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<200年周期問題>

ヨルダは第一人間界の監視員本部に来ていた。最近言われている人間界での異変に関して、監視長の嘉助に直接話を聞くためである。


「嘉助も忙しいじゃろうに、すまんのう」


「いえいえ、老師こそわざわざお越しいただいて恐縮ですよ」

嘉助はヨルダを老師と呼んでいる。というより、霊界内で「ヨルダ爺」と呼ぶのはデュークくらいなもので、普通は敬意を込めてヨルダ老師と呼ぶのが一般的であった。


「最近、霊力の封印が解けた者が増加しているそうじゃの?」


「はい。ここ数ヶ月間で顕著に増えてきましたね。以前は世界中で年に数名程度だったのですが、最近は月に数名のペースになっています」


「200年周期の影響なんじゃろうか?」


「その可能性はありますが、それでも今回は多すぎる感じはしますね」


【200年周期】とは、第一人間界で原因は不明ながら、200年ごとに霊力の封印解除(覚醒)される者が多発する現象を指す。これは特に二千年前から顕著に見られるようになり、人口の増加に伴ってその規模も拡大し続けていた。


「今の見込みですが、おそらく三年後がピークになり、その際には月間数百名以上の能力者が誕生しそうな計算になります」


「月間数百名とは穏やかではないの。下手をすれば、トータルで億単位の能力者が現れるということじゃからな」


「さらに発生する地域も、過去最大に広がると予想されます。とても我々だけでは対処しきれないでしょう」


「確か発生地域は、文明度の高い地域に集中しておったのじゃったな」


「ええ。200年前は欧州とアメリカが圧倒的でした。日本は当時はまだ少なかったはずですが……」


「今回は日本もかなり多くなるじゃろうな」


「すでに50年ほど前から、先進国並みに発生しだしていますからね。周期に入れば、当然相当な数の能力者が誕生してしまうでしょう」


「となると、霊界側で能力者の存在を隠蔽し続けるのも難しくなるじゃろな」


「そうなりますね。今でもすでに霊力暴走が起因した事件が目立ち始めています。今後、能力者による犯罪も当然増加するでしょう」


「何か対策は打っておるのか?」


「残念ですが、今のところは特に……。一応、ERIには要請してはいるのですが」


ERIエリとは、【超感覚研究所(Extrasensory Research Institute)】の略称である。監視員と同様に霊界の出先機関であり、人間界における能力者関連の研究を行っている組織だ。

200年周期という法則も、ERIによる統計的な調査から発見されたものだった。

彼らは能力者の急増を想定したシミュレーションや、犯罪予測、対処方法の検討などを行っている。だが現状は、霊界技術者の「島流し部署」的な扱いであり、予算も人員も不足しているため、大した成果は出ていない。


「ERIか……。あそこも本格的にテコ入れせねばならんのじゃろうがな」


「天界が動くとは思えませんけどね。彼らは自分の利権のことしか考えていませんから」


「昔のミカエルとは、随分と変わってしまったものじゃて」


ミカエルとは、天界の現最高評議会委員長。八千年前から天界に君臨する絶対的権力者である。

天界の政治は128名の評議会議員で構成されており、その中から選出された13名の最高評議会委員が、実質的に霊界も人間界も運営している。ただし、幽界と霊界学園だけは独自の自治が認められていた。


「協力者は確保できておるのか?」


協力者とは、人間の中で霊界の考えに同調し、活動を支えてくれる人たちのことだ。その大部分は能力に目覚めた者たちであり、人物本位で選定され、霊界や霊力に関する知識の一部を提供されている。


「幸い日本ではすでに4名の協力を得ており、情報収集で成果が出ていますが、他の地域に関してはインド以外では難しいようです」


「ふむ。インドは昔から寺院の修行僧が協力的じゃからのう」


「僕としては、ERIの強化によって各地での協力者確保を推進したいところなのですが……」


嘉助と話をしていて、ヨルダはふと思った。

(もし、リピウスが協力してくれたら……)

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