第五話 永琳と月夜見。
えーりんえーりん!以上!
12/21 更新
「ほへ~、ここがえーりんの家かぁ」
現在、永琳が門番に説明し、天輝美も都市の中に入れてもらった。そして、永琳の自宅の玄関前。
とても大きい。
てか、デカ過ぎ。
「そうよ?」
「大きいね。どの階?」
目の前に聳え建つ建物を見上げながら白龍が言う。
高すぎる。三十階はあるんじゃないか、と思うほどだ。
「どの階って?」
「いや、どの階に君の部屋があるんだ?」
「部屋?この建物全てが私の部屋。全て私の家よ」
「へぇ~すごいねぇ。これ全部が君の・・・はぁっ!?全部!?」
驚いた、と影舞たちは言う。白龍は人間でもこんなことができるのか、と云うことでだ。
「さぁ入って。案内するので」
「あ、皆待ってよ」
と、もうすでに建物の中入っていた永琳たち。天輝美はずっと見上げており気づいていなかったので、一人置いていかれている。
建物の中に入ると、まずは玄関部分。横15mほど、縦10mの長方形になっている。
広過ぎ。
永琳は靴を履いているため靴箱に入れるが、天輝美たちは裸足なので、何処からは知らないが永琳が持ってきた濡らした布で足を拭いた。
「じゃあ案内するわ」
「うん、頼むよ」
「すぐ分かるところは口で言うわね」
と、順に説明していく。
「まず、ここは地下三階から上へ二十階。計二十三階。地下は全て食糧と薬の倉庫。二階から五階が研究室で、六階が客室。七階から十階は調理場と風呂場。十一階から十五階はあまり使ってないわ。それより上の階が私が研究以外で過ごすところよ?ちなみに、お手伝いさんと私を入れて8人で暮らしてるわ」
「凄いね、怖いね」
「怖い?」
お手伝いさん数人と一人でこの建物全てを使ってるなんて凄すぎて怖い、という意味だ。
続いて、研究室のよく使う部屋と六階から最上階までの一部を見せてもらった。
部屋は横10m、縦10mと正方形になっているものがほとんどだが、幾つか、その五倍ほどの部屋があった。
最後に自分の部屋だ。横は20mほどある。縦も15mと、長方形の形。
天輝美の感想。
「何これ怖い」
案内が終わり、永琳の部屋で寛ぐ天輝美たち。
そう言えば、と口を開く天輝美。
「えーりん、なんで私たちのこと見てもあまり驚かなかったの?」
「神様ならこの都市にも一人いるわ?私の義母が」
「マジでか」
「まじよ」
天輝美の言葉に少し戸惑いながら返す永琳。それを見ながらぼーっとしている白龍。
「ワタシ、妖怪。ナのに、怖がらない。恐れ、が、ない。何故?」
と影舞。
「悪そうじゃなかったからよ。でも、恐れてはいたわ」
「そう。敵視、されてない。良かった」
永琳は少し首をかしげる。
少しすると永琳が問う。
「ねぇ、ここの都市の神様に会って見ない?」
「もちろんだ!」
「大丈夫なの?」
「何かわからんが大丈夫だ、問題ない」
その言葉を聞き、やっと動き出した白龍。
「私の家のすぐ後ろだから、これに乗ればすぐに着くわ」
と言いながら、部屋の隅にある機械をいじり、何かを出す。出てきた機械にある丸く赤いスイッチを押した。すると、ゴゴゴ…という音と共に入り口の反対側の壁が、真っ二つに分かれた。
筒のようなもので囲まれた道先に、ひとつ建物が見えた。そこに繋がっている。
『ー起動します。赤い線から前に出ないようにしながら乗ってくださいー』
機械に言われた通り、少し段差のある床にあった線より少し手前に立った。ガタンと音がすると足場が動き出し、建物の方へと進んでいく。
三十秒ほどで着いた。
永琳が降り先に進んでいくので、天輝美たちも降りて、永琳の後をついていく。
「ここにいるわ」
と永琳の指す先は高さが10m以上あるであろう扉があった。
永琳はノックをし2mほどの扉を開ける。
「失礼します」
「し、失礼します」
天輝美たちも入り、部屋の中を見渡す。が、誰いない。
と、思ったら人影があった。あの人かな、と永琳に聞こうとすると__
「__えーぃりぃーいん!!」
「きゃぁっ」
誰かが永琳に飛び付いた。
「さぁえいりん?今日こそ私に全てを授け__うきゃん!」
「えーりん大丈夫?」
「えぇ」
「誰ですか?私とえいりんの邪魔をするのは」
「月夜見様、この方たちは…」
永琳がツクヨミという神に説明をする。説明の途中、突如ツクヨミが天輝美の前に立ち、座り正座。そして土下座。
「すみませんでした!!とんだご無礼を!!」
「えっ!?」
その行動に戸惑う天輝美。
「か、顔を上げて?謝ることはされてないと思うんだけど。恥ずかしい」
「う、天輝美様。私、私はなんて失礼なことをぉ!」
「いやいやいやいや!本当にそれやめて!」
「それはできま__」
「いいから面を上げて」
「は、はいぃ!」
「えっ?ちょっ、えっ?」
「お兄ちゃん」
「なんだ妹よ・・・ごめんなさい」
一番戸惑っていたのは永琳だった。いきなり自分の義母でもあり、この都市の神が目の前で土下座をしているのだから。しかも、先ほどまで一緒にいた神に。さらに、白龍は天輝美に土下座。
「・・・アマキミってそんなに偉いの?」
「当たり前よ。最高神である龍神様よ?」
「さ、最高神!?」
どうやら永琳は龍神だということを信じていなかったようで、それは本当だったのと驚く。
「そう、でも六億年も行方がわからなくなっていたのだけれど…」
「結界や能力で見えなくなってたからな」
「白龍様!?失礼ですが、十億年ほど前に亡くなったと伝えられているのですが」
「あぁ、生き返った」
「そうなんですか・・・そうなんですか!!?」
今回は驚くシーンが多いなぁ、と思った天輝美だった。
数十分経ち、やっと話が終わった。途中、可愛いは正義だ、などと声を合わせて叫んでいたが気にしない。
話を聞いて分かったが、永琳は今十七歳だそうだ。月夜見は百歳と、神の中ではまだ若い。子供だ。
「それじゃあ、今日からよろしくね?」
と天輝美。
「ええ、よろしくお願いしますわ」
と月夜見がお辞儀をする。
こうして月夜見と知り合いとなり、永琳の家にある部屋を借り、この都市に住むことにした。
__それから十年。
永琳は二十七歳になり、とても美人で天才科学者という完璧な人間のようになっていた。
天輝美たちはすぐに有名になり、従われるようになっていた。誰も雇ってはいないが。
ある日、永琳が天輝美を呼び出し、この都市の中心にある城に連れて行った。
「何するの?」
と聞いてみる。
「姫に会ってもらうのよ」
「姫ねぇ」
城の中に入り進んで行くと、ひとつ大きな部屋があった。月夜見のときと同じような感じだ。
部屋に入ると五歳くらいの黒髪の幼女がいた。
「輝夜姫の世話係を手伝ってほしいの」