プロローグ
モチベーションをさらに高めるために書きました!
石で作られた街の明かりは徐々に消えていき、静寂が訪れ、暗くなってしまった街を照らそうと月は空高くまで上がり、青白い光を放つ。
そんな街の中を今、僕は歩いている。
ここは全て石で作られた街、スターウェン。
建物などの明かりに、光る石を使っていると聞いて、どんな石なのだろうと気になり、この街に訪れてみた。
……が。気になっていた明かりをそっちのけで、買い物や石の作品に夢中になってしまい、気づけば夜になっていて、光る石を見ることは出来なかった。
一夜を過ごすために、僕はチェックしていた宿屋に向かったが、夕方にはもう全て部屋は埋まってしまったらしい。
そういうわけで寝る所を無くした僕は、あるかも分からない宿屋を真夜中に探し歩いているというわけだ。
何故だろう? 真夜中だというのに全然寒くないな、床も石のはずなのに温かい。
「う、うああああああ!」
突然、静寂を切り裂く大声が街に響き渡った。
声のした方に行ってみると、そこは広場だった。
魔女が被るような大きいとんがり帽子と服を身に着けている老人が広場の真ん中で一枚の紙を前にして腰を抜かしている。
「どうしたんですか?」
ハッと男の人がこちらに顔を向ける。
「いつのまに?! いいや、そんなことより、現れたんじゃ! あいつが! そして、これを儂に!」
そう言って老人は一枚の紙を指差す。
「あいつ?」
紙を手にしてみると、それは封がされた手紙だった。差出人は……怪盗アルケミ?
封を開け、見てみると、意味不明な文章が書かれていた。
明後日の夜7時ごろ、怪盗アルケミは欲しい物があるため、参上させていただきます。
欲しいものはこれです。
Sの右 Bの左 Jの西 Zの左 Nの東 Vの左 Rの東 Dの右 Jの右 Jの左
ではよろしくお願いします。
怪盗アルケミ
……どういうことだ? このアルファベットはなんだ? 右、左、東、西は何を表している?
何を盗もうとしているんだ?
文章の表していることを考えていると、男は立ち上がり訪ねてきた。
「お、おい、お前さん。そういえばこんな真夜中に何故、外を出歩いているのじゃ? しかも怪盗と同じように、いつのまに、わしの目の前に現れて、一体、何者じゃ?」
「僕ですか?」
「うむ」
僕がこの街に訪れた理由がもう一つある、それは――。
「僕は通りすがりの、寝る所を無くした謎解き師です。」
たくさんの謎と不思議が、この街に眠っているからだ。
書きたいときに、書く! ということで、ふと思いついた物語を書いてみました。趣味で書いているので決まった更新日などなく不定期となってしまいますが、楽しみにしていただければと思います!