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<謎の警告事件、発覚>

天界のシステム管理センター所長から、ヨルダに連絡が入った。急ぎ報告したいことがあるという。

今回もジンが同行し、さらに嘉助も「嫌な予感がしますね」と言って同行を申し出た。

リピウスの同行は見送られた。流石に何度も彼を連れ出すのは心配であったし、今回は嘉助もいるため自重したのである。


三人連れ立って管理センターを訪問すると、すぐに応接室へ通され、所長と副所長の二人が応対に現れた。


「老師には、再度ご足労いただき……」

「挨拶は良いから、本題を話してくれんかの?」

ヨルダに促され、副所長が面談を求めた理由を説明し始めた。


それは、以前ヨルダが訪問時に指摘した「封印解除信号の誤発信」に関してであった。

所長によれば、管理部長とメイン担当者二名は、以前からその可能性に気づいていながら、それを秘匿していたというのだ。今回の総チェック指示により、他のエンジニアが気づいて報告したことで発覚したらしい。

ただし、本当に解除信号が発信されているかは未だ確認できておらず、誤動作の原因も掴めていないという。


「うーむ……。やはり、起こっておったのじゃな?」

「は、はい。誠に申し訳ありません」

所長と副所長は、平身低頭で謝るばかりである。


「で、そのことは環境庁や議会へ報告したのですか?」

嘉助の鋭い指摘に、所長は言葉を詰まらせた。

「い、いえ……。それが、まだ解除信号が出ていると確定したわけではなく、原因も判明しておりませんので、報告もできずにいます」


所長の話では、原因不明の警告が頻繁に発生しているが、その警告が何を表しているのかすら判明していないという。ただ、過去の引き継ぎ資料にも同様の現象が記載されており、頻発する時期がほぼ「200年周期」に一致することまでは掴めているらしい。


「老師からご指摘のあった解除信号発信の可能性も否定できず、まずは再度、老師様にご報告してからと思いまして」

「確かに、時期が一致しているというだけでは、誤発信とは言い切れませんね」

嘉助が考え込むように応えた。


「でも、これで老師が指摘したシステムの誤動作が、封印解除に関与している可能性は格段に高まったと言えますよね」

ジンが補足すると、所長たちは力なく頷いた。


「この状況を、老師のご友人に見てもらってはいかがでしょう? あのお方なら、何か分かるのではないでしょうか」

ジンは前回のリピウスの切れ味を目の当たりにしているため、期待を込めて提案した。


「うむ……。残念じゃが、今すぐ彼を呼ぶのは難しいじゃろうな。まあ連絡が取れれば、この現象に関しては問い合わせてみるつもりじゃがな」

ヨルダは少し苦渋に満ちた表情で答えた。やはり、この混乱した状況にリピウスを呼ぶのは不味いと考えていた。


「ではとりあえず、システムから頻繁に謎の警告が出ているのは事実ですからね。その点だけでも環境庁へ報告し、判断を仰がれるのが良いのでは?」

ジンの助言に対し、嘉助が少し意地悪そうな表情で口を開いた。


「いや、それだけでは重大事と認識されないかもしれませんよ。封印解除問題も併せて、この際、洗いざらい出してしまった方が良いと思います。でないと、後から判明した場合、所長さんたちの立場はさらに悪化しかねませんからね」

その言葉に、所長たちの顔色はますます青ざめた。


「そうじゃな。この際、全てを報告した方が良いじゃろう。既に200年周期も始まってしまっておるしな」


「あ、あの……。その際、老師のお名前をお出ししてもよろしいでしょうか?」

「ん? それはどういう意味かの?」


嘉助は所長たちの意図を察して助言した。

「確かに老師の指摘で総検査に踏み切ったのでしょうが……。ここはあくまで『人間界の人口増に対する懸念から、自主的な判断で検査を行った』ということにし、その結果発覚した、とした方がお立場上よろしいのでは? もちろん、管理部長たちによる隠蔽も公にするべきでしょうね」


所長たちは顔を見合わせた後、深く頷いた。

「はい。もし老師様がよろしいと仰っていただけるならば、そのようにさせていただきたく……。お願いいたします」


* * *


管理センターを出ると、嘉助が深くため息をついた。

「はぁ……。私がもっと早く気づくべきでした。老師の知人が指摘してくれなければ、今でも我々は、見当違いな調査を続けていたところですよ」


「まあ、やむを得んじゃろう。わしらでは気づける内容ではないからのう」

「老師の知人は一目で見抜いたのですから、本当に大したものですよ」

改めてジンも感心したようだ。


「これで封印解除が止まってくれれば良いのですが……」


しかし、嘉助の願いも虚しく、封印解除事件はさらなる急展開を迎えることになる。

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