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<ちょちょいっとな!>

ここはカンボジア国境近くの、ラオス南部にある都市から少し離れた古いビル。

中には中国系と思われる大規模詐欺グループの拠点が作られていた。ここだけで千人規模の詐欺要員が集められ、強制労働させられている。


このビルは六階建てで、各階ともかなり大きな作りになっている。

それぞれの階は概ね同じような構造で、細かく区切られた宿泊部屋と、大量の作業机をびっしり並べた作業部屋が設置されている。作業部屋ではひっきりなしに電話をかけたり、パソコンを使ってメッセージ交換をしたりしている。


作業員とは別に、何人かは室内を歩き回りながら作業状況を監視しているようで、奥の少し大きなデスクには、見るからに態度の大きな、悪人面をした男が机の上に足を投げ出してスマホ画面を眺めていた。この男がここのリーダーなのだろう。


すると急に、室内を歩き回っていた者が妙に怠そうにしながら机に手を着き、その後ズルズルと床へ崩れ落ちていった。ほぼ同時に、作業していた者たちも手を止め、机に突っ伏して眠ってしまったようだ。奥のリーダーもスマホを落として、座ったまま眠っている。


空間が歪みだし、そこに開いたワープゲートからリピウスがヌッと現れた。

「はい。みなさん、おやすみなさい。良い夢でも見ていてね」

そう言うと、空間から大量の結束バンドと色分けされたトリアージタッグのような物を取り出し、手をサッと振って眠っている者たちの元へと飛ばしていった。


結束バンドが自動的に両手両足を拘束し、一緒に飛んでいった事前に色分けされていた札が手首に巻きついた。その後は部屋の隅の方へフワフワと浮かせて運んでいき、眠ったまま転がした。

最後に、壁に用意してきた模造紙のような物を貼り出して、ここでの作業は完了したようだ。


「ほい。これで一丁上がりだね。さて、次の階へ行くか。メイも上手くやっているかな?」

そう言うと部屋を出て、上の階へと歩いていった。


その頃、メイさんは最上階から作業を開始していた。リピウス同様に眠っている者たちを次々と結束バンドで拘束し、手首に札を装着して壁際に並べていった。


その後、メイさんは部屋を出ると、その階の宿泊部屋で休んでいた詐欺要員たちも同様に拘束し、部屋の中に寝かせておいた。

そしてメイさんも早足で下の階へと移動して、同じ作業を繰り返していった。


言うまでもなく、これはリピウスが霊力ドローンを使って、ビル内全体に睡眠ガス状の霊気(当然無色・無味・無臭)を噴霧して、全員を眠らせたのである。


リピウス曰く「ギャーギャー騒がれると面倒だからね~。眠らせるのが一番だよね」ということであった。


こうして三階でリピウスはメイさんと合流した。ここまででおよそ一時間程度であった。


「ふう。ここは人数も多かったから結構時間がかかったけど、メイも上手くやってくれたようだね」

「はい。無事完了しています」


「それじゃあ次の場所に行こうかね。次は……ああ、ここの近くにもう一カ所あるんだね。そこはカジノをやっているみたいだね。お客もいるようだけど、まあまとめて眠らせて、識別札を貼っておけば良いよね」


そう言うとリピウスは中空を見つめながら、何やら念話で現地の霊力ドローンに指令を出した。


「よし! 向こうも全員眠ったみたいだよ」

「では移動しましょう」

メイさんはそう言うとワープゲートを開いた。リピウスが入るのを待ってからメイさんもゲートに入ると、すぐにゲートは閉じてしまった。


こうして、今日だけでラオスとカンボジア周辺にあった15カ所の詐欺拠点を回り、全て眠らせて捕縛してしまった。

その後リピウスは家に戻って眠りについたのだが、メイさんはさらに引き続き、今日襲撃した拠点関連の幹部たち20数名も捕縛に走り、一ヶ所にまとめて眠らせてから家に戻ってきた。


最後に管轄のラオスとカンボジアの警察に情報を送った。もちろん不正警察官の存在も事前調査で把握しており、彼らも同時に逮捕されるよう情報提供を済ませている。


翌日、リピウスが起きると、メイさんは既に活動を開始しており、昨日の拠点関連に対する警察の動きをリピウスに報告した。


「ほう。まだ信じていないみたいだね~。でも一応現地の警察官が向かってはいるようだね。まあ現地の状況を見れば、すぐに動き出すだろうよ」

リピウスはメイさんが用意してくれた朝食を食べながら満足そうであった。


「はい。食後は次の組織を潰しに向かいますか?」

メイさんが相変わらずの事務的なトーンで聞いてくる。


「そうだね、今日もちょちょいっと片付けてしまおうね」

そう言いながら、リピウスはにっこりと微笑んだ。

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