表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そのアルカナは、死神。〜共感不可だらけのデスゲーム〜  作者: 宵月玲


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/50

やる気、○る気、病る気。

体調不良、怖いのは?

…………会社を休みました。

ひどい顔です。

原因? お願いですから、蒸し返さないで。


結局、私は何もできない。したくない。

人と、関わりたくない。

根本はそれなのです。


スマホから勤怠用の連絡先を探すのも億劫です。

何もやりたくないんです。

休む理由? ……風邪と告げてお大事になさってくださいの言葉も、ただ待つだけの時間も、上司が気遣ってくれる気持ちも、ぜんぶ、……重たいと感じてしまうのです。

わかっています。

重たいのは私なんだって。


いつも欠かさずみていたSNSのアイコンを触ること、視界に入ることすら、避けてしまいます。

怖い。怖いんです。

アプリのバッジに付く、数字が何より怖いんです。

相手の返事が怖いんです。

嫌なことしか思い浮かんできません。

誰も理解してくれないでしょう。

こんな、小さい身体の私なんて。

こんな、怖がりなんて。


…………お腹空きました。

口の中も乾いていて、歯磨きしたいです。

今じゃ歯磨き粉も気持ち悪くて吐きそうです。

薬、何か、薬は?

胃に優しいもの。何か、ありませんか?


コンビニ。

そう、コンビニです。

あそこに行けば、何でもあります。

レトルトのおかゆが食べたい。

野菜ジュースが飲みたい。

でも、ダメです。

身体を起こす気力は無いんです。

枕がぐっしょりと濡れています。

気持ち悪い。

寝返りをするだけでも頭が揺れて酷く吐き気もします。


誰か、誰か、来て……

私を助けて……

震える指先で、電話帳を開きます。

そして、閉じます。

暗澹たる雨が心を濡らします。

外は晴れているのに。

太陽、大嫌い。

曇りも、嫌い。 

雨、もっと嫌い。



…………通知がきてます。

心配してくれたのかと思うと、息苦しくなります。

そんな時間を、使わないでください。

……ただの、携帯会社の宣伝SMSでした。

スマホを布団に放り投げます。

もう、いやです。




目を逸らしていました。

みたくなかったのです。

自分が、私が、ハサミを入れようとしてしまった、大切な衣装を。

引き裂こうとした、愚かな自分を。

鏡を見て、何かを訴えています。

ーーー聞かないふりをしました。

ハンガーにかけてほしいと、お願いする声が聞こえます。治してって、目を潤ませます。

いやです。

もう、全部嫌なんです。



結局、私は通報することも出来ないままです。

下賎な書き込みをした輩に。

正義の制裁を加えることすら、出来ない。


思えば、私はいつも、こうなのです。

仕方なく、引き受けた忘年会の幹事で、皆の予定を調整して、店もわざわざ下見まで行ったのに。

皆を楽しませようと企画したプレゼント交換会は、準備する時間がない、忙しいと一蹴され。

前日にインフルエンザで1人来れなくなったりして、そのまま空中分解して。


そんな、意気込めば意気込むほど、冷や水を浴びせられる気持ち。それで、予約したお店にキャンセルの電話を入れる気持ち。


想像、できますか?



もう、傷つきたくないんです。

痛いのは、いやです。

辛いんです。

涙が、こぼれ落ちます。

枕カバーだけじゃなく、毛布の上にも、ぽたぽた。


重たい頭で、布団から這って、出てきて。

衣装に、駆け寄ります。

そして、抱きしめました。


ごめんね……ごめんなさい……。


ずっと、ずっと。

太陽が隠れるまで、そう。

ずっと、愚かな私の過ちを悔やんでいました。

ほつれた糸を、みつめて。

ずっと、ずっと……。

約束事、怖いのは?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ