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<リピウスの悪巧み>

リピウスは詐欺情報の解析を進める過程で、検知した詐欺データに霊気でマークを付け、そのまま追跡するようにした。

その結果、大抵は行き着く先で消滅してしまうが、中には行き先から折り返して来るデータも散見された。そして、詐欺情報の送り元を特定することも可能となってしまった。


「へぇ~……。ここから詐欺情報が発信されているんだ……」


通常この手の情報は、警察でも追いきれない。よくドラマにもある「海外の複数のサーバーを経由していて追跡は不可能です」といった類のものだ。


だがリピウスには関係ない。別にサーバーを辿るわけではないし、サーバー管理者に情報開示を求めるわけでもない。ダイレクトにデータの行き先を特定して、その端末に辿り着いてしまうからだ。これはネットの流れの中で行うので、ほぼリアルタイムに特定できてしまう。


リピウスは発信元を特定すると、すぐさま霊気を集中的に送り込み、発信元端末から霊力ドローンを発生させて、そこの映像や音声をダイレクトに受信し始める。

さらには霊力ドローンをそのまま待機させて継続的に監視し続けることで、様々な副次的情報まで収集できてしまう。

つまり詐欺グループの状況は、全て把握できてしまうということになる。


もちろん詐欺グループ内の連絡に関しても監視対象にできるので、いわゆる指示役の存在や、さらにその上で組織を操っている黒幕の存在まで、芋づる式に特定していくことが可能であった。


「う~ん……。こいつらは絶対に野放しにしてはいけないな……。それと、こんなことをすると取り返しのつかないことになると知らしめて、今後誰もやる気にならないような状況まで追い込む必要がありそうだ……」

リピウスの正義感に火がついてしまったようだ。


こうなるとリピウスには悪癖があった。非常に綿密に計画した「悪巧み」が発動するのだった。今回もリピウスは「詐欺組織撲滅計画」を発動してしまった。


これは詐欺組織の全貌を特定し、詐欺組織が騙し取ったお金を、逆に詐欺組織から奪い返してしまおうという大胆な計画であった。

そして詐欺の実態を全て白日の下に晒して、彼らを捕縛した上で、警察等に証拠と共に引き渡してしまうところまで計画されていた。


ただし、それは簡単な道ではなかったが……。


「よう、メイ! 頼んでいた物はできたのかな?」

リピウスは作業用として活用している八畳ほどのディメンション・ルームに入り、メイさんと共にパソコンを使って、作戦立案に必要な作業を進めていた。


この作業ルームは、人間界のネットワークと接続して活用できる特殊なゲートウェイを霊力で構築してある。なので異次元空間でありながら、人間界とのネットワーク通信ができてしまうのだ。もちろんセキュリティは万全だし、ここなら盗聴をされることもないし、所在を誰かに知られることもない。


「はい。既にまとめて共用フォルダーに入れてあります」

メイさんはメイド服姿のまま、高速で指を動かしたり、マイクを通じてパソコン側のAIソフトと会話しているようだった。その会話は特殊な言語(?)なので人間には分からない。


指定されたフォルダーを開くと、そこにはメイさんがまとめたという資料がいっぱい入っている。その中で、今回新たに追加されていた「大規模特殊詐欺組織に関して」という資料を閲覧した。


「ふ~む……。大規模に絞っても、世界では10以上が存在するのか。しかもそれぞれが数百から数千規模の拠点があるし、関連している小規模組織まであるから、とんでもない数になるのだな」


リピウスの指示は、数多く存在する詐欺組織の中で、特に多くの構成員や拠点を保有する大規模組織をピックアップすることであった。


「まあ文句を言っても仕方が無いな……。どれどれ、まずはここから入り込んでみるか」


リピウスはリストに出ている中でも大きな、中国系の詐欺グループをターゲットに動き始めた。と言っても、既に特定して監視ドローンも設置済みの拠点を映し出し、拠点内を探査させるだけである。

それでも今まではざっと拠点内の様子を映していただけであったが、今回はリピウスが画面を見ながら細かい指示を出し、もっと深く入り込んだ情報を引き出そうとしているのだった。


「やっぱこいつがここのリーダーだよな。後は雇われた下っ端か……。ん? こいつも幹部かな? ……こいつって無理やり連れて来られたみたいだな。被害者ってことか……」


等とブツブツ言いながら拠点内を探索しつつ、幹部らしき人物を特定すると、その人専用に超小型の監視装置を貼り付けて、継続的に監視し続けるようにした。また、もし電話等で外部へ連絡した場合は、そのスマホからの発信電波に即座に監視マークを付加して、相手先も特定できるようにしてある。これで芋づる式に組織の上層部まで、洗いざらい特定するのであった。


この拠点は古い宿泊施設を改造した物らしく、ここだけで数百人の雇われ人たちが働いていた。彼らの素性もまちまちで、詐欺行為と知って進んで参加している者もいれば、どこかで拉致された被害者もいる。また人身売買によってここへ流れ着いた者たちもいた。

とにかく酷い環境で、見れば見るほどリピウスの怒りの炎は燃え上がっていくのだった。


リピウスが各拠点内から幹部らしき人物の居場所、さらに上の黒幕や、それらと繋がり賄賂を受け取って便宜を図っている地方議員、警察官などまで、とにかく関係している者たちを特定すると、以降は貼り付けた霊力監視装置からの情報をメイさんが管理・整理していった。


「こいつら、やっぱ頭は良いのだな。ずる賢いと言う奴か。騙し取った金の所在も、直接的には全く追跡できないみたいだ。さてと……。それでもこいつらを丸裸にする方法は無いものか……」


とりあえず、彼らの資金を巻き上げてしまうための仕組みを検討するため、辛辣な仕掛けを作った。それはコンピュータ類のデータハッキングだ。もともとリピウスのデータは霊気を元に変質させて紛れ込ませている。なので通常のセキュリティは一切効果が無い。どこのサーバーでも入り込み放題になる。


そして最も凶悪なのが、リピウスのコンピュータ知識を最大限に向上させて、サーバー内のデータアクセス自体も、サーバーの機能を使うのではなく、ダイレクトに媒体から読み出して再現したり、データを書き換えて偽装工作したりまで、本当にやりたい放題なことをマジで実現してしまった。


ネット経由でマネー・ローンダリング(資金洗浄)をしている現場を盗撮し、当然IDやパスワードも入手しておくことで、上手く利用して資金の流れなども解明していくことにした。

その上で彼らの個人資産として銀行預金や、資金隠しのペーパーカンパニー口座、仮想通貨関連の情報等、いつでも引き出して奪い取れるまでに準備を進めていった。


もちろん主要な人物に関しては、霊力で眼球や指紋情報を写し取り、それを元にメイさんが義体で再現して利用できるようにもしてある。


「ふ~ん……。ミキサーなんて手口を使うのか……。これなら逆手に取れそうだな。ペーパーカンパニーに関してはどうするかな? 口座の資金だけ奪うだけで良いのかな?」


そんなことを考えながら、リピウスは日々メイさんと共に一斉摘発の準備を進めていった。


こうして準備が整ったある日。リピウスはメイさんと共に、世界中の12ヶ所で大規模詐欺組織に静かな戦争を仕掛けた。

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