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<杏子、反省する>

ダーズリー卿に逃げられた杏子は、事務所に戻ると嘉助に一部始終を報告した。

嘉助は黙って聞いていたが、杏子は連絡もせず勝手に戦いを挑み、結果として取り逃がしたことにひどく落ち込んでいた。


「まあ、連絡をもらっていたとしても、出会い頭に遭遇してしまったのなら逃げられただろうね」

嘉助は杏子を労うように声をかけた。


「そうかもしれないけど……。あたしの結界があんなに簡単に破られてしまうとはね。情けないったらありゃしないよ」

「もともと杏子は結界とかの技巧系はあまり得意じゃないからね。今回は仕方がなかったよ」


「……」

杏子は項垂うなだれたまま、言葉も出なかった。


「それより、杏子。君は誰かに『誘導』されたみたいだね」

嘉助の言葉に、杏子が顔を上げた。


「そ、そうなんだ。変な光の球……多分、霊気で作られたものだと思うんだけど、それが突然目の前に現れたんだ。不審に思って追っていったら、ダーズリー卿と鉢合わせしたんだよ」

「うん。明らかに誘導されているね」


「誰がそんなことを!」

「分からないね。杏子だと知っていて、わざわざ誘導したのだとしたら……少なくとも敵ではないのかもしれないけどね」

嘉助はじっと目を閉じ、考えを巡らせているようだった。


「そうだな。確かに、あの光からは敵意は感じなかったからな」

「光の球が出る前に、何か気になることはなかったかい?」


「うーん……正直、まだ天界が動こうとしないことに苛立っていたからな。あの時も少し前に急に腹が立ってきて、無意識に強い霊気を放出してしまっていたよ」

「強い霊気?」


「ああ。気がついたら周囲の人たちが驚いたような声を上げたり、辺りを見回したりしていたから。普通の人間でも感じるくらいの霊気を、一気に出していたんだろうな」

「なるほど……。それで誰かが杏子の存在に気づいたのかもしれないね」


「誰かって、誰だ?」

「それは分からないけど。でも、そんなことができるのは、やはり霊界人かな」

「封印解除されたばかりの人間では、あんな芸当はできないだろう。それとも、あたしたちのまだ知らない、高レベルの能力者が存在しているのか?」


「まあ、居ないとも限らないけどね……。でも、居たとしても最近のことだと思うから、やっぱり該当する能力者は居そうにないけどね」

嘉助は頭を捻りながら、何かを思考しているようだった。


「それよりも、ダーズリー卿の行動も不思議だね。前回は渋谷に出現し、今度はサンシャインとは。まるで観光旅行でもしているようだ」

「確かにな」


「まあ、今回も一応霊界には報告を上げておくしかないね。それで何かが変わるとも思えないけど」

「ああ、すまなかった。今後は少し頭を冷やして行動するよ」


「そうだね。多分、また暫くはダーズリー卿も自重するだろうし、当面は人間界での混乱対策に集中してほしいな。ERIでの協力者教育も手伝ってほしいしね」

「分かってる。今後は素直に協力するよ」


杏子は、大いに反省したようであった。

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