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<リピウスの演出>

2つ目のドローンが、例の3人組の姿を捉えた。思った通り、渋谷で見かけたあの3人組であった。

前回の失敗を踏まえ、2つ目のドローンは霊気を限界まで絞り、距離も少し離し、さらに人混みに紛れるように配置した。


彼らは池袋駅からサンシャインビル内に入ってきたばかりのようで、そのまま1階をワールドインポートビルのエレベーターに向かって歩いていく。


一方、赤髪の女性(杏子)は現在、ショッピング街の2階、ナンジャタウンの近くにいる。

リピウスは何故か、この両者を鉢合わせさせてみたくなった。

そこで、赤髪の方に向けているドローンを彼女の目に入る位置へ移動させ、霊気をボヤーっと広げて、霊視で確認しやすいレベルにまで上げた。


すると思惑通り、赤髪は霊視で霊気の球を見つけたようで、怪訝そうな顔でドローンに近づいてきた。


(見えてるみたいだな。やっぱり霊界人だったんだ)


リピウスはドローンをそのままゆっくりと移動させ、赤髪を1階のエレベーターホールへと誘導していった。


既に両者の距離は50mを切っている。リピウスは2階に居たまま、2つのドローンを操作し続けた。

そして両者の距離が10m程度になり、赤髪から3人組が視認できる位置に来たところで、霊気の球を両者の中央へと移動させた。


次の瞬間、赤髪の様子が一変した。

リピウスの思惑通り、赤髪は3人組をその視野に捉えたのだ。

その時点で霊気を絞り、ドローンを小さくして移動させたが、赤髪は既にドローンには目もくれず、真っ直ぐに3人組を睨みつけていた。


(あの赤髪の女性は、3人組を知っているようだな)


リピウスが観察していると、3人組の方も赤髪に気づいたようだ。


(さてさて、これから何が始まるのだろう?)


リピウスには、前回のような恐怖心は既に無かった。今はただ、この両者がどう動くか、それを見守ることに集中していた。


* * *


~ 杏子 ~


杏子がブラブラと歩いていると、突然目の前に妙な光が現れた。


(なんだ?)


見つめていると、光はスーッと、まるで自分を誘っているかのようにゆっくりと動き出す。

気になったので後を追っていくと、エスカレーターで1階へと降りていった。

そのまま追うと、光はぴたりと停止した。


そこで杏子は気づいた。光の向こう側から近づいてくる、3人組の存在に。

中央にいる小柄な英国紳士風の老人は、忘れもしないダーズリー卿であった。

杏子は思わず立ち止まり、彼らを鋭く睨みつけた。


すると向こうも、杏子に気づいたようだ。3人組も立ち止まり、杏子の方を見ている。

ダーズリー卿は少し当惑したような表情に変わった。両側の男女は鋭い目つきで杏子を睨み返してくる。


杏子はゆっくりと、3人に向かって歩き出した。


* * *


~ ダーズリー卿 ~


ダーズリー卿たちは、今日は池袋を散策する予定だった。

前回、渋谷でティモラが違和感を感じたと言っており、その後、霊界に自分たちが目撃されていたことを知った。そこで暫く日本を離れていたのだが、霊界に特別な動きがないと確認できたので、再び日本に来たのである。

理由は、ダーズリー卿が妙に日本の文化に興味を持ったからだ。

昔聞いていた日本とは随分と異なり、近代的で文化度の高い国へと変貌していたことに、興味を惹かれたのだ。


渋谷に来た時、ダーズリー卿は仲間に「これはだいぶ面白い国になったようだわい」と言っていた。過去、日本では悪魔の発生は少なく、上級悪魔が誕生したことは無かった。しかし今回は確実に多発しており、上級悪魔の誕生も期待できそうだと感じたからである。


池袋の駅からサンシャインへと歩き、サンシャイン内を見学しようと考えていた。

そしてエレベーターホールに向かって歩いていると、突然、鋭い視線を感じた。

相手を確認して、ダーズリー卿は当惑した。


(ゲッ! 赤い魔女がなんで……)

ガードナーは少し身構えた。


(本当に嫌な相手と出会ったものね)

ティモラもあからさまに嫌な顔をした。


「どうしますか?」

ガードナーがダーズリー卿に話しかけた。

「ふむ。このまま帰してはくれないだろうな」

「やりますか?」

ガードナーが、少し嫌そうな顔をしながらも、戦闘狂の血が騒ぐようだ。

「駄目よ。相手が悪すぎるわ」

ティモラは反対のようだ。


そう言っている間にも、相手は近づいてきている。


「逃げるしか無いかな?」

そう言ってダーズリー卿が手を動かそうとした瞬間、周囲の景色が一転した。


「しまった! 結界か……」

ガードナーが叫んだ。


人混みの中の喧騒が一瞬で消え去り、ダーズリー卿たちは薄暗い閉鎖空間の中に閉じ込められた。

ここには彼ら3人と、「赤い魔女」こと紅杏子くれない あんずの、怒りに満ちた顔しかなかった。

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