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天使見習いフロシュエル物語  作者: 龍華ぷろじぇくと
四日目・ノーマルルートA
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二十一日目4

「ふぅむ、あんまし美味しくないような?」


「ディグが豊富過ぎるのだろうな。人間はディグを放出する術を持っていないしな」


「ディグか……ふむ。私も放出法教えて貰ってもいいか?」


 食事タイム。出前としてやってきたニスロクが持って来たサンドイッチを皆で食べながらこれからの修行に付いて話し合っていたのだが、なぜか完全の新たな能力開発相談になっていた。

 人間である完全は小影と同じくディグが減って無いので美味しいと思えなかったようだ。

 おそらく魔力飽和を起こしているのだろう。そこまで飽和していないので気絶するほどではないが、満腹中に食べる食事のように、おいしいとは感じないようである。


「ふむ。別に構わんぞ。だが、具合が悪そうだが?」


「ディグとやらの過剰摂取よ。魔力を使えるようになれば何とかなるわ」


「なるほど。では天使見習いともども教えてやろう」


 と、いいつつブエルはワクワクしているように見える。

 あの強力な完全が自分を頼って来ているということが嬉しいらしい。


「さて、魔法訓練なのだが、今日は近接戦闘に付いて考えて見ようか」


「近接戦闘、ですか?」


「うむ。完全と闘っていて思ったのだがな、折角魔法が使えるのに、それを近接戦闘に使っておらんかっただろう。宝の持ち腐れだぞ」


「あ、それはわたしもおもった」


「だろうピクシニー。ふふ、相思相愛よな」


「んん?」


 意味がわからなかったようでピクシニーが小首を傾げる。

 どうやらブエルの求愛は伝わらなかったようである。


「ふむ。そう言えば私の知り合いに拳に闇魔法を纏って闘う者がいたのだが……」


「拳に魔法を纏うんですか……うーん、拳に?」


 自分の細腕を見てむーっと唸るフロシュエル。


「はっ! 来ました。今びびっと頭に閃きました。普通に纏ったら炎とか大ダメージ負っちゃいますけど、これならいけます!」


 まずはアレから。とばかりに魔力を溜める。

 その間にブエルとピクシニーは完全に魔法の使い方を教えるそうで、フロシュエルを見ることなく放置していた。

 だから、その光景を見ることはできなかったのだ。


「腕の周辺にブラックホールを纏わせてぇ、薄皮一枚でホワイトホール。そして魔力垂れ流し」


 ぶわり、一瞬で広がった危機感に、ブエルとピクシニー、完全すらも慌ててフロシュエルを見る。

 禍々しい緑の炎を両拳に纏わせた天使がそこにいた。


「これでいいのかな? じゃあ折角ですし生き残りの魔物でも退治してくかな」


「……はっ!? ちょ、まっ」


 ピクシニーが最初に我に返り、慌てて止めようとしたが、フロシュエルはそれに気付かず森へと入って行った。


「あわわ、どうしよう!?」


「必殺を試して来るだけだろう? 何か問題が?」


「あれは、深淵装甲アビス・フレームの応用か! よりによってなぜ光魔法とかではなくそれで試した駄目天使見習いめ!」


「いそごう、あいてのまものがかわいそうだから!」


 フロシュエルを追ってブエル達が慌てて森へと入る。

 しかし、遅かった。


「グゲエエェェェェェェ」


「わひゃああああああああああああああ!?」


 フロシュエルの声に慌てて彼女の元へと駆け付けた時には、緑の炎の一撃を喰らったゴブリンが黒く染まって消失していく姿だった。

 あまりにも呆気ない消失と哀れ過ぎる終わり方に、攻撃したフロシュエルの方が悲鳴をあげた位である。


「ふろーしゅ、だいじょうぶ!?」


「ど、どうしましょう、ゴブリンが、なんか凄い悲鳴あげて凄い死に方を……」


 尻持ち付いていたフロシュエルは慌てて四つん這いで完全の足元に縋りつく。

 流石にここまで酷い死にざまになるとは分かって無かったようだ。


「うーん。たしかにひどい」


「塵一つ残さず完全消滅か。恐ろしい技を開発したようだな……」


「ふむ。確か、深淵装甲を拳に纏ったのだったな。では深淵拳か?」


「えー、なんかじみ」


「というか皆さん、なんでそんな冷静なんですか!?」


「冷静というか、お前ならやりかねん能力だからな。そうだな。天使之制裁エンジェルパニッシュとかどうだ?」


「おー。じゃあそれで、けってい」


「マジっすか!?」


「ふむ。正直スキル名考えるの面倒だし、魔王から命名されたのだからそれでいいんじゃないか? むしろ天使之制裁と書いてフローシュパニッシュでもいいと思うが」


「うむ。フロシュエルパニッシュはありだな」


 自分の名前をスキルに入れられそうになったフロシュエルは慌ててエンジェルパニッシュ、エンジェルパニッシュ素敵ですね。私それが良いですっ。と全力で告げるのだった。

 結局、他にいいスキル名が浮かばなかったこともあり、このスキルの名前が確定してしまったのだった。

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