、巻き込むように投げ飛ばす。

 投げ技の練習を始めたのはタキシムの動きが先程までと打って変わって遅くなっていたからだ。


 やはり身体が壊れている以上実力が激減しているようだ。

 簡単に投げ飛ばされたタキシム。

 これ以上起き上がらないようにとホーリーアローを叩きこんでおく。


「さすがにこれだけやれば……」


 ゆらり、タキシムはまだ死なない。

 起き上がったタキシムは今の攻撃で足が折れたようで動きがぎこちなくなっていたが、それでもフロシュエルへと攻撃を始める。


「ほ、本当にしつこい……」


 回し蹴りでタキシムを蹴り飛ばす。

 地面を滑空しつつも立ち上がるタキシムに、生半可な攻撃ではまだ死なないと確信したフロシュエルは覚悟を決める。


「行きますッ」


 光拳塗装ライトニクスナックで拳を強化し、成仏装甲ニルヴァーナフレームで防御力を高める。

 相手は既に死に体だ。放っておいても死ぬかもしれない。

 けれど窮鼠猫を噛む。追い込まれたタキシム程怖いものはなさそうだ。


七色拡拳プリズマスペクトラムナッコー!」


 顔面に叩き込む。

 骨が砕け頭蓋骨が粉砕される。

 それでもタキシムは倒れない。


「ホーリー・アローEXエクスペリエンス


 全力の一撃を叩き込む。

 コレで終われ! と思いを込めた一撃がタキシムを粉砕する。

 下半身が消し飛ぶ。

 これで、と思ったフロシュエルだったが、その視線の先で、上半身だけになったタキシムが迫り寄る。


「ほ、ホーリーアローガトリングッ!!」


 いうならば、連続射出のホーリーアロー。

 タキシムの身体が踊りだす。

 右を打たれたと思った次の瞬間左が打たれ、それを繰り返し空中に浮き上がる程に連撃を受けるタキシム。

 骨は砕け、肉は消し飛び、それでも彼は倒れない。

 残った片腕を使ってずるりずるりとフロシュエルに迫り寄る。


「ひぃぃっ!?」


 あまりの恐怖に、フロシュエルは本気でタキシムを消し飛ばしにかかる。


「え、天使之制裁エンジェルパニッシュッ!!」


 緑の光を纏わせた深淵の一撃がタキシムを押し潰す。

 あまりにも強力な一撃は、欠片すら残さずタキシムの全てをこの世から消し去ったのだった。


「はぁ……はぁ……やばかった。タキシムさんヤバ過ぎです」


「うん、まぁアレは酷い」


 見学していた小影も自分なら勝てるかとシュミレーションをして、結局逃げてる自分が居ることに気付いて結論付ける。

 タキシム出てきたらフロシュエルに任せて逃げよう、と。

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