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天使見習いフロシュエル物語  作者: 龍華ぷろじぇくと
四日目・ノーマルルートA
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十九日目1

「ん? どうした?」


 朝起きて、ダイニングルームに向かったフロシュエルは、ダイニングテーブルで食事を取るハニエル、小影、ブエル、龍華、ついでにもう一人を見て呆然としていた。

 最近の食事風景に龍華が加わっている。天使と悪魔と人間と人外的実力者が夢の共演であった。

 正直この食卓に自分も参戦するというのは恐れ多いと言うべきか、否、その辺りは気にしないフロシュエルだが、あまりの違和感に動けないでいた。


「あの、何でいるんですか……茉莉さん」


 城内茉莉がフロシュエルの席に座っていたりするのだから驚きである。

 赤いランドセルを背負った小学生がハニエルとハムエッグは私のモノだ。とか言いながらバトっている。意味が分からない。


「ん? おお、起きたかフローシュ」


 気付いた茉莉がフロシュエルを振り向いた瞬間、ハニエルがハムエッグを頬張った。

 茉莉がそれに気付いた時には既に遅く、半分以上食べ終えたハニエルが茉莉の持っていた箸ごとハムエッグを食べた後である。

 大天使大人げない。


「あー、酷いハニちゃんっ。私のハムエッグ! 「少し黙ってろ茉莉。今我が喋っているだろう!」」


 どうやらフロシュエルに反応したのはレウの方らしい。そのせいでハムエッグを食べ損ねた茉莉がむーっと膨れる。やったった顔を見せるハニエル。

 ほんと大天使大人げない。


「これはまた、随分と複雑な食卓ですねぇ……」


「ふむ。大天使が居るのは知っていたが、魔王と普通に食事している姿は驚きだな」


「隣り合ってるしねー」


「いやいや、私は放浪の不死者と子孫の小影ちゃんが一緒に食事してる方が珍しいのよ」


「なんだ、やはり聖繋がりだったのかハニエルよ」


「ふん。すでに何世代も重ねた以上子孫かどうかすら不明だろう。大体私とトト様の子は伊与だけだ。彼女は子を成すことなく消えただろ」


「時空なんとかが連れ去ったとメルカバーから報告は得てるけど、なんかその子孫はいるらしーわよ」


「むぅ? それは初耳だな。小影と私にそんな繋がりが?」


「いや、知らんし。自分の家系図とかキョーミなし。お金があれば家系図など変えられるし」


「お前はお前で適当だな」


 フロシュエルが食卓に付くと、皆が難しそうな話をしていた。

 彼女には関係の無い話だったので、空いてる席に付く。丁度いつもは小影の母が座っている場所だ。食事してないので今は空いている。

 半ば空気と化した小影の母はフロシュエルの前に食事を出すと、キッチンへと向かうのだった。

 流石にこの食卓に入り込む気はないらしい。


「そんなことはどうでもいいっ。フローシュよ。話を聞けっ」


「え? あ、はい。なんでしょう?」


 茉莉が話に割り込み強引にフロシュエルに話を向ける。


「うむ。我と茉莉はこれから長期で遠征してくるつもりだ。よって昨日手伝ってやるとは言ったが出来なくなった」


「あ、あー、そう言えば。わざわざそれを伝えに来て下さったのですか。ありがとうございます」


「うむ。それでだな。折角なので我がお前を手伝うことにしたのだ。コクロという名で既にドクターの居場所に待機しておいた。茉莉と我は手伝いは無理だが我が手伝ってやる。そのことを伝えに来たのだ」


 意味が分かりません。

 少々混乱しながらフロシュエルは周囲に助けを求める。

 しかしハニエルもブエルも聖家の話に夢中でこちらの話は聞いていないらしい。


「えーっと、レウさんと茉莉さんはどこかに遠征? で、コクロと言う名前のレウさんがドクター城内さんと強かさの勉強をするために待っている、ということですか? んん??」


 レウが二人も居ることになってしまうのだが、こういうことでいいのだろうか?

 話を整理したフロシュエルは再び小首を傾げる。


「まぁ、そういう訳でだな。茉莉と共にいる我自身ではないが我が相手をすることになる。決して有言実行しない訳ではないからな。アレも我だと告げておく」


「えっと、意味が……」


「気にするなフローシュ。そやつが言っていることは理解する必要はない。向こうに向かえばおのずと答えは出る」


「はぁ……」


 納得行っていないフロシュエルに龍華がフォローを入れる。

 本日は龍華とブエルが同行してくれるようで、強かさ訓練の後、龍華との訓練があるようだ。

 何処でするかは強かさ訓練が終わった時間で決めると言うことらしい。


 食事を終え、小影がまず学校へ。

 ダイニングで皆が食事を終えたテーブルでようやく食事に取り掛かる小影の母を残し、ハニエルが居間でテレビを見に向かい、フロシュエルたちは外へと出る。


「んじゃー、縁があったらまたねーフローシュちゃん」


 元気に手を振る茉莉が一人、別方向に向かうのを送りだし、フロシュエルたちもまた、昨日向った秘密基地へと向かうのだった。

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