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<死神デューク>

お読みいただきありがとうございます、ゴンベしゃんです。

第1話では、まさかの「椅子から転落」という幕開けでしたが……。


第2話では、リピウスの前に「自称・死神」という怪しい男が現れます。

私なりのユーモアを交えて描いてみました。

リピウスの運命がどう転ぶのか、ぜひお楽しみください。

空を眺めていると、何かがこちらへ近づいて来るのが見えた。

鳥かと思ったが、どうやら違う。


俺と同じように半透明で、どこか浮世離れした人影が、秋の空を滑るように近づいてくる。

その「幽霊」のような者は、俺の目の前まで来ると、空中であぐらをかくような格好で足を止め、まじまじと俺を見つめてきた。


『君って、迷子なのかな?』


直接頭の中に響くような、不思議な声だった。


『へ?』


呆気にとられる俺を見て、そいつは慌てたように姿勢を正した。


『おっと、おいらは死神のデューク。よろしくな』


『し・死神……!!』


俺は慌ててアンテナの陰に身を隠した。

死神――。縁起でもないその響きに、心臓もないのに鼓動が速まるような気がした。

その様子を見て、デュークは慌てたように言い直した。


『あ、ごめんごめん。死神ってのは俗称だよ。正式には「幽界案内人」って言うんだ』


『幽界案内人……死神デューク。なんかデ〇ノートに出てきたな』


『あ! それリュークな。あのアニメが流行った頃は、おいらも仲間からよく言われたよ。そんで一時はリュークの格好で仕事をしていたんだけどさ、上司に見つかってめちゃくちゃ怒られたぜ』


『軽いな、こいつ……』


俺は唖然とした。


『で、迷子って?』

デュークの様子を見て少し落ち着いたので、気になることを聞いてみた。


『おう、それな。人は死んで霊魂が体を離れると、自動的に魂は「幽界」へと移動するんだよ。でもな、稀に幽界へ移動せず、現世に留まっちまう魂もある。おいらたちはそれを「迷子」って呼んでいるんだよ』


『でも、俺ってまだ死んでいないよ』


そう言うと、デュークは憐れむような目で俺を見つめた。


『まあ、そう言うよな……。現世に残っちまう魂の多くは、自分が死んだことに気がつかないもんなんだよ。まあ気づかないというか、認めたくないというか』


『いやいやいや! 俺は本当に死んでいないから。まだ体は息をしているし、気を失っているだけなんだよ』


俺が必死に訴えかけると、デュークは少し難しそうな顔をして俺を見つめた。


『だったら実際に見てくれよ。見れば俺が生きているって分かるから』


『はぁ〜……。まあ、そこまで言うなら見てやるけどよ。でも、おいらはグロいのは苦手なんだよな』


どうやらデュークは、血を流して死んでいる死体を想像したらしく、気乗りしない表情で動こうとはしなかった。


しかたがないので、俺はデュークの手を引いて連れて行こうとした。

だが、手を掴むことはできなかった。まるで霧を掴むようなもので、指がすり抜けてしまうのだ。


『とにかく来てくれよ。リビングで失神して倒れているからさ』


と言って屋根の中に入り込み、顔だけ出してデュークを促した。

仕方なさそうに、デュークも後に続いてリビングまで降りてくる。


リビングに来ると、俺は再度、自分の体を確認した。

大丈夫、まだ生きている。生存を確認できてホッとする。


俺はデュークにも確認するようにお願いした。

デュークはまだ疑っていたようだが、俺の体に近づいて、じっくり覗き込んでくれた。


すると、俺の瞼や口元がピクッと動いた。


『!!』


デュークも確認できたようだ。


『こいつは驚いたな。本当に生きてるぜ』


『だろう。俺が(魂から)抜けてしまったので、意識が戻らないだけなんだよ』


『ありゃ〜、こんなの初めてだぜ。どうなってるんだよ』


『なあ、あんた死神なんだから、元に戻す方法とか知らないのか?』


『いや〜、おいらは死神だからね。幽界に連れていくことはできるけど、戻す方法なんて分かんねえよ』


その後しばらく、俺とデュークはあれこれと話し合いながら試してみたが、俺一人で試したこと以上のアイデアは出ず、二人して途方に暮れていった。


とその時、急にデュークが何か閃いたようだった。


『ん? 何か思いついたのか?』


『いやな、ちょっと思ったんだけどよ。おいらの知り合いなら分かるかなってな』


『知り合い?』


『ああ。ちょっとこのまま待っててもらえるか? 今からおいらが呼んでくるからよ』


『え? 来てくれるの?』


『たぶん大丈夫だと思うぞ。なにせ年中暇しているご隠居さんだからな。じゃ、すぐ行って戻ってくるからよ。ここから動くんじゃねえぞ』


そう言うと、デュークは空間に左手をかざした。

すると、その周辺の空間が少し歪みだし、やがてポッカリと穴が開いた。

それはまるで、異世界へのトンネルのような光景だった。


デュークがゲートに入ろうとすると、俺はこのまま世界に一人取り残されるような強烈な不安に襲われ、思わず声を張り上げてしまった。


「ちょ、ちょっと待ってよ! どこへ行くんだよ。俺を一人にしないでくれよ〜……」


しかしデュークは微笑みながら、

「大丈夫。すぐ帰ってくるからよ」

と軽く手を挙げて、ゲートの中に消えて行ってしまった。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


デ〇ノートのリュークに間違われて憤慨するデューク……。

最強の隠居爺と、どこか抜けている霊界の住人。この奇妙なコンビが、これから世界をどう作り変えていくのか。


次回、第3話では、物語の鍵を握る「あのご隠居さん」がついに登場します。


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