やる気、○る気、病る気。
体調不良、怖いのは?
…………会社を休みました。
ひどい顔です。
原因? お願いですから、蒸し返さないで。
結局、私は何もできない。したくない。
人と、関わりたくない。
根本はそれなのです。
スマホから勤怠用の連絡先を探すのも億劫です。
何もやりたくないんです。
休む理由? ……風邪と告げてお大事になさってくださいの言葉も、ただ待つだけの時間も、上司が気遣ってくれる気持ちも、ぜんぶ、……重たいと感じてしまうのです。
わかっています。
重たいのは私なんだって。
いつも欠かさずみていたSNSのアイコンを触ること、視界に入ることすら、避けてしまいます。
怖い。怖いんです。
アプリのバッジに付く、数字が何より怖いんです。
相手の返事が怖いんです。
嫌なことしか思い浮かんできません。
誰も理解してくれないでしょう。
こんな、小さい身体の私なんて。
こんな、怖がりなんて。
…………お腹空きました。
口の中も乾いていて、歯磨きしたいです。
今じゃ歯磨き粉も気持ち悪くて吐きそうです。
薬、何か、薬は?
胃に優しいもの。何か、ありませんか?
コンビニ。
そう、コンビニです。
あそこに行けば、何でもあります。
レトルトのおかゆが食べたい。
野菜ジュースが飲みたい。
でも、ダメです。
身体を起こす気力は無いんです。
枕がぐっしょりと濡れています。
気持ち悪い。
寝返りをするだけでも頭が揺れて酷く吐き気もします。
誰か、誰か、来て……
私を助けて……
震える指先で、電話帳を開きます。
そして、閉じます。
暗澹たる雨が心を濡らします。
外は晴れているのに。
太陽、大嫌い。
曇りも、嫌い。
雨、もっと嫌い。
…………通知がきてます。
心配してくれたのかと思うと、息苦しくなります。
そんな時間を、使わないでください。
……ただの、携帯会社の宣伝SMSでした。
スマホを布団に放り投げます。
もう、いやです。
目を逸らしていました。
みたくなかったのです。
自分が、私が、ハサミを入れようとしてしまった、大切な衣装を。
引き裂こうとした、愚かな自分を。
鏡を見て、何かを訴えています。
ーーー聞かないふりをしました。
ハンガーにかけてほしいと、お願いする声が聞こえます。治してって、目を潤ませます。
いやです。
もう、全部嫌なんです。
結局、私は通報することも出来ないままです。
下賎な書き込みをした輩に。
正義の制裁を加えることすら、出来ない。
思えば、私はいつも、こうなのです。
仕方なく、引き受けた忘年会の幹事で、皆の予定を調整して、店もわざわざ下見まで行ったのに。
皆を楽しませようと企画したプレゼント交換会は、準備する時間がない、忙しいと一蹴され。
前日にインフルエンザで1人来れなくなったりして、そのまま空中分解して。
そんな、意気込めば意気込むほど、冷や水を浴びせられる気持ち。それで、予約したお店にキャンセルの電話を入れる気持ち。
想像、できますか?
もう、傷つきたくないんです。
痛いのは、いやです。
辛いんです。
涙が、こぼれ落ちます。
枕カバーだけじゃなく、毛布の上にも、ぽたぽた。
重たい頭で、布団から這って、出てきて。
衣装に、駆け寄ります。
そして、抱きしめました。
ごめんね……ごめんなさい……。
ずっと、ずっと。
太陽が隠れるまで、そう。
ずっと、愚かな私の過ちを悔やんでいました。
ほつれた糸を、みつめて。
ずっと、ずっと……。
約束事、怖いのは?




