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<復活!>

お待たせいたしました、第4話の更新です。


切れてしまった魂の「糸」を、もう一度肉体と繋ぎ合わせる……。

まるで針の穴に糸を通すような、細かく、そして絶望的な作業に主人公が挑みます。


導き手であるヨルダ爺に教わりながら、初めて自分の「魂」を動かす感覚を掴んでいくリピウス。


暗闇の中、必死に自分の体へと手を伸ばし、再び「生きている痛み」を感じることはできるのでしょうか。

運命の瞬間を、ぜひ見届けてください。


※霊糸には2つの意味合いで使っていたので、「魂と体を繋ぐ糸=魂の緒」とし、それ以外で「霊力操作の為に伸ばす糸状の霊気=霊糸」と言葉を分ける事にしました。この話は大部分が霊糸→魂の緒に変更しました。

ヨルダ爺の話では、要は切れた「魂の緒」を繋げれば、幽体離脱と同じ状態に戻る。

そうなれば、肉体に魂を戻すことはできるのではないか、ということだった。


それには、霊魂側の俺が自ら魂の緒を伸ばし、肉体側でヒラヒラしている短い魂の緒の端を捕まえて、一体化させる必要があるらしい。


『俺から魂の緒を伸ばす?』

『うむ。まずは自分の霊核れいかくを感じるのじゃ』

『霊核……』


俺はヨルダ爺の指導を受けながら、まずは自分自身の霊核を感じるところから始めた。


「幽霊姿よりも人魂モードの方が分かりやすい」と言うので、先ほど変化した時の感覚を思い出しながら、人魂に姿を変えてみた。

体の中心あたりが薄く光りだしたので、その部分に意識を集中させる。


すると、暗闇の中で静かに脈打つ、小さな光の粒を見つけたような感覚になった。

それが俺という存在の、たった一つの『根っこ』なのだと直感した。


ヨルダ爺いわく、霊魂には霊核という核が存在し、それが本体になるのだという。

霊核の周囲をモヤモヤとした「霊体」が囲っており、これは念じれば自在に姿を変えられる。

俺が幽霊姿になったり人魂姿になったりできたのは、そのためらしい。


魂の緒とは、霊核から意識して伸ばす霊体の一種。

あくまで霊核から直接伸ばさないと、肉体との接続には意味が無いそうだ。

俺は霊核を強く意識し、そこから糸状に霊体を伸ばしていく作業に没頭した。


しばらく悪戦苦闘した末、なんとか魂の緒を伸ばすことに成功した。

だが、そこからがさらに難しかった。


伸ばした魂の緒の先端を操作して、体から出ている短い糸の切れ端を絡めとらなければならない。

老眼で苦労した「針の糸通し」を思い出す。指先――いや、糸の先が震えるたびに、もどかしさで叫び出しそうになる。


『もう少し……それ! ……ダメか。おい、ヒラヒラ動くなよ! あ〜、もう……!』


ぶつぶつ言いながら操作し、なんとか糸を掴もうとする。

『よし! 捕まえたぞ!』

完全に巻き付けようと操作するが、ホロリと糸が抜けてしまった。


時折、ヨルダ爺が俺に助言をくれる。

『落ち着け。焦れば糸は逃げるぞ。魂の緒の流れを感じるのじゃ。その先で迎え入れるように、そっと包み込むのじゃよ』


傍らではデュークも一緒になって、

『あ〜……! なんで離しちまうんだよ』

などと呟き続けている。


どのくらいの時間が経っただろうか。

俺はようやく、糸と糸をしっかりと結び付けた。


『ふむふむ。これで一応繋がったな』

『はい……。やっと捕まえられました』

『だが、まだ気を抜くでないぞ。ここからが正念場じゃ』

『はい』


俺は糸の結び目をじっと凝視しながら、念じ始める。

魂の緒は結び付けただけでは駄目なのだ。結び目に「霊力」を用いて完全に一体化させてこそ、肉体との繋がりが完成する。


しかし、俺にはすでに余裕が出てきていた。

ここまでの作業で、霊力操作の感覚を完全に理解してしまった気がするのだ。


俺は霊核から、魂の緒とは別に「霊気」を放出させる。

その霊気を魂の緒に沿って結び目へと導く。

結び目に霊気が集まり、すぐに光の玉に包まれながら輝き出した。


結び目が光に包まれた瞬間、頼りなかった二本の糸が、まるで熱で溶け合うように一本の確かな『綱』へと変わった。

その瞬間、肉体の方から微かな熱が伝わってくるのを感じた。


(繋がった……! これでやっと体に戻れる!)


『お! ヨルダ爺、見ろよ。一体化できたんじゃないか?』

『ふむ……』


ヨルダ爺は、今繋がった部分を凝視した。

彼も自分から触手のように霊糸を伸ばし、結び目を丹念に確認し始める。

俺は気を緩めず、じっとその様子を見つめ続けた。


『……うむ。どうやら上手くいったようじゃな』


ヨルダ爺の一言で、俺とデュークの顔が綻んだ。

『やったな! これで戻れるんだよな』

『うむ。じゃが、まだ気を緩めてはいかんぞ』

そう言いながらも、ヨルダ爺の表情も少し和らいだようだ。


霊体離脱してから、すでに4時間が経過している。

上手く肉体の中に霊核が定着するかどうかは、ヨルダ爺にしても未知数だった。


俺は気を引き締め直した。これからが本番、最後の試練だ。


『じゃあ……この糸を辿って、体の中に戻ってみるね』


俺は人魂モードのまま、少しずつ魂の緒を手繰り寄せ、肉体の中へと入っていく。

やがて霊核は完全に肉体へと収まったが、少しするとまた半分ほどズルリと出てきてしまった。


『ねえヨルダ爺、なんか……肉体との一体感というか、戻った感覚がないんだけど』

『ふむ。単に中に入っただけでは駄目みたいじゃの』

『え? ダメなのかい!?』

デュークが一番慌てている。


『いや……でも、なんとなくだけど、やり方は分かる気がする』


俺は再び、霊核を完全に肉体の中へと埋め込む。

そして、先ほど魂の緒を繋げた時と同じように、霊核から霊気を放出し始めた。


『ほぉ……。流石だの。霊気を放出して霊核と肉体を一体化させるように念じておるのか』


感心したようにヨルダ爺は呟いた。だが、その目はどこか「不可思議な者を見るような眼」で俺を見つめている。


俺は霊魂と体が溶け合うようにイメージし、霊気を放出し続ける。

放出された霊気が輝きながら体全体を覆った。

その輝きがひときわ強くなり、その後、スーッと消えていく。


そして、俺は静かに目を開いた。


『お! やったのか!? ヨルダ爺、これって戻ったんだよな!』


デュークの興奮した叫び声が聞こえる。

その声を聞きながら、俺は体を起こそうとして「うっ!」と呻いた。


「痛い……っ!」


後頭部を擦る。霊魂が肉体に戻ったことで、痛覚も復活したのだ。

だが、そのズキズキとした痛みこそが、俺がまだこの世界に繋ぎ止められているという、何よりのあかしだった。

第4話をお読みいただき、ありがとうございました!


「痛み」と共に、リピウスがこの世界に再ログインを果たしました。

しかし、生き返って万々歳……とはいかないようです。

ヨルダ爺が首をかしげる、その「違和感」の正体とは?


このあとすぐ、**18時30分に第5話「<なんかおかしい?>」**を更新します。

リピウスが名乗る「ソウルネーム」の由来と、彼が隠し持っていた驚愕の「妄想力」が明かされます。


引き続き、お楽しみください!

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