巻き戻す1時間まで
時を巻き戻せたらと誰もが思う
……目覚めは照りつける太陽。
乾いた口。ひどい気だるさ。
酒に弱いのに飲んじゃうダメな男。
それが俺。
冷たい水は世界で一番美味い。
最初の一口も、そのあとも。
時間は昼の2時過ぎ。
せっかくの休みはこんなもの。
やること?
あるわけないだろ。
馬鹿馬鹿しい。スロとパチを打ちにホールへ。
……最初は良かったのよ。
スロはサクッと当ててさ、そっから高設定示唆強が出たから追ったらさぁ!
マジでなんなん?
何が特化ゾーン?ふざけんなよ。
天井喰らって速攻で溶かすしさあ!
あーくだらね。
パチはロクに回りもしねえし。
隣に座った奴が音量爆音にしてから速攻で当てて連チャンするし。
なにもかもうまくいかねえ。
金だよ。金くれよ。どっか落ちてない?
楽して儲かる仕事ない?今ならなんでもするよ?
稼いだバイト代?
そんなもん、ホール店長の豪華なディナーに消えちまったよ。
あー、巻き戻させろよ。
ホールに行かなかった時間までさぁ。
1時間前でいいんだよ。
そしたらさ、風俗も行けたし払ってねえ税金も払えたろ?電話代とか家賃とかもさあ!
……なんでだよ。
なんで俺だけ。
なんで、なんで?
うまく行かないか? 上手くいかないの?
くだらねぇ。
帰宅したらポストに入っていた。
同窓会の案内?
行くかよ馬鹿野郎!
ふざけんな、いい加減にしろよマジで。
こんな惨めな俺なんざ、ただのピエロだろ?
いや、ピエロに失礼だわさ。
俺なんて、どうしようもない奴なんだよ。
行ったら行ったで盛り下がること確定じゃん。
そして、来るんだよ。
あの、攻撃が。
「今、何してるの?」
地獄の真言だよ。俺を殺す、な。
その願いは、かなわない。




